イケメン地獄

pappo

エピソード1(脚本)

イケメン地獄

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〇カラフルな宇宙空間
  ワタシは日向(ひなた)23歳。自他共に認めるワルの中のワル。やってないのは人殺しぐらい。
  で、結婚詐欺がバレちゃって
  相手に刺されてお陀仏。ま、この世に未練なんかなかったからむしろ清々してたんだけど
  え? 地獄? 私地獄行き決定?
  マジかー、まー、色々やらかしたからな〜、しゃーないかー。
  それにしても閻魔大王ってあんな顔してんだ(笑)

〇洞窟の入口(看板無し)
日向「うわっ、ここが地獄の入口かー。三途の川とかもないんだね、にしても、ちょっと不気味だわー。」
翔「よお! 君新入りだろ? ボクは翔。地獄の案内人なんだ。 今日はボクが君をエスコートするよ」
  え!
  なにこの超絶イケメン!!
  生前私が散々貢ぎまくったホストの翼なんか目じゃないわ❤
和也「可愛い新入りがやって来たって言うから急いで迎えに来たよ。ボクは和也。よろしくね。」
  え!
  なにこの絵に描いたような爽やか系!!
  マジでヤバい。
  ヤバすぎイケメン。
  お願い、化粧を直させて、、、
  
  切なる願い。
  
  アナタ達がまぶし過ぎて恥ずかしい。
  
  目がくらんで、立ってられない。
翔「おい! 日向は俺が最初に目をつけたんだ。お前は引っ込んでろ。」
和也「ガキはすっこんでろ。 地獄のエスコートは大人な俺に任せてもらわないと。 ね、日向❤」
  なんで私の名前知ってんの? あ、ひょっとしてここが地獄だから?
翔「日向、お前が決めてくれ。お前がアイツがいいって言うんなら男らしく諦めるよ」
  い、いきなりお前呼ばわり!!
  お前って呼ばれると実は私弱いのよ。
和也「ここは地獄だからね、日向を危ない目には合わせたくないから、僕が全力で守ってみせるよ」
  うわー、なにこのスゥィーティーなシチュエーション。
日向「お願い。わ、私のために喧嘩なんてしないで。」
  あーーー、生前1度は言いたかったこのセリフ。
  まさか地獄で言えるとは。
翔「仕方ない。じゃあ、3人で。」
和也「日向がそう言うんなら、3人で」
  えーーー、なにーー、なんなのーー、この限りなく意味深なシチュエーションは❤
  3人で・・・なんなのよ、3人で・・・❤

〇ハート
翔「さ、着いたよ。ここが地獄だよ」
和也「どう? 気に入ってくれたかな?」
日向「ちょ、ちょっと待ってよ。ここが地獄?」
翔「そうだよ。」
和也「日向に気に入ってもらいたくてね、こんなデザインにしたんだよ」
日向「だ、誰が?」
  こんな安っちいデザインに・・・
和也「閻魔大王様だよ」
和也「というか、厳密にいうと閻魔大王様が作り上げたシステムが、ということなんだけどね」
日向「システム???」
翔「いま、現世は4Gが主流だろ、所々で5Gが始まってるぐらいだよね?」
日向「は? な、なんですかそれ?」
和也「ははは❤面白いなー、日向は。 ネットワーク環境のことだよ。」
和也「地獄はかなり進んでてね。いまたしか23Gなんだよ」
日向「ち、ちょっと意味がわからないんだけど。」
翔「つまり、信じられない程大量の情報をやり取り出来るのさ。」
日向「それがこの状況となんの関係が?」
和也「つまり、この部屋も、僕もアイツも君が作り出してるものなんだよ」
日向「え?」
和也「君の脳の中の膨大な情報をスキャンして、君好みの世界を自動的に作り上げてるのさ」
翔「つまり、1人ひとり、描く地獄は違うってことなんだ」
日向「じゃこの恥ずかしい部屋も、2人のイケメンにエスコートされてるシチュエーションも全部私の想像?」
和也「まるっきり想像の世界というわけでもないんだ。 ヤツも僕も魂だけはちゃんと存在してるんだ。」
翔「まー、現世で霊魂とかお化けとか幽霊とか呼ばれるものだね」
和也「23Gの世界は魂さえあればあとの世界は自由自在にデザインできるってことさ」
翔「想像を遥かに超えた世界さ。 超現実の世界とでも言うかな」
日向「・・・」
和也「・・・」
翔「・・・」
日向「ちょっと待ってよ、それって自分の理想の世界ってことよね?」
翔「そうだよ❤」
日向「・・・それじゃ居心地良すぎて、ずっとここで暮らしたくなるんじゃないの。」
和也「まー、そういうことになるね」
日向「地獄って、もっと懲らしめ系の世界じゃないの?」
和也「昔はね。 でも今は価値観が多様化したし、技術も発達したからね。」
翔「懲らしめようとして釜茹で地獄に突き落としたらそいつがM男で、喜んじゃって、なんてこともあったよ」
日向「いや、そんなM男のことなんかどーでもよくて、私が言いたいのは、地獄がそんなんでいいの? ってことよ」
和也「ん? なにか問題でもある?」
日向「だからこんなに居心地いいんじゃ地獄じゃないわよってこと。」
翔「そうかなー? そうでもないよ。 ずっと居ればわかるよ。 ここは紛れもない地獄だってことがさ。」
和也「つまりね。居心地良すぎてどこへも行きたくなくなっちゃうだろ。 そこが閻魔大王様の狙いでね。」
和也「100年ぐらい前から地獄の人気が落ち始めてね。地獄の住人が減ってきちゃったんだよ」
翔「それでこのままじゃ地獄の存続に関わるってんで、閻魔大王も発想を変えて、ずっと住み続けたい地獄を最新の技術で作り上げたんだ」
  いや、住み続けたい地獄って言われても・・・
和也「僕はもうここに40年はいるよ」
翔「ボクは60年」
和也「気づいたらあっという間。過ぎ去った時間のことを考えると怖いけどね」
日向「それ、浦島太郎的な」
翔「あー、太郎さんね、あの人、一大決心して地獄から抜け出したんだけど、玉手箱開いてあのザマ。」
和也「あれは良い子はマネしてはいけませんってことで地獄ではかなり有名な話だな」
日向「え──、浦島太郎がいた竜宮城って、地獄だったの?」
翔「あの話は、実は閻魔大王が作ったストーリーだという噂もあるよ。地獄からの人口流出を防ぐためのね」
和也「ホントのところはわからないんだ。地獄から抜け出た人間が現世でどーなるのか?」
翔「この世界は楽しくて居心地がいいし、現世に戻ったら太郎さんみたいになるかもしれないから」
和也「とりま、地獄でダラダラと過ごしてるのさ」
日向「ダラダラ! 私の大好きな言葉よ❤ それに居心地良くて楽しけりゃ地獄でもなんでも私はいいわ」
翔「最初はみんなそう言うんだよ。最初はね。」
和也「抜け出せなくなる地獄沼。一度ハマったらなかなか抜け出せないってことはハッキリ言っとくよ」
翔「そうだ、明日、天国を見学してみる?」
日向「え── そんなことできんの?」
和也「もちろん。 今は情報開示の時代だからね、なんでもオープンなんだよ。 ただ、なんでもかんでも知れば得か? ってことは考えて」
日向「え、じゃ、やっぱり天国がいいって思ったら行けんの?」
翔「今は選択の自由が認められてるからね。ただし変更は1度だけだよ」
和也「今度の見学の時に決めなきゃならない。決めたらもう二度と変更はできないよ」
日向「それなら当然、見学するでしょ。選択肢は多い方がいいに決まってるもん」
和也「ホントにそうかな? まーいーよ。じゃ明日天国を見学しておいで。」
日向「え? 一緒に行ってくれないの?」
和也「ごめんね。天国には1度しか見学に行けないから」
翔「そういうこと。1人で見に行っておいで」
日向「2人とも天国見たことあるってことよね?」
翔「うん」
和也「あぁ!」
日向「で、どうだったの? 教えてよ」
翔「残念ながらそれは人に言ってはいけないんだ。」
和也「それに、受け取り方は人それぞれだからね。」
和也「大事なことだから、もう一度言うけど、天国の見学は一度きり、天国か地獄のどっちにするかを決めるのも一度きり。わかったね。」
日向「わかった!」
翔「もう一度聞くけど、天国見てみたい? 見ないという選択肢もあるんだぜ」
日向「・・・見るわ。見るに決まってる」
  見ないで決めてどうすんのよ!!
和也「やれやれ・・・」
翔「一応、天国見学のことは告知義務があるんで仕方なく話したけど、日向はどーするかなー・・・」
和也「・・・見ない方が良かったって気づくのは何年も経ってからなんだよなー・・・」
  こうして私は翌日天国に見学に行った。
  ところが・・・
  そこは想像を絶する世界だった・・・

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 設定が面白かったので、先がすごく気になりました!

  • 今や地獄も様変わりという設定が斬新でした。これなら地獄に行きたいという読者もいるでしょう。ところで天国がとっても気になるんです。続きをお願いします。

  • 地獄という考え方に対して新しい捉え方だと思いました。天国がどういう所なのか少しだけ想像でき、地獄との対比をイメージしやすく、面白かったです。死後も本当に軽い展開だと楽しみですね。

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