第5話 麗しの桃色吐息②(脚本)
〇ウェディングドレス撮影スタジオ
武笠蘭「あたし、武笠蘭、空手二段。 林檎の同級生です」
武笠蘭「ここでバイトしてるって聞いてね。 心配で来ました」
霧乃あやめ「そう。でも大丈夫よ。 林檎はそれなりに働いてくれているわ」
武笠蘭「それなりに?」
朝陽林檎「・・・・・・」
霧乃あやめ「林檎、昼休みよ。 蘭さんと食事でもしてきたら」
朝陽林檎「は、はい」
〇林道
喫茶店へと続く林道には、爽やかな
風が流れて木の葉が揺らいでいる。
武笠蘭「いいバイト先だね」
朝陽林檎「うん」
蘭は背伸びして深呼吸すると、そっと
林檎の手に触れた。
朝陽林檎「どうしたの?」
不思議そうに林檎が返すと、蘭は小さく
微笑んで手を引っ込める。
武笠蘭「・・・なんでもない。行こ」
〇レトロ喫茶
雪代椿「林檎さん、いらっしゃいませ」
朝陽林檎「こんにちは、椿さん」
朝陽林檎「サンドウィッチとオレンジジュース ください」
朝陽林檎「蘭は?」
武笠蘭「私もサンドウィッチ。 あと、アイスコーヒー、ガムシロ抜きで」
雪代椿「かしこまりました」
雪代椿「ねえ、ご覧になって」
椿が林檎に小声で耳打ちする。
朝陽林檎「ん?」
雪代椿「あの人」
林檎が振り返ると、カウンターで珈琲を
飲む青年がいた。
雪代椿「素敵だと思いませんこと?」
朝陽林檎「!?」
雪代椿「わたくし、好きになりましたの」
朝陽林檎「椿さん!?」
雪代椿「マスター、サンドウィッチ二つ」
雪代椿「飲物はオレンジジュースとアイスカフィ、 ガムシロップ抜きでお願いします」
雪代椿「お冷や、いかがですか?」
朝陽林檎(新しい人にもう一目惚れ?)
〇店の入口
林檎たちが話している頃、喫茶店の
窓の外に禍々しい黒い渦が現れた。
渦の中から怪しい人影が出現する。
ブクロク「・・・・・・」
〇レトロ喫茶
武笠蘭「相変わらず・・・可愛い」
蘭は小さく呟くと、ためらいつつも
林檎の手に触れる。
朝陽林檎「ありがとう。蘭の手も綺麗」
武笠蘭「そうかな。空手や剣道してるから。 ゴツゴツになってる」
朝陽林檎「そんなことないよ。すべすべ」
武笠蘭「そう言ってくれるの。林檎だけだ」
そのとき、林檎は店の奥に潤んだ
瞳で見つめ合う二人の女性に気づいた。
加納美久「千佳・・・」
佐伯千佳「美久・・・」
朝陽林檎「! あの二人、確か・・・」
武笠蘭「愛し合ってるんだね」
朝陽林檎「・・・え?」
武笠蘭「あたしにはわかる。林檎、どう思う?」
朝陽林檎「どうって・・・」
武笠蘭「いいね。友だち以上の関係って」
朝陽林檎「! そうかなぁ?」
武笠蘭「素敵だと思わない?」
朝陽林檎「私には・・・わかんない」
武笠蘭「そっか・・・」
〇店の入口
窓の外のブクロクは、美久と千佳を
凝視しながら不気味に微笑んだ。
ブクロク「ターゲットが決まったぜ」
〇豪華なベッドルーム
美久は椅子に腰かけた千佳をモデルに、
キャンバスへと筆を走らせた。
キャンバスには、華麗な千佳が
舞うように描かれている。
佐伯千佳「美久、ゴメン、そろそろ妹と会う時間に」
加納美久「あ、そうだったね。 今日はここまでにしよう」
佐伯千佳「うん」
加納美久「ありがとう」
佐伯千佳「いい作品、仕上がりそうね」
加納美久「千佳のお蔭だよ」
〇林道
美久のアトリエから出てきた千佳は、
林道を駆け下りた。
お前は本当にあの女が好きなのか?
佐伯千佳「え?」
佐伯千佳「うぅぅぅ・・・」
ブクロク「あの女はお前のことなど好きではないぞ」
ブクロク「お前は心の奥底では俺様を欲している」
佐伯千佳「・・・っ!」
ブクロクは妖気を浴びせながら
千佳を抱きしめた。
ブクロク「さあ、俺様を求めるのだ」
佐伯千佳「うぅぅぅ・・・」
ブクロク「淫らにな!」
更に妖気を浴びせると、千佳の瞳が
光を失った。
佐伯千佳「・・・欲しい。あなたが欲しい」
〇豪華なベッドルーム
美久はアトリエの窓から外を眺めて、
言葉を失った。
加納美久「千佳!?」
そこには、自らブクロクに
抱きついていく千佳の姿があった。
加納美久「妹と会うだなんて嘘ついて・・・ ひどい!」
〇森の中のオフィス
〇L字キッチン
林檎が接客用の皿を洗っていると、
突然胸のペンダントが輝きを放った。
朝陽林檎「あっ!」
女神「また魔霊が現われました」
朝陽林檎「あ、あなたは!」
女神「急ぎなさい。 魔霊に惑わされた人を救うのです」
朝陽林檎「え?」
女神「早く」
霧乃あやめ「林檎、どうしたの?」
朝陽林檎「ごめんなさ~い!」
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ウェディングピーチ大好きだったのでとても楽しみに見ています!!