6話 見習い悪魔、企む(脚本)
〇市街地の交差点
リリカ(この人が・・・トウマの母親・・・?)
長谷川母「トウマ。そちらの方はお友達かしら?」
トウマ「あー、まぁ・・・」
長谷川母「そうなの。でも、ほどほどにしなさいね」
長谷川母「最近帰りが遅くて心配していたの。その子といたからなのね」
長谷川母「彼女・・・あの高校の子なんでしょ?」
長谷川母「優しいのは良いことだけど・・・ねぇ?あなたのためになるかは・・・」
トウマ「悪い奴じゃ、ないよ 美桃さんは」
長谷川母「私は、あなたのためを思って言ってあげているのよ?」
リリカ(なんだかずっとトウマのお母さんが喋っててトウマ全く話してない・・・)
リリカ(というかトウマのお母さんすごいジロジロ見てきて居心地悪いんだけど)
リリカ(お母さんの方は悪意度10くらいしかないっぽいのに・・・)
リリカ(凄くピリピリしてる、気がする)
リリカ「あの──!」
トウマ「し ず か に」
リリカ(でも・・・!)
リリカ(・・・)
リリカ「またね、トウマ」
リリカ(なんでか、そばにいてもギスギスしなくはなったけど)
リリカ(たまに壁を感じるというか、触れるなって感じがするというか・・・)
リリカ(・・・もっと知りたいのにな)
〇教室
数日後
トウマ「ちょっと先生に呼ばれてるから先行ってて」
リリカ「えぇ、わかったわ」
リリカ(やっぱりトウマのお母さんに会ってから、トウマちょっとぎこちない気がする・・・)
生徒「・・・」
リリカ(最初女子に文句言われてたのとか落ち着いて、クラス自体は平和なんだけども・・・!)
リリカ(壁を・・・感じる・・・!)
リリカ「あ、カナ。それに横山」
カナ「やっほー。あれ、トウマくんは委員会かなんかだっけ」
リリカ「えぇ、そうらしくて・・・」
リリカ「そうだ!ちょっと相談があるの」
〇教室
リュウト「なるほどな。サクラさんに会ったのか」
カナ「サクラさん・・・トウマくんのお母さんってその、ちょっと怖いよね」
リリカ「そうよね・・・二人ってトウマの幼馴染?なんだっけ」
リリカ「あれからちょっとトウマと話しづらいというか。何か知らない?」
リリカ(本人にそれとなく聞くのが一番いいんだろうけど・・・)
リリカ(勇気出ないし!それにバイトのシフト入っててじっくり話辛くなったし!)
リュウト「なにか、って言われてもなぁ」
カナ「でもわかる。何日か前からちょっとピリピリしてるよねトウマくん」
リリカ「そうなの!!」
リリカ(最初は訳わかんなくて怖いと思ってたけど・・・)
リリカ(最近は穏やかだったし。というかカナ達といる時はそんな怖くないのよね)
リリカ(先生やクラスの子と喋ってる時は・・・何考えてるか分かんなくて怖いんだけど)
リュウト「まぁでも、こないだバイトの話とかあったが、あの家ってルールが多いらしくてな」
カナ「あー、バイトするなとか良い成績取りなさい先生の言うこと聞きなさい・・・」
リュウト「慕われるような存在になりなさい、人を好き嫌いしないように、でも付き合う人は選ぶように・・・」
リリカ「親って・・・そういうものなの?」
リリカ(一緒に暮らしてた時、パパもママも自由にしなさいって言ってくれてたし)
リリカ(センセーもあれしろ、これダメみたいなこと言わなかったのに)
カナ「だからちょっと怖いというか・・・独特なんだと思うな」
リュウト「まぁぶっちゃけおっかないというか、自分の親だと思うとゾッとする」
リュウト「俺たちにもあまりトウマの手を煩わせるなとか言ってきてたし」
カナ「昔は優しかったんだけどねぇ」
リュウト「トウマのためになる『お友達枠』だっただけだろ昔は」
リリカ「なんか・・・色々あるのね」
リリカ(あたしもちょっとトウマのお母さん怖かったけど・・・二人もそうなんだ)
リリカ「トウマは、辛くないのかな」
リリカ(人間界の親子関係としてちょっと独特なんだったら・・・)
リリカ(親子関係があの悪意度の原因?)
カナ「トウマくん・・・最近よく分からないんだよね」
リュウト「あいつも昔はもっと分かりやすかったんだが」
カナ「中学校くらいからなんか完璧王子みたいな扱いになっちゃって」
カナ「私とかすぐドジって助けてもらってばっかで・・・」
カナ「迷惑かけてごめんねって言っても『大丈夫、それよりケガとかしてない?』って」
リュウト「クラスの奴みんなにそうなんだよなあいつ」
リュウト「あんま無理して欲しくないのに、あれこれ抱え込んでくるし・・・」
リリカ(そういえば女子に話つけるとか・・・あたしも言われたわね)
リリカ「さっきも男子に呼ばれてたわ 次の小テストがどうのって」
リュウト「まぁもう分かってると思うけど、やたら人気だからなあいつ」
リュウト「生徒も教師もすぐ頼るから・・・」
リリカ「それって・・・疲れない?」
カナ「トウマくん、疲れたとか言わないからなぁ」
リリカ(でも・・・なんだろう。やっぱりトウマは疲れてる?違う、無理してる気がする)
リリカ「何か、できないかなって・・・思うの」
カナ「リ、リュウトくん!」
リュウト「あ、あぁ。美桃って本当にトウマが好きだったんだな・・・?」
カナ「でしょ?でしょ?!私も勘違いかなって思い始めてたよ」
カナ「最初すごい猛アタック!って感じだったのに」
カナ「保健室で話して以来全くそんな気配全くないんだもん」
カナ「ふふふ、リリカちゃんの恋路・・・見守りたい!」
リュウト「クラスのやつらがミーハーしてくるのは嫌がってたくせに・・・」
リリカ「あの、そろそろ内緒話辞めてくれない・・・?寂しいのだけど」
カナ「ごめんごめん!」
カナ「ねぇリリカちゃん!いい話があるの・・・!」
〇高い屋上
リリカ(さて・・・トウマは来るかしら)
リリカ:放課後ちょっとで良いから屋上来て
トウマ:なんで?
リリカ:
リリカ「いやだって書きづらいというか・・・でも既読無視はあれかな・・・」
〇教室
リリカ「いい話・・・って?」
カナ「ふっふっふー。それはね・・・」
カナ「これ!近場の遊園地無料入場チケット!」
カナ「四人でこれ行かない?」
カナ「お姉ちゃんが貰ってきたんだけど、行かないからってくれたんだ」
リリカ「遊園地?!」
リリカ「ぐるぐる回る丸い部屋みたいなのとか幽霊が襲ってくる屋敷があるっていう・・・?」
リュウト「観覧車にホラーハウスな」
リュウト「でもトウマはあんまり小遣いないらしいし、そもそも行くこと自体サクラさんが許さないんじゃないか?」
カナ「それはそうだけどぉ・・・ちょっとくらいなら許してくれないかなぁ」
リリカ(あたしがサクラさんに暗示をかけにいくとか・・・!)
リリカ(あーいや、トウマにバレるかな・・・で怒られそう)
リリカ「内緒で行っちゃえばいいのよ。それに無料チケットなんでしょう?」
カナ「流石に園内飲食費は別だけど・・・昼から行ってご飯食べなければ大丈夫」
カナ「ずっと遊びに行けないとか息苦しいし・・・内緒で誘っちゃおーう!」
リュウト「カナ・・・お前園内で二人と別行動する気じゃないだろうな・・・」
カナ「ちょっとだけ!ちょっとだけだから!見守りたいだけなの!」
リュウト(はぁ・・・ まぁ、ずっとこういう機会なかったしな)
カナ「ということではい、これ」
リリカ「ん?はい」
カナ「チケット。トウマくんに渡してほしいの」
リリカ(ちょっと今気まずいというか勇気がいるのだけど・・・)
リリカ(でもまぁ、観覧車も乗りたいし・・・みんなで遊びに行くの楽しそうだし)
リュウト(・・・)
カナ(・・・)
リリカ(なんか二人がやたらコソコソしてる・・・)
リリカ(まぁいいや。絶対遊園地誘うわよ!)