ダークサイドの魔獣騒動

ノサリン

魔獣と少女と魔獣討伐部隊(脚本)

ダークサイドの魔獣騒動

ノサリン

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〇総合病院
???「・・・・・・」
隊員「部隊が到着しました」
隊員「ん?あの少年が、魔獣ですか?」
タクト「は、はあ?」
???「の、ようだな。お前たちは後ろで銃を構えてろ」
隊員「は!!」
???「さあ、魔獣。いくぞ」
タクト「・・・・・・」
  軍服の人は走って迫ってきた。
???「えああああああ」
???「あああああああ!!」
タクト「ば、化け物!!」

〇総合病院
???「ああ!!」
タクト「うわ!!」
???「ああ!!」
タクト「痛い!!」
???「どうした?さっきみたいに戦わないのか?」
タクト「なんで・・・・・・なんなんだよ。どうしてこんなことを!?」
???「ふん。命乞いか。案外情けない奴だな」
  化け物は勢いよく迫ってきて、僕の首をつかんだ。
タクト「う、うう──」
  ギュウウウウウ
???「・・・・・・」
???「つまらない戦いだったな」
???「じゃあな」
「待て」
???「ん!?」

〇高層階の部屋
???「ガイア・・・・・・それ以上は不要だよ」

〇総合病院
ガイア「コンドル、だが──」

〇高層階の部屋
コンドル「ガイア」
コンドル「私はその子に興味がある。ちょっと話をさせてよ」
コンドル「いいね?」

〇総合病院
ガイア「・・・・・・分かった」
ガイア「おい、こいつを捕獲しろ」
隊員「は!!」
ガイア「あいつは一体何を考えている?」

〇入場ゲート

〇本棚のある部屋
???「・・・・・・ト。タクト!!」
「お、お母さん」
???「ふふ、おはよう」
「お、おはよう?」
???「もう、お寝坊さんね」
???「はやく起きないと、遅刻しちゃうわよ」
「あ、本当だ。じゃあ僕、起きるね」
???「ふふふ、じゃあ、ご飯作ってあるから。はやく来なさいね」
「うん!!」
???「・・・・・・」
「お母さん?」
???「ごめんねタクト」
「どうしたの?」
???「・・・・・・」
  ・・・・・・
「お母さん!?」
「お母さん?」

〇血しぶき
魔獣「ああああああああ」
「うわー!!」

〇殺風景な部屋
タクト「わ!!」
タクト「夢か」
タクト「なんだったんだろ・・・・・・さっきの夢」
タクト「て、ここは・・・・・・」
タクト「僕は確か、変な人たちに襲われて──」
タクト「ぼ、僕、もしかして捕まったのか!?」
タクト「こ、これからどうしたらいいんだろう」
「それは私から説明するよ」
タクト「え」
コンドル「やあ、魔獣人間くん」

〇近未来の通路
  コンドルという男は、いろいろ説明しながら施設のなかを見せてくれた
コンドル「魔獣、この世界に存在する、摩訶不思議な存在。彼らは人間を主な捕食対象とし、生活している」
コンドル「そいつらから人間を守るために設立されたのが、極秘機関、魔獣討伐部隊さ」
タクト「魔獣討伐部隊・・・・・・」
コンドル「そう。だが、君も知っての通り、人間と魔獣の力の差は絶大だ」
コンドル「当初は隊員たちが犬死するばかりで、大した成果も得られなかった」
コンドル「が」
タクト「ど、どうなったんですか?」
コンドル「ガイア、という青年が、一体魔獣を始末してくれたんだ」

〇実験ルーム
魔獣「・・・・・・」
コンドル「あそこに保管されてるやつ」
タクト「あれが、魔獣──」
コンドル「ガイアが持ってきた魔獣の死体を研究し、私たちの部隊は彼らに対抗する武器を開発することができた」
コンドル「ついには、魔獣の力をコントロールできる人間も」
タクト「・・・・・・」

〇総合病院

〇実験ルーム
コンドル「私たちの部隊はまさしく、魔獣たちの脅威になったんだ。短い期間でね。けど──」
タクト「けど?」
コンドル「最近ね、妙なんだ。魔獣たちの動きが」

〇雑踏
コンドル「彼らはより社会に溶け込み、まるで人間のように振舞うようになってきた」
コンドル「もはや事件の発生は予測不可能だ。きっと、気づかれていない事件も存在するだろうね」
コンドル「どうも彼らが賢くなってきたのか、それとも他の知的生命体の関与があるのか」
コンドル「まあ、彼らも私たちと同じで、人目を避けて活動したいだろうから、手段も合理的になってきいる」
コンドル「以前とはだいぶ違ってきているのさ」

〇実験ルーム
コンドル「魔獣の活動もより活発になってきているし、なんかいろいろ変なんだ」
コンドル「このままではまた犠牲者が増えてしまう。そこで──」
コンドル「君にこの部隊に入ってもらいたい」
タクト「え」
コンドル「つまりスカウト!!」
コンドル「君は明らかに魔獣の力を所持しているけど、一応人間であるという自覚もあるのだろう?」
コンドル「それなら、その力を人間を守るために使うということもできるよね」
タクト「で、でも・・・・・・」
コンドル「そもそも君はまだ私たちからすれば、魔獣という認識だし、総裁にもそう報告しなければならない」
コンドル「当然ながら君は今から処分される運命にある。でも、人間のために戦うってなったら話は別」
コンドル「私たちに君を処分する意味はなくなる。どう?いずれにせよ、君に選択肢はないと思うけど?」
コンドル「まあ、もう少し時間があるから考えておいてよ。私に従うか、処分されるか、人間を敵に回すか」

〇二階建てアパート

〇散らかった部屋
タクト「はあ・・・・・・」
タクト「そうだ、マスターに仕事に戻れなかったこと、謝らないと」
  メール『マスター、今日は仕事に戻れなくて本当にすみませんでした』
タクト「もしかしたら、仕事辞めることに──」
タクト「いや、これは次行ったときに」

〇散らかった部屋
  返信『いいよ、いいよ。まだ子供なんだから、失敗もあるさ。あんまり気にしないで、またおいで』
タクト「マスター・・・・・・」
  スマホの電源を切ると、僕はそばにあった一枚の写真を手に取った
タクト「お父さん、お母さん、僕変なことに巻き込まれちゃった」
タクト「それに、人間じゃないって言われたり」
タクト「僕、どうしよう」
「男が泣くな。みっともないぞ」
「大丈夫だから、あなたが決めなさい」
タクト「わかって、るよ・・・・・・」

〇丘の上
  翌朝、仕事も休みなので僕は迷ったらよく来る場所にやってきていた。
タクト「はあ、どうすればいいんだ」
タクト「ん?」
  どこからか、心地よいフルートの音が聞こえてきた
タクト「きれいな音色・・・・・・」
タクト「す、すごい。こんな引き込まれるような音色、聞いたことない」
タクト「どこから聞こえてきているんだろう?」
  耳を澄ましてみると、この近くから音が出ているのがわかった
  僕は無意識に、そのフルートの音がする方へ歩き出していた

〇森の中
タクト「・・・・・・」
タクト「あ」
  そこには、フルートを弾く女の子が立っていた
タクト「だ、誰だろう・・・・・・きれいな人」
  しばらくして、演奏が終わった
???「・・・・・・誰?」
タクト「あ、僕は──」
???「もしかして、あなたも私を殺しに来たの?」
タクト「え!?そ、そんなつもりはないよ。それに、人殺しなんてしたくない」
???「ふーん。じゃあ、何しに来たの?」
タクト「いや、フルートの演奏があまりにも聞いてて心地よくて、つい体が勝手にうごいたというか──」
タクト「ごめんなさい!!」
???「・・・・・・私の歌を聞きに来てくれたの?」
タクト「え!?歌?まあ、そう」
???「本当に?」
???「嬉しい!!」
タクト「え」
  彼女は目を輝かせて、僕の近くまで来た
???「私、ずっと探してたの。私の歌を聞きに来てくれる人を」
???「やっと見つけた。じゃあ、私の歌、もっと聞きたい?聞いてくれる?」
タクト「う、うん。聞きたい、です」
  そうだ、今日はこの子の音色を聞いて、心を落ち着かせよう。
???「じゃあ、歌うね!!」
  女の子は嬉しそうにフルートをくわえ、演奏を始めようとした
  しかし──
「姫に手を出すなー」
???「え?」
タクト「ん?うわ──」
???「うううう」
タクト「ま、魔獣!?」

〇森の中
???「姫、大丈夫ですか?」
???「じ、じいじ・・・・・・」
???「このふとどきものめが。許さんぞ、性懲りもなく姫を狙いに来るとは」
タクト「は、はあ?何言って──」
タクト「と、というかお前もなんなんだよ。何で魔獣がでてくるんだ!?」
???「うるさい! くらえ!!」
タクト「うわっ!!」
???「うううううう、はあ!!」
タクト「うわあ」
???「ふん!!」
???「ん!?」

〇森の中
タクト「こ、この・・・・・・」
タクト「はああ、はあ!!」
???「ぐ、ぐわあ」
タクト「姫ってどういうことだ?」
???「お前に応える筋合いはない!!」
タクト「うわっ」
???「殺してやる!!」
タクト「ぼ、僕だって。こうなったら戦ってやる!!」
  ・・・・・・
「ビー!!」
  その時、震えあがるくらいの怒りにみちたようなフルートの音が聞こえた
タクト「!?」
???「んん!?」
???「・・・・・・」
???「二人とも、やめて」

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