カイジン28【読切】

らーめんまん

フリーター⭐︎ヒーローになる!?️(脚本)

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〇渋谷のスクランブル交差点
リュウイチ(インディーズ映画とはいえ初主演か・・・)
リュウイチ(緊張するな〜)
  ── はい、本番5秒前 !!!!
  ── 4 !!!
  ── 3 !!
  ── 2!

〇渋谷のスクランブル交差点
リュウイチ「特典映像をご覧の皆様こんにちは」
リュウイチ「主役のケンジ役を演じさせていただきましたリュウイチです!」
リュウイチ「こう見えてもスポーツは結構得意な方で 特に剣道の腕前は県大会でも準優・・・」
リュウイチ「ん!?」
  キャー!!
  危ない!! 逃げろ!!
リュウイチ「え?」

〇空

〇黒

〇テレビスタジオ
ミナ キャスター「続いてのニュースです」
ミナ キャスター「本日、午後1時半頃」
ミナ キャスター「渋谷駅近くの交差点で、事故がありました」
ミナ キャスター「87歳になる男性が運転する乗用車が 赤信号を無視し、交差点に侵入」
ミナ キャスター「警察によりますと、現場にブレーキ跡は無く」
ミナ キャスター「男性はその時の状況に対して 『覚えていない』と供述しています」
ミナ キャスター「また、現場に居合わせたリュウイチさん 28歳が車にはねられ」
ミナ キャスター「意識不明の重体です」
ミナ キャスター「続きまして・・・」

〇黒
  研 究 室
「今度は大丈夫なんですか?」
「さ〜な・・・」
「とりあえず、これを」
「これで、持ち直すといいのですが・・・」
「もう28・・・」

〇黒
(ん・・・)
(ん──)
リュウイチ(こ・・・ここは・・・)

〇近未来の手術室
マキ「ちょっと君!!」
マキ「気がついたようね」
リュウイチ「う・・・うぅ・・・ ここは・・・」
マキ「最新医療の研究室・・・ と言ったら分かりやすいかしら?」
リュウイチ「どうして俺がこんな所に?」
マキ「あ〜覚えてないのね?」
マキ「あなたは、交通事故にあって普通の病院では手に負えないから、ここに来たのよ」
リュウイチ「そうだったんですか・・・」
マキ「それじゃ早速だけど、意識がしっかりしているか簡単な質問をするわね」
リュウイチ「はぁ・・・」
マキ「名前は?」
リュウイチ「リュウイチです」
マキ「年齢は?」
リュウイチ「28歳です」
マキ「職業は?」
リュウイチ「フリ・・・」
リュウイチ「役者を目指しています!」
マキ「目指す?」
マキ「あの・・・夢じゃなくて職業を聞いているの」
リュウイチ「コンビニで・・・アルバイトをしています」
マキ「そう・・・」
マキ「質問は以上になります」
マキ「大丈夫みたいね」
リュウイチ「ふー」
マキ「ところで役者って どんな役者を目指しているの?」
リュウイチ「そ・・・それは・・・」
マキ「なによ、聞いてもいない時に答えて 聞いたら答えないって、変な人ね(笑)」
リュウイチ「子どもの頃からの夢で・・・」
リュウイチ「特撮物のヒーローを目指しています!」
マキ「そうなんだ!」
マキ「だったら、ちょうど良かったかもね!」
リュウイチ「・・・ちょうど??」
リュウイチ「・・・・・・」
リュウイチ「は!!」
リュウイチ「今、何時ですか!?」
マキ「今!? だいたい14時頃だけど・・・」
リュウイチ「まだ間に合う!」
リュウイチ「バイトの時間なので失礼します!」
マキ「ちょっと待って! まだ説明しないといけない事が!!」
マキ「あらら・・・行っちゃった・・・」

〇黒

〇コンビニ
  リ ュ ウ イ チ の 勤 め 先
  ビ ジ ネ ス マ ー ト

〇コンビニのレジ
店長「リュウイチ君、ちょっといいかね!」
リュウイチ「てっ・・・店長・・・」
リュウイチ「すみません、ビジネスマートは スーツが基本ですよね」
リュウイチ「スーツっぽい服これしか無くて・・・」
店長「ま〜そうだね!うちは、お客様に正装で ご対応するのが、もっとうだからね!」
リュウイチ「やっと、お金が貯まったので 明日、買いに行ってきます・・・」
店長「もう、その必要は無いよ!」
リュウイチ「え!?」
店長「じつは、本社の方針で今後 エコに力を入れていく事になってね」
店長「環境問題に積極的に取り組む事になったんだ」
店長「君の服装がクールビスでエコだから いいじゃないか言う事になったんだ」
店長「だから、その服でいいんだよ」
店長「よかったね」
店長「あと、これから、どんどんエコになるから お店の対応、頼んだよ!」
リュウイチ「わかりました店長!」
リュウイチ「これからはエコノミストとして頑張ります!」
店長(エコノミストは経済学者だぞ・・・ リュウイチ君・・・)
  エ コ 研 修 後
リュウイチ「いや〜エコって最高だな〜」
リュウイチ「おかげで、スーツも買わなくて済んだし!」
リュウイチ「あ、お客さんだ」
リュウイチ「いらっしゃいませ!」
リュウイチ「お客様こちらの商品ですが割り箸をお付けする事ができませんが、よろしいでしょうか?」
客「は?」
客「なんでだよ、手で食えってのかよ!」
リュウイチ「いえ、そういうわけでは・・・」
リュウイチ「割り箸は木を使っており、環境に悪いですので、マイ箸をお使いください!」
リュウイチ「あちらの棚にプラスチック製の 何度でも使えるリターナブル箸が ございますので、お買い求め下さい!」
客「ちっ!」
客「もう、ラーメンいいや、帰るわ」
リュウイチ(ふぅ・・・まったく・・・)
リュウイチ(エコが分かって無い人は困ったもんだ・・・)
リュウイチ「いらっしゃいませ!」
リュウイチ「お客様、本日から、こちらの商品にお付けするスプーンですが素材が変わっておりまして」
リュウイチ「プラスチックは環境に悪いですので、木となっております!」
客「あ、そう・・・」
客(さっき木がダメだって言ってなかったっけ?)
リュウイチ「ありがとうございました!」
客「君」
客「このお店は仮想通貨で支払いはできるかい?」
リュウイチ「大変申し訳ございません」
リュウイチ「仮想通貨は電気を使用し、環境に悪いですので当店では、ご利用いただけません」
客「そうかい」
客「では、オフィスへのデリバリーは やっているかい?」
リュウイチ「はい、配達の事ですね!」
リュウイチ「最近はじめましたデリバリーでは、電動スクーターと電気自動車を使用しておりまして」
リュウイチ「大変エコとなっております!」
客(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
客「そうかい、それは良かった」
客「また、利用させてもらうよ」
リュウイチ「ありがとうございます! またのご利用お待ちしております!」
リュウイチ「ふ〜」
リュウイチ「エコも大変だな〜」

〇黒

〇上官の部屋
無課金「Hello MuTUBE!」
無課金「みんなが夢中のムーチューバー!」
無課金「ムカキンです!」
無課金「課金するなんて、クソ喰らえ!」
無課金「今日も無課金で、廃課金ユーザーを メッタメタにしてやるぜ!!」
無課金「── ALL RIGHT!! ──」

〇古いアパートの一室
リュウイチ「あ〜俺もムーチューバーはじめようかな?」
リュウイチ「役者の仕事も、たまにしかないし、役者って言っても脇役の仕事しかないし・・・」
リュウイチ「その脇役の仕事も 出るためにバイトを休んで・・・」
リュウイチ「あ〜俺は、一体何をやっているんだ・・・」
リュウイチ「えぇ〜い!」
リュウイチ「こんな事を考えていてもしょうがない!」
リュウイチ「とりあえず、スーツ代も浮いた事だし 銀行に預けに行くか」

〇銀行
  長 若 銀 行

〇病院の待合室
銀行員「お客様、大変申し訳ございません」
銀行員「只今、通信障害によりATMが使えなくなっておりまして、ご用件は窓口の方で承ります」
チンピラ「あんだよ!せっかく来たのに どうなってんだよ!!」
銀行員「も、申し訳ございません」
チンピラ「あ〜!? 謝れば済むと思ってんのかよ!」
銀行員「決して、そういうわけでは・・・」
銀行員「何、防犯カメラも動作が不安定だと・・・」
チンピラ(ほ〜こりゃいい事、聞いたぜ)
銀行員「システム管理本部は一体何をしてるんだ!」
チンピラ「おい、お前ら動くな!!」
銀行員「ヒー」
チンピラ「こいつの命が惜しけりゃ金を用意しろ!!」

〇銀行
リュウイチ「いや〜にしても暑いな〜 お、ATM故障中か〜」
リュウイチ「ま、外は暑いし 中に入って涼んでいきますか〜」

〇病院の待合室
リュウイチ「フ〜♪涼しい〜♪」
リュウイチ「おっ!暗いな〜」
リュウイチ「最近は電力不足もあるから節電ですか!」
リュウイチ「エコですね〜さすが銀行さん! しっかりしてる!」
チンピラ「おい、お前!何者だ!」
リュウイチ「えっ!?」
リュウイチ「銀行の人・・・じゃないよね!?」
チンピラ「てめ〜さっきから 何一人でブツブツ言ってんだよ!!」
チンピラ「ブッ殺すぞ!!」
銀行員「たっ助けて・・・」
リュウイチ「ヒーーー」
リュウイチ「失礼しました!!」

〇銀行
リュウイチ「うっうっうっ・・・」
リュウイチ「怖かったよ〜」

〇近未来の手術室
リュウイチ「子どもの頃からの夢で・・・」
リュウイチ「特撮物のヒーローを目指しています!」

〇銀行
リュウイチ「そうだった・・・」
リュウイチ「俺はヒーローになりたかったんだ!!」
リュウイチ「ヒーローになって、子どもたちに 勇気と希望を与える人になるんだ!!」
リュウイチ「逃げている場合じゃない!!」
リュウイチ「行かないと!!」

〇病院の待合室
リュウイチ「あっ・・・あの〜」
チンピラ「あんだよてめ〜 まだいたのかよ!!」
リュウイチ「どういう理由があるかは知りませんが 人質はよくないかと・・・」
チンピラ「うっせえな!てめぇ!!」
チンピラ「説教とかイラねぇんだよ!!」
チンピラ「いい度胸してるじゃねぇか!」
チンピラ「てか、暗くてよく見えねぇな」
チンピラ「おい、ネェちゃん、ちょっと電気つけろ!」
銀行員「はっ、はい!」
  パチッ

〇病院の待合室
チンピラ「どんなツラしてんのか、しらねぇけど」
チンピラ「このナイフで、ズッタズタに・・・」
  カタン
チンピラ「あっあっ・・・」
チンピラ「すみませんでした!!」
チンピラ「もう、二度とこんなマネしませんので」
チンピラ「命だけは、お助けを!!」
チンピラ「あぁ〜〜〜〜〜」
(あれ!?案外話せば分かる いい人だったのかな!?)
銀行員「あっ・・・あっ・・・」
「お嬢さん、お怪我はありませんでしたか?」
銀行員「ちっ・・・」
銀行員「近寄らないで!!」
銀行員「バケモノ!!」
  ポチッ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〇黒

〇黒

〇病院の待合室
リュウイチ「ん?」

〇黒

〇テレビスタジオ
ミナ キャスター「次のニュースです」
ミナ キャスター「こちらは、衝撃映像となっております!」
ミナ キャスター「昨日、お昼頃、長若銀行に 怪人が現れました!!」
ミナ キャスター「当時、通信障害が発生しており、映像の一部しか記録されていませんでしたが、貴重な映像をご覧下さい」

〇病院の待合室

〇テレビスタジオ
ミナ キャスター「なんと、怪人にナイフ1本で立ち向かう 勇敢な青年の姿が映し出されています!」
ミナ キャスター「警察は怪人の行方を追うと共に この勇敢な青年の行方も追っています」
ミナ キャスター「なお、銀行員の証言によりますと」
ミナ キャスター「『もう、何も思い出したくない』と心の傷が癒えるまで自宅療養するとの事でした」
ミナ キャスター「次のニュースです・・・」

〇古いアパートの一室
リュウイチ「うっうっうっ・・・」
リュウイチ「どうして、こんな事に・・・」
リュウイチ「よし、もう一度あの研究室に行ってみよう」

〇近未来施設の廊下
リュウイチ「一体どうなってるんだ、本当に!!」
リュウイチ「あっ・・・リュウジ」
リュウジ「兄さん!」
リュウジ「どうしたんだい、こんな所で!?」
リュウイチ「いや〜野暮用で・・・」
リュウイチ「お前こそ、何でこんな所に?」
リュウジ「あれ?言ってなかったっけ?」
リュウジ「今、製薬会社に勤めていて ここに出入りしてるんだよ」
リュウイチ「お前は凄いな〜 昔から勉強もスポーツも何でも出来て」
リュウジ「そんな事ないよ、兄さんだって夢だった役者やってるんだろ?凄いじゃないか!」
リュウイチ「いや・・・ま・・・」
リュウイチ「ゴメン、急ぐから、またな!」
リュウジ「にしても、兄さん何でこんな所に・・・」

〇近未来の手術室
リュウイチ「ちょっと、どうなってるんですか!この体!!」
マキ「やはり、出てしまったのね・・・」
リュウイチ「!?」
マキ「あなたは、あのままじゃ助からなかったの!」
マキ「だから、細胞を活性化させる 治験薬を投与したのよ!」
リュウイチ「治験薬!?」
マキ「そう、クワガタ由来のね」
リュウイチ「クワガタの!?」
リュウイチ「なんで、そんな勝手な事を!ふざけるな!!」
マキ「死ぬよりいいじゃない、それにあなた なんとかライダーとか好きなんでしょ?」
リュウイチ「・・・・・・」
マキ「バッタもクワガタも変わりはしないわよ」
リュウイチ「お前〜」
マキ「それに、家族の承諾も得ているわ」
リュウイチ「家族の承諾!?」
リュウジ「兄さん、すまない」
リュウジ「僕が承諾書にサインしたんだ・・・」
リュウジ「本当にすまない・・・」
リュウイチ「どうして、そんな勝手な事を!!」
リュウジ「兄さんを救うには これしか無かったんだ・・・」
リュウジ「副作用があるとはいえ、兄さんを見殺しには出来なかった・・・僕のわがままだ」
リュウジ「ゴメン・・・」
リュウイチ「・・・・・・」
リュウイチ「バーカ、気にすんなよ!」
リュウイチ「俺が昔からヒーローに憧れているのは 知ってんだろ?」
リュウイチ「バッタよりクワガタの方が カッコイイじゃないか!」
リュウイチ「ありがとな!!」
リュウジ「兄さん・・・」

〇白
  こうして俺は、この力を使って
  世界を救う本当のヒーローになった
  こいつも一緒に・・・

〇黒
  完

コメント

  • カイジン29から見に来ました!
    順序からすれば、こちらが前日談にあたる話になると思いますが、お兄さんが何をやっていたか(やらかしていたのか)分かる内容でしたね〜
    予想以上にお人好しでオバ…楽天的すぎて、詐欺に引っかからないか、心配になるレベルの人だったと分かりました
    銀行強盗誤解の件を見ても、その前もかなり誤解されたり利用されたりした半生だったでしょうね…やっぱり博士は、殺っちゃいましょう!

  • 主人公の目標が明確で主人公の行動にとても説得力がありました。また、ダークコメディ的な独特の空気感があって作品に個性を感じました。とても勉強になりました。

  • 私もバッタよりクワガタの方がかっこよくて好きです!面白かったです!

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