第五話「奏太に隠された力」(脚本)
〇荒廃したショッピングモール
俺は彩音さんと三浦さんという兵士と共に
デフィジョンのアジトを探していた。
偵察部隊の目的は、デフィジョンの
居場所を突き止めることだ。
その間は、討伐部隊が周囲のアビオを
引きつけてくれている。
デフィジョンを発見次第、
討伐部隊と合流することになっていた。
三浦智樹「へえ。じゃあ奏太くんは別の世界から 来たのかぁ。すごいな~」
城井奏太「信じてくれるんですか?」
三浦智樹「デフィジョンみたいな化け物だっている 世界だもん。ありえない話じゃないかも」
三浦智樹(みうらともき)――
彼は今年30歳であり、
兵士たちの中ではかなり年配者だ。
三浦智樹「早く元の世界に帰れるといいね」
城井奏太「そんな風に素直に信じてくれるのは、 三浦さんだけですよ」
三浦智樹「そうなの?」
城井奏太「基地内では、 みんなが俺を白い目で見てましたから」
三浦智樹「僕、無駄に長く生きちゃったからね。 歳と共に、人を疑ったり怪しんだり するのは疲れちゃったんだな。ハハハ」
城井奏太「三浦さん、家族はいるんですか?」
三浦智樹「今は柴犬が一匹ね。 基地の近くにこっそり犬小屋を作ったんだ」
城井奏太「へえー。いいですね」
三浦智樹「今度紹介してあげるよ。 顎の下をくすぐってあげると、 気持ち良さそうにゴロゴロ鳴くんだよ」
先を歩いていた彩音さんが、
こちらにサインを送っている。
城井奏太「あれは・・・!」
三浦智樹「その場に待機、って意味のハンドサインだ」
三浦智樹「あの先にデフィジョンを見つけたのかも しれない」
城井奏太「いよいよか・・・」
三浦智樹「大丈夫。討伐部隊が倒してくれる。 僕たちはあくまで援護だ」
城井奏太「はい・・・!」
数十メートル先にいた彩音さんが、
激しい衝撃音と共に吹き飛ばされた。
城井奏太「彩音さん!」
〇荒廃したショッピングモール
急いで駆け付けると、
彩音さんは植え込みの中に倒れていた。
その彩音さんの正面には、2メートルほどの巨大な黒い生き物が立っている。
長い頭部からは蒸気が噴き出し、
大きな口から覗く牙は鋭く尖っている。
城井奏太「こ、こいつが・・・デフィジョン!」
三浦智樹「奏太くん! 僕があいつを引き付ける。 その隙に隊長を助けるんだ」
城井奏太「でも一人じゃ──」
三浦智樹「いいんだ。隊長がやられて、 全滅するよりはマシだよ!」
城井奏太「・・・っ!」
三浦智樹「それに、隊長は今にもっと出世して、 いつかセナさんの片腕として活躍する。 今死なせるわけにはいかないからね」
城井奏太「三浦さん・・・」
三浦智樹「あとは頼んだよ・・・ こっちだ! 化け物!!」
デフィジョン「シャアァァァ!!!」
三浦さんはレーザーガンを連射しながら、彩音さんがいる方向と反対に走り出した。
デフィジョンが追いかけていく。
城井奏太「彩音さん・・・!」
桐島彩音「ゆ、油断した・・・! あいつ、強い!」
城井奏太「討伐部隊は──」
桐島彩音「連絡してある。3分以内には来る」
城井奏太「3分・・・」
桐島彩音「逃げ続ければいい! なんとしても時間を稼げ!」
三浦智樹「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!!」
デフィジョンの鋭い爪で三浦さんが
空高く突き上げられている。
城井奏太「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!」
桐島彩音「まずい・・・! もうアビオ化されている!」
城井奏太「なんで・・・どうして三浦さんが・・・」
桐島彩音「奏太! しっかりしろ!!」
城井奏太「そうだ・・・ま、まだ間に合うかも──」
桐島彩音「無理だ! 諦めろ! まとまっていると 狙われやすい。離れて戦うぞ!」
彩音さんは距離を取りながら
デフィジョンをレーザーガンで狙う。
俺はなんとか体勢を立て直し、
デフィジョンを挟みこむように
彩音さんとは逆の方向に走り出す。
だが正面には、
アビオとなった三浦さんが立ち塞がった。
三浦智樹「ガ・・・ギ・・・ィ・・・アァ」
城井奏太「三浦さん・・・」
〇クリーム
三浦智樹「早く元の世界に帰れるといいね」
〇荒廃したショッピングモール
城井奏太「俺は・・・俺には──」
桐島彩音「迷うな! 仲間の屍を越えなければ、 敵は殲滅できない!」
三浦智樹「ギ・・・ガガ・・・」
城井奏太「む、無理だ! 俺にはできない・・・!」
レーザーガンを下ろした瞬間、
三浦さんが襲い掛かって来た。
だが、同時に飛び出した彩音さんの
レーザーガンが三浦さんの頭を吹き
飛ばした!
城井奏太「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
桐島彩音「早く銃を構えろ!」
デフィジョンはその瞬間を見逃さず、
彩音さんの背後から襲い掛かった。
デフィジョン「シャアァァァァァァ!!」
桐島彩音「くっ・・・!」
城井奏太「彩音さん・・・!!!」
綾音さんは背中から血を流して
倒れている。
城井奏太「そんな・・・俺のせいでこんな・・・」
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三浦さん。。。
こんなのってないよ。。。
最初の奏多とのやりとりからやられましたわ。。。
でも、すごく好きな感じの展開が多かったので、引き続き楽しみにしてます。
めちゃ面白い!