兄は剣の名手(脚本)
〇洞窟の入口(看板無し)
ツバキ「ここから先は通さん」
クロック「いやでも通してもらうぜ」
クロック「力づくでもな!」
ツバキ「貴様!」
クロック「とりゃあっ!!」
ツバキ「くっ・・・」
クロック「よし、皆行くぞ!」
ハート「うん、兄さん」
ハート「さすがだね、あっという間だ」
リンク「急ぎましょう」
カガリ「・・・・・・」
カガリ「ブレイズ」
ブレイズ「ここに」
カガリ「あの男が欲しい」
ブレイズ「おまかせを・・・」
カガリ「ふふ・・・頼りになる男だ」
〇岩の洞窟
ハート「この奥にあるの? 王様が欲しがってる短剣が祀られてる祠って」
クロック「ああ 酒屋のおっさん情報だから 信用できるぞ」
リンク「邪魔が入るくらいだもの 何かあるのは間違いないわね」
ハート「で、その短剣を手にしたら何があるの?」
クロック「さあ?」
ハート「さあ?って・・・」
クロック「王様がわざわざ俺たちみたいな冒険家に依頼するくらいだ 何かあるんじゃないか?」
ハート「えー・・・ 怖いこと無いといいけど」
クロック「ま、その時はその時!」
クロック「ほら、見えてきたぞ」
小さな祠が祭られている
リンク「思ったよりも新しそうね」
クロック「開けてみよう」
クロックは扉を開けようと手を伸ばした
ハート「兄さん、離れて!」
クロック「!!」
ブレイズ「おや、私の攻撃を避けるとは・・・ なかなかやりますね、あなた」
クロック「・・・・・・」
ハート「に、兄さん」
クロック「ハート、 リンクを連れて下がってろ」
クロック「こいつ・・・やばいぞ」
ブレイズ「私の力量を感じ取れるところも 素晴らしい。 カガリ様が欲しいとおっしゃるわけだ・・・」
ブレイズ「お相手願いましょうか」
クロック「くぅ・・・」
ハート「兄さんが押されてる、助けなきゃ」
リンク「ダメよハートくん、危険だわ」
ハート「でも」
ブレイズ「素晴らしい力だ・・・ですが、 ここらでサヨナラです」
クロック「なにっ・・・うわあああっ!」
クロックの体が
炎に包まれた!
ハート「兄さん!」
リンク「まずいわ・・・逃げるわよ!」
ブレイズ「ミッションコンプリート・・・ さてお次は」
ハート「兄さん・・・」
リンク「ハートくん!しっかりして!」
ブレイズ「おやおや、足の速いことだ」
〇洞窟の入口(看板無し)
ハート「はぁはぁ ううっ兄さん・・・」
リンク「はぁはぁ・・・ さぁ立ってハートくん ここから離れないと」
ハート「いやだ!兄さん、兄さん!」
リンク「・・・・・・」
ハート「あ・・・」
リンク「しっかりしなさい!泣いてたって クロックは帰ってこないのよ」
リンク「彼がいない今、アンタが自分で立たないでどうするの それでも天下のオタカラハンターなの!?」
ハート「リンクさん・・・」
リンク「辛いのは自分だけだと思わないで」
ハート「・・・ ごめんなさい 俺、ちょっと逃げてました」
リンク「・・・・・・」
ハート「リンクさん、もう一回殴って」
リンク「え?」
ハート「気合入れたいので、お願いします」
リンク「・・・仕方ないわね」
ハート「っかぁ~効いたぁ」
リンク「変な子ね」
ハート「気合入りました! さ、一旦安全な場所に戻って 作戦を練りましょう」
ハート「今度は俺が護りますからね、リンクさん」
リンク「・・・ええ!」
〇鍛冶屋
ハート「あの謎の男、兄さんを越える剣の 腕だった ということは剣で戦っても敵わないから・・・」
ハート「あいつと交戦した時はこれを使う しかも二挺!」
リンク「単純だけど、いいんじゃない」
ハート「リンクさんは?」
リンク「私はこれしか使えないから」
リンク「これ使えばクロックにも 負けてなかったのよ」
ハート「さすが、俺の自慢の義姉さんだ」
ハート「でも、危ない時は守らせてよ」
リンク「頼りにしてるわ」
〇組織のアジト
クロック「・・・・・・」
カガリ「おぉ・・・素晴らしい出来だ でかしたぞ、ブレイズ」
ブレイズ「恐れ入ります」
カガリ「込奴なら祠の番人として最適であろう なぁ?ツバキ」
ツバキ「・・・申し訳ございません」
カガリ「よいよい お前は大人しくワシの傍で家事をするがよい 傷が治るまでな」
ブレイズ「ククク・・・」
ツバキ「くっ・・・」
ブレイズ「おや、先日のオタカラハンターが また向かっているようですよ」
カガリ「懲りない奴らだ」
カガリ「では早速、込奴を向かわせよう 初陣だ」
ブレイズ「ふふ、私も向かいましょう 面白そうですから」
カガリ「悪趣味な男だ」
ブレイズ「カガリ様こそ」
カガリ「がはは!」
カガリ「行け、クロック」
〇岩の洞窟
リンク「入口には誰もいなかったわね」
ハート「警護するのやめたのかな」
リンク「まさか」
ハート「!新手か!」
ハート「リンクさんは下がってて!」
クロック「・・・・・・」
ハート(あれ、あの構え・・・)
ハート「くぅ」
ハート「・・・負けるもんか!」
ハート(なんだ・・・なんだこの感覚 この戦い方覚えてる よく知ってる・・・)
ハート「・・・まさか」
ハート「うあっ」
リンク「ハートくん!」
ハート(間違いない、今の太刀筋 ・・・兄さんだ!)
ハート「兄さん、兄さんなんだろ!」
ハート「っ・・・兄さん、目を覚まして!」
ハート「俺だよ、ハートだよ!!」
ハート「兄さん!」
ハートの剣が弾かれ
手から落ちてしまった
ハート「兄さん、気付いてくれよ・・・」
クロック「・・・・・・」
ハート「・・・・・・」
クロック「!!」
ハート「リ、リンクさん・・・!」
リンク「はぁぁっ!」
ハート「だ、ダメだよリンクさん! その人は兄さんだ クロック兄さんだよ!」
リンク「違うわ、これはクロックじゃない!」
リンク「私の愛したクロックはこんなこと しない!」
リンク「クロック、私が自由にしてあげる!」
リンク「くっ!」
リンク「やぁぁっ!」
リンク「あっ」
リンクの剣が弾かれ地面を滑っていく
ハート「リンクさん!」
クロック「・・・・・・」
リンク「・・・・・・」
クロックはゆっくりと
剣を振り上げた
ハート(こ、殺される・・・)
クロック「う・・・・・・」
リンク「・・・?」
クロック「うぅ・・・リンク・・・リンク・・・」
リンク「!クロック!気が付いたの?」
クロック「うっ・・・ここは・・・ 俺はいったい・・・」
ハート「兄さん!」
クロック「ハート・・・お前も無事だったか」
ハート「良かった兄さん、目が覚めたんだね」
クロック「あ、ああ・・・一体何が・・・」
ブレイズ「おや、自我が残ってたんですか 何と強い意志の持ち主だ」
クロック「貴様・・・俺に何をした!」
ブレイズ「我がマスターがあなたを 所望しましたのでね ちょっとお化粧を施したまでです」
ブレイズ「美しいでしょう?」
クロック「ふざけるな、元に戻せ!」
クロック「なに!」
ブレイズ「主人に手を上げるとはしつけの なっていない子だ お仕置きですよ」
クロック「ううっ」
ハート「に、兄さん!」
リンク「クロック、しっかりして!」
クロック「く・・・負けるものか・・・ 俺は、俺だ!」
クロック「うぉぉぉぉ!」
ブレイズ「!!」
ブレイズ「・・・この私の術中にありながら、 私の顔に傷をつけるとは・・・」
ブレイズ「面白い もっと楽しみたくなりましたよ」
クロック「くっ・・・」
リンク「クロック!大丈夫?」
クロック「大丈夫・・・しりもち付いただけだ」
ブレイズ「今日のところは帰ることにします 祠のオタカラは差し上げましょう」
クロック「なに・・・?」
ブレイズ「こんなところであなた方との縁を 切るのもつまらないと思いましてね」
ブレイズ「・・・またどこかでお会いしましょう」
クロック「ま、待て!俺を元の姿に・・・」
クロック「くそっ」
〇ホテルの部屋
クロック「・・・・・・」
クロック「・・・イケメンが台無しだ」
ハート「そんなことないって それはそれでかっこいいよ?」
クロック「俺を見てビビってたくせに」
ハート「そりゃ、最初は・・・」
リンク「いいじゃない。 より威厳が出た感じあるわよ」
クロック「おいリンクまで・・・」
クロック「・・・まぁ、グダグダ言ってても仕方ないか」
クロック「あいつを捕まえるまではこのまま過ごすことにするよ」
リンク「その簡単に割り切るところ、 大好きよクロック」
クロック「リンクぅ」
リンク「はいはい、 そういうことは元の姿に戻ってからね」
クロック「えー!」
ハート「ははは・・・」
こうして俺達は
人間二人と怪人一人の
オタカラハンターとして
長い旅を続けることになったのだった・・・
めでたしめでたし・・・かな?
兄妹愛の伝わる素敵な物語ですね。たとえ姿かたちが変わっていても、太刀筋だけで兄だと理解できるって。結果的に結びつきが強まった3人生活になりそうですね。
兄弟愛ってぐっときますよね、自分の兄弟を思い出しながら読ませて頂きました。彼の名前もなんかぴったりな感じがして好きでした。
怪人になってもなお、自分の意識を持てる強さってすごいと思います。
これも兄弟愛と、リンクさんの愛のおかげなんでしょうね。
最後のほのぼのした会話も好きです。