見習いリリカの悪魔契約

三雲ユウリ

9話 見習い悪魔、××する(脚本)

見習いリリカの悪魔契約

三雲ユウリ

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〇学校の部室
リリカ「・・・っ!手痛・・・」
リリカ「離しなさいよ!」
生徒「・・・」
リリカ「ちょ・・・っと!」
リリカ(は、いや距離近すぎでしょ気持ち悪い、というか力強・・・!)
リリカ(左手は自由だし、後ろで制御装置弄ってなんかいい魔法を・・・!)
リリカ「・・・・・・っ!」
生徒「何してんの?助けとか呼ばれたら困るんだけど」
リリカ「あんた・・・制御装置を・・・!」
生徒「なにそれ?」
リリカ(やばい・・・まずい、だめ。あれがないとあたし・・・!)

〇黒背景
ママ「近寄らないで・・・化け物!」

〇学校の部室
リリカ(制御装置があれば大丈夫、大丈夫、なのに・・・)
生徒「ははっ。いっつもやかましそうだったから、こんなんでビビると思ってなかったよ」
リリカ(あ、あぁそうだ。こいつ・・・こいつを眠らせなきゃ、離れなきゃ)
リリカ(怖い。気持ち悪い、どっか行って・・・!)
リリカ「・・・・・・あ」
リリカ(やばい、制御できない・・・)
リリカ「痛い・・・!怖い、近寄らないで!」
生徒「は・・・?!なんだこいつ、化け物・・・!」
リリカ「知ってる・・・覚えてる・・・この感覚」
リリカ「体の奥底から力が溢れてきて、ドクドクして、なんでもできそうで」
リリカ「でも自分ではどうもできなくて止まらなくて化け物でそう言われて逃げられて一人になって」
リリカ「あたしは・・・!」

〇教室
  数分前
トウマ(呼び出しって言っても、だいぶ早く終わったな。まだリリカいたら一緒に移動するか)
トウマ(いない・・・か?)
生徒「あ!トウマくん、今日は一人?私達とご飯食べようよ」
トウマ「あーごめんね。今日は先約があって」
生徒「それってまた美桃さん・・・?」
生徒「美桃さん、さっき別の男子と歩いてたよ」
生徒「ねぇねぇ、今日くらい一緒に食べよーよー」
トウマ(最近収まってたのに・・・めんどくさ てか、リリカが他の男子と移動?)
トウマ「ごめんね、約束だから。 てか、美桃さんが一緒に歩いてた男子って、リュウト?」
トウマ(リュウトならカナと一緒に図書委員会のはずだけど・・・)
生徒「違うよ、佐藤」
トウマ(佐藤?!リリカ、佐藤と知り合う機会とかあったか・・・?!)
トウマ「ごめん、もう一個聞いていい?二人がどこ行ったか知ってる?」
生徒「それなら、古い方の社会科準備室だよ」
生徒「多分だけど。特別棟の四階の奥とか言ってたもん」
トウマ(旧社会科準備室・・・?あんなところ、誰も使わないのに。なんか、胸騒ぎがする)
トウマ「ありがとう、青木さん、一ノ瀬さん!ちょっと急ぐから、また!」
生徒「あっトウマくん!」

〇学校の廊下
トウマ「あそこか、旧社会科準備室」
生徒「はあっ・・・!はあっ」
トウマ「お前は・・・佐藤!」
トウマ(確かリリカは佐藤と一緒に社会科準備室に行ったんじゃ?)
トウマ「待て!」
生徒「っなんだよ!」
トウマ「こんなところでなにしてたんだよ」
生徒「は?なにお前急にキレてんの・・・?」
生徒「知らねえよそんなこと!そんなことより化け物が・・・!」
トウマ(あいつは前から素行が悪い。リリカに何かしててもおかしくない、が)
トウマ(あの慌てぶりはなんだ? いや、考えてる暇ないな)

〇学校の部室
トウマ「おいリリカ!いるか?」
リリカ「う・・・」
トウマ(金の髪・・・?それに、この散乱した部屋は、全て魔法で?)
トウマ「痛っ!」
トウマ(ちょっとかすっただけだけど、攻撃? まさか。そんなことするか・・・?)
トウマ(我を失っているとしか思えない)
リリカ(なんだろ、なにも見えない・・・誰か、いる?)
トウマ「リリカ。聞こえるか?!」
リリカ(人影・・・)
  近寄らないで!
リリカ「やだ、いや、」
リリカ「置いていかないで!ママ!」
トウマ(親?それに、魔法を乱発するこの状態。 そうか、これが前言ってた暴走か)
トウマ「といってもそういう事情詳しくないし、どうしたら・・・!」
リリカ「みんな・・・どこ行っちゃったのよ」
トウマ「・・・・・・」
トウマ「大丈夫。ここにいるから」
リリカ(あれ・・・なんだか暖かい・・・?)
リリカ「眠、い」
リリカ「・・・・・・」
トウマ「戻っ、た?」
トウマ「なんとかなった、のか」

〇保健室
リリカ「ん・・・」
リリカ「あれ、ここは・・・ 見覚えのある天井ね」
トウマ「起きたか?」
リリカ「え、あれ、トウマ?」
リリカ(ん、あたしなにしてたんだっけ)
リリカ「そういえばトウマ、頬になにか貼ってる?」
リリカ「・・・・・・あ」

〇黒背景

〇保健室
リリカ(そうだ、あたし暴走して・・・傷付けた、トウマを)
リリカ(どうしよう、どうしよう、怪我してる?あたしのせいで!)
リリカ「ごめんなさい、あたし、その・・・」
リリカ「もうあなたにもカナ達にも近寄らない、学校もやめるし迷惑かけないから」
トウマ「え、ちょ、は?」
トウマ「なんで・・・!さっきから目合わせないんだよ!」
リリカ(だって目を見たら怯えられて、怖いものを見るみたいに・・・)
トウマ「ここにいるって言っただろ。信じろよ」
リリカ「ほんとうに・・・?」
トウマ「あぁ」
リリカ(目が、いつもと同じ・・・?)
リリカ(それに、さっきも似たような目を見た気がする)
リリカ「・・・ありがとう」

〇保健室
トウマ「あとこれ。落ちてた」
リリカ「あ、これ制御装置!ありがとう・・・!」
リリカ「叩き落とされたんだけど、まだ動くみたい。よかった・・・」
トウマ「佐藤はもう近寄ってこないと思うから、その・・・迷惑かけたな」
トウマ(みんなに望まれるように振る舞ってたのに、それに嫉妬する奴がいるとか・・・)
リリカ「どうして謝るの?あの人間が気持ち悪かったのはトウマに関係ないわ」
リリカ「むしろ、今回のこと・・・色々ありがとう。ごめん、その怪我も」
トウマ「別に、俺がやりたくてやっただけだから」
トウマ「それじゃ、もう少し寝てなよ そこに鞄置いてるし、暫くしたら帰っていいらしいから」
リリカ「トウマは、帰るの?」
トウマ「今日は、その・・・塾があるから」
リリカ(そういえば、あたし達のバイトよりもずっと多く、塾に行ってるんだっけ)
リリカ「それに行くと、トウマのお母さんは笑ってくれるの?」
トウマ「・・・まぁ」
リリカ(ちょっと寂しいけど・・・トウマはトウマの両親が好きなんだから)
リリカ「そっか。じゃあ、またね」
トウマ「あぁ」
リリカ「あたしも、制御装置なしでも魔法制御できるようにならないとなぁ・・・」
リリカ「ママとパパに自信持って会いに行きたいし、センセーにも褒めてもらいたいし」
リリカ(魔法を制御して卒業試験をちゃんと合格できれば、きっとママとパパは迎えに来てくれるはず)
リリカ(でも、試験が終わっちゃったらもうトウマとは・・・みんなとは会えないのかな)

〇広い改札
  その日の夜──
トウマ(頬の絆創膏、塾の先生にあんな騒がれるとは・・・)
トウマ(暴走・・・なぁ・・・)
トウマ(関わってもろくなことにならないって思ってたはずなのに)

〇おしゃれなリビングダイニング
トウマ「ただいま」
長谷川母「トウマ。話があるの」

次のエピソード:10話 見習い悪魔、刺される

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