恋文先生!!

神楽坂駿

第五話「恋文の行く先」(脚本)

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〇ファミリーレストランの店内
七草詩織「ラブレターを書くのをやめる・・・?」
高田雄馬「ああ」
七草詩織「なんで急にそんなことを言うの!?」
七草詩織「雄馬君は楓が好きなんでしょう!? 好きなら好きって、伝えればいいじゃない!」
七草詩織「あ・・・」
  慌てて、自分の口を塞ぐ。
七草詩織(好きって、伝えるのが難しいから雄馬君は、私に頼ってくれたのに・・・私は、何を言って・・・)
  雄馬君の様子を見ると、彼は悲しそうな表情を浮かべていた。
高田雄馬「・・・じゃあな」
  止める間もなく、雄馬君はファミレスから出ていってしまうのだった。

〇一人部屋
七草詩織「・・・ひどいこと言っちゃったな」
七草詩織(私は、雄馬君に想いを叶えてほしいと思ってた)
七草詩織(でも、それは私の都合でしかない)
七草詩織(ラブレターを書くのもやめるのも、雄馬君の自由なのに。あんなふうに怒鳴ったりして・・・)
七草詩織「お節介だな、私・・・」
  ため息をついてベッドに横たわる。
  机の上に置かれたままだった書き途中の便箋が目に止まった。
七草詩織(私だって雄馬君と同じ。 想いを言葉にすることなんてできないのに)
  そもそも、どうして私は恋文先生なんて引き受けてしまったんだろう。
  その時のことを思い出す。

〇学校の廊下
高田雄馬「今日の発表会で七草が読んだ作文、すごくよかった」
高田雄馬「聞いてて色々と考えさせられたよ」

〇一人部屋
七草詩織(そうだ、あのとき雄馬君が、私の作文を褒めてくれた。恋文先生だと言って、慕ってくれた)
  そんな風に言われたことは初めてだったから、本当に嬉しかった。
  だから私は、雄馬君の恋文先生になりたいたいと思ったんだ。
七草詩織(雄馬君は、もう書くのを辞めてしまった。だけど、それでも私は・・・)
七草詩織「もう一度、書いてみようかな」
  ベッドから起き上がり、机に向かう。
  雄馬君のためじゃない。自分自身のために、私は自分の想いを言葉にしてみたい。
  そう思い、ラブレターの続きを書き始めたのだった。

〇一人部屋
七草詩織「・・・ようやく書き終わった」
七草詩織(・・・でも、思ったよりも時間がかかっちゃった。もう外も真っ暗だし)
七草詩織「・・・・・・」
七草詩織(・・・普通なら、ラブレターを書いたら相手に渡すんだろうけど)
  私は、このラブレターを雄馬君に渡すつもりはない。
七草詩織(雄馬君への恋心は、このラブレターの中だけに閉じ込めておこう)
  そう決めた私は、宝物を隠すように、制服のポケットの中にラブレターをしまった。

〇教室
  翌日。私は、いつも通り学校へとやってきたが・・・。
高田雄馬「・・・・・・」
七草詩織(雄馬君、私と目を合わせてくれない。 やっぱり怒ってるのよね・・・)
  落ち込んでいた次の瞬間。
七草詩織「・・・メッセージ? 誰から・・・」
七草詩織「って、これ・・・雄馬君?」

〇広い公園
高田雄馬「七草・・・来てくれてありがとう」
七草詩織「ううん。それで、こんなところに呼び出して、どうしたの?」
高田雄馬「手紙、急に書くのを辞めるとか言ってごめんって、謝りたかったんだ」
七草詩織「雄馬君・・・」
七草詩織「ううん、私の方こそごめんなさい。 雄馬君にひどいこと言っちゃった」
高田雄馬「いいんだ。悪いのは俺だから」
高田雄馬「それより、その・・・あれから、もう一度手紙を書いてみたんだ」
高田雄馬「七草、読んでみてくれないか?」
七草詩織「また添削をしてほしいってこと? それは構わないけど・・・」
七草詩織「えっと、七草詩織さまへ・・・?」
七草詩織「えっ!? こ、これ、宛名が・・・」
高田雄馬「・・・続き、読んでくれないか?」
七草詩織「う、うん・・・」
七草詩織「拝啓、今、ファミレスでこれを書いています。最近は一緒にいることの方が多かったから、ひとりでいると逆に変な感じです」
七草詩織「会いたいです。あなたが好きです」
七草詩織「こ、これだけ? 尻切れトンボ感がすごい!」
七草詩織「あと『逆に変な感じ』ってどういうこと? 何が『逆』なの?」
七草詩織「それから『拝啓』と書くなら、季節の挨拶ではじめて、最後は『敬具』で締めくくって下さい!」
高田雄馬「うっ・・・すみません」
七草詩織「それから・・・宛名、間違えてる・・・」
  そう言うと、かあーっと顔が熱くなってくるのを感じる。
高田雄馬「いや、そこは間違ってない」
七草詩織「え?」
高田雄馬「・・・少し、昔話を聞いてくれるか?」
高田雄馬「昔、小学生に上がる前のことだったかな。二人組の女の子と遊んだことがあるんだ」
高田雄馬「そして、片方の女の子と、結婚の約束をしたんだ」
七草詩織「結婚の、約束・・・」
  創作でありそうな、ありがちな約束。
  だけど、何故かその話を聞いて、デジャブを覚える。

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