エピソード4〜登場・氷の魔法使い〜(脚本)
〇女の子の部屋
〜上田's house〜
上田「ふああ・・・今日は色々あって疲れたなあ」
上田「まさか現代で魔法を生で見ることができるなんて思わなかったよなあ」
上田「おまけに、見るだけじゃなくて、自分でも使うことができたし」
上田「今日あったことって、全部夢とかじゃないよな・・・?」
〇野球のグラウンド
〜数時間前〜
上子「出ろ・・・魔法よ、出ろっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
上子「ど・・・どうなった?私、魔法を出せたの?」
「・・・な・・・な・・・」
学長バルバロッコ「なんてことをしてくれたんじゃーいっ!!」
上子「うわっ!ちょ、どうしたんですかいきなり大声出して!!」
学長バルバロッコ「あれじゃよ!グラウンドにある、倉庫を見ろ!」
上子「も、も・・・燃えてるーーー!!何で!?倉庫の原型すらもうないじゃん!」
学長バルバロッコ「貴様の!パイロキネシスで!燃えたんじゃよ!」
上子「え・・・じゃあ私、いや俺、魔法が使えるようになったってこと・・・?」
上子「やったああああああ!!俺もついに魔法少女デビューだあああっ!!」
学長バルバロッコ「やったああああああじゃないわい!わしはちっとも嬉しくないぞい!!」
学長バルバロッコ「倉庫の建て替えに一体いくらかかると思ってるんじゃい!はあ、明日野球部になんて言い訳すればいいんじゃ・・・」
学長バルバロッコ「しかも・・・よりにもよって、使える魔法がわしと丸かぶりとか・・・!!」
学長バルバロッコ「何じゃ!やっぱり炎を出せる自分が主人公だと言うつもりか!!」
上子「べ、別にそんなことは・・・」
学長バルバロッコ「ふーんだ、良いもんねー!!わしの方がかわいいからわしこそが主人公にふさわしいもんねー!!」
上子(学長って主人公の座をずっと狙ってたの?)
学長バルバロッコ「・・・ふう。もう良いわい」
学長バルバロッコ「やはり貴様の魔法は強力じゃった。それだけでも十分良しとしよう」
学長バルバロッコ「これから貴様には、色々頼み事をすることになる。昨日も言った、魔物退治とかな」
上子「魔物、ねえ・・・。本当にそんなの存在するんですか?」
学長バルバロッコ「もちろんじゃ。貴様が単に魔物だと気づいていないだけで、実は日常でもうようよおるぞい」
学長バルバロッコ「今日はもう遅いから、魔物退治については明日詳しく話すとしよう」
学長バルバロッコ「明日は他のサークルメンバーも、何人か学長室に顔を出す予定じゃしな」
上子「わかりました」
上子「・・・男じゃなくて、ぴちぴちの女子大生が来るといいなー!!」
学長バルバロッコ「・・・やれやれ。貴様は相変わらずじゃのう」
〇校長室
〜次の日〜
上田「しっつれいしまーっす!!」
学長バルバロッサ「・・・おお、上田か。一体どうしたんじゃ、やけに上機嫌じゃの」
上田「へへへ、まあね・・・って、学長1人ですか?」
学長バルバロッサ「そうじゃけど」
上田「・・・チッ」
学長バルバロッサ「舌打ちするな!聞こえとるぞい!!」
上田「だって、今日は女の子に会えるかと思ったから早く来たのに・・・」
学長バルバロッサ「わしが女装すればかわいい女の子になるじゃろ!」
上田「おっさんの女装は別にいいですよ・・・確かにかわいいですけど」
「失礼します」
リオ「・・・あ、いつぞやのヘンタイ。来てたんだ」
上田「俺に対する最初の一言目がそれ!?」
上田「ヘンタイって言うなよ!俺には上田って名前がちゃんとあるんだぞ!!」
リオ「あんたの名前なんて覚える気ないわ」
上田「ぐぬう・・・手厳しいっ・・・!」
上田「・・・だがしかし、こういう気の強い子こそデレはかわいいもんなんだっ・・・!」
リオ(もうやだこいつと話したくない・・・)
上田「学長。あと他に誰か来るんですか?」
学長バルバロッサ「ああ。今日はあと1人来る予定じゃ」
上田「・・・なんか・・・昨日といい、一昨日といい・・・サークルに集まるメンバー、少なくないですか?そもそも人数が少ないとか?」
学長バルバロッサ「違うわい。みんなそれぞれ活動しとるんじゃ。バイトとか、デートとか、他の掛け持ちしているサークルとかな」
上田「全部魔界同好会と関係ないじゃん!」
学長バルバロッサ「べ、別にいいじゃろ。サークルなんて自由参加みたいなもんじゃからな」
上田「ただ単に学長の人望がないだけじゃなくて?」
学長バルバロッサ「やかましわ!」
「・・・失礼しますわ」
「ごめんあそばせ、講義の終了が長引いて、ここへ来るのが遅くなりましたわ」
シキブ「・・・あら。そちらの男性が新入りですの?」
上田「あ、はい、そうです・・・」
上田(なんだか、いかにもお嬢様って感じの子だなあ・・・)
上田(でも正直俺のタイプじゃないなあ・・・気品もあって良い女性だとは思うけど・・・)
上田「・・・ごめん。俺は君の気持ちには答えられない。他の男性を当たってくれないか」
シキブ「・・・はい?」
シキブ「ちょっと学長、一体この新入りは何を言っているんですの?」
学長バルバロッサ「要するに、「君とは恋人関係にはならないよ」と言っとるんじゃよ」
シキブ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シキブ「はあああああああああああ!?」
シキブ「そんなの、こっちから願い下げですわ!というか初対面でいきなり「ごめん」なんて、失礼じゃなくて!?」
上田「いやーだって事実だし・・・」
学長バルバロッサ「上田よ、ちなみに言っておくが、この子は男じゃぞ。いつでもどこでも女装している子なんじゃ」
学長バルバロッサ「だから、あんまり怒らせると後が怖いぞい」
上田「・・・え?男?」
シキブ「・・・てめぇは・・・あとで魔法で・・・ッしてやる・・・!!」
上田「すっすすすすみませんでしたああああっ!!」
シキブ「・・・はあ。全く、女性をあまり怒らせないでくださいまし」
上田(いやあんた男じゃん・・・)
学長バルバロッサ「・・・さて。では今日のメンバーも揃ったし、場も大分冷えたところで・・・」
学長バルバロッサ「まずは、プチ新入生歓迎会を開こうかの。ま、誰も歓迎してないが」
上田「やめろよちょっと傷つくだろ!!」
学長バルバロッサ「全部自分の行いのせいじゃろ・・・」
学長バルバロッサ「ま、とりあえず、各々自己紹介をしよう。もう知っていることもあるかもしれんが」
学長バルバロッサ「わしはバルバロッサ。学長じゃ。そして魔界同好会の創設者でもある」
学長バルバロッサ「使用する魔法はパイロキネシスじゃ。どっかの誰かさんと被っとるがな」
上田「こっちを睨みながら言わないでくださいよ・・・」
シキブ「私はシキブ。大学3年生ですわ。性別は男ですけど、心は乙女ですのよ」
シキブ「・・・だから私を男扱いしたらぶん殴りますわよ、そこの新入り」
上田「・・・名指ししないでくださいよ・・・。もう・・・もう許してください・・・」
シキブ「・・・ま、良いでしょう。ちなみに私が使う魔法はクリオキネシス(凍結能力)ですわ」
学長バルバロッサ「わしほどではないが、シキブもそこそこの実力の持ち主じゃ」
学長バルバロッサ「いらんこと言って凍らされないように気をつけるんじゃぞ、上田」
上田「・・・肝に銘じておきます」
リオ「・・・私はリオ。大学2年生。使える魔法はテレポートよ」
上田「へええ、瞬間移動か、いいなー。学校に遅刻しそうになっても教室までひとっとびできるじゃん!」
リオ「・・・発想が小学生ね・・・」
学長バルバロッサ「リオのテレポートは、何十メートルでも何百メートルでも飛ぶことができるんじゃよ」
学長バルバロッサ「主に偵察や情報収集をしてもらっておる。あ、ちなみにわしの孫じゃからよろしく」
上田「はー、確かに偵察とか向いてそう・・・って、今なんて言いました?・・・孫?」
学長バルバロッサ「そうじゃよ。・・・あれ?言っとらんかったかの?」
上田「言ってませんよ!」
上田「ははー、孫、孫かあ・・・何だかあんまり似てないような・・・」
リオ「・・・・・・・・・・・・それってどういう意味?」
上田「え?いや別に、性格が全然違うなあって思っただけだけど・・・」
リオ「・・・・・・・・・・・・そう」
上田(・・・なんだ?今一瞬空気が凍りついたような・・・)
上田(すごいおじいちゃんっ子で「似てない」って言われるのが嫌だったのかな?)
学長バルバロッサ「・・・さて。次は上田が自己紹介する番じゃぞ」
上田「・・・あっ、はい!えーっと、俺は上田。大学1年生です」
上田「使える魔法はパイロキネシス・・・どっかのおっさんと一緒です」
学長バルバロッサ「「どっかの」とは失礼じゃの。お前を特別に大学に入れてやったというのに」
上田「あ、あの・・・それ、あんまり言わないでもらえますか。女性陣の視線が冷たくなる一方なので」
学長バルバロッサ「ふぉっふぉっ、すまんのう。今後は気をつけるわい」
上田(絶対嘘だ・・・)
学長バルバロッサ「・・・さて。この後、本当は新入生歓迎パーティーでも開きたいところじゃが・・・」
学長バルバロッサ「それより今は大学に危機が迫っておるからな。パーティーはそれが終わってからじゃ」
リオ「ま、パーティーなんて開かなくて良いけどね」
シキブ「全くですわ。そこの新入りが全額奢ってくださるのなら行きますけど」
上田「ううう・・・俺への好感度皆無じゃん・・・」
シキブ「学長。大学の危機というのは、やはり例の魔物のことですの?」
学長バルバロッサ「そうじゃ。日々大学に被害が出ておる。早急に解決せねばならん」
学長バルバロッサ「上田はこんなしょうもない奴じゃが、実力は確かじゃ。この4人でなら、何とかなるかもしれん」
上田「・・・あの。それって、昨日言ってた魔物退治のことですか?」
学長バルバロッサ「そうじゃ。魔物がわしの大学を夜な夜な襲い、建物や設備を破壊するんじゃよ」
学長バルバロッサ「・・・それではここから本題に入る。みんな、わしに力を貸してほしい」
学長バルバロッサ「危険も付き纏うが・・・それでも、わしらは魔界同好会として、この問題に向き合わねばならんのじゃ」
新キャラのシキブさんも例に漏れずの濃ゆい存在ですねw 「上子」「学長バルバロッコ」というさりげない表記に何か笑ってしまいます!