コドモタチノテキ

はじめアキラ

第八話「ツヨサ」(脚本)

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〇学校のトイレ
田無智「・・・・・・あいつ、本当に苛められてたのかな」
  気づけば、智は自然とそう口にしていたのだった。
田無智「確かに思い返してみると、緒方と逸見って相性悪そうだなとは思うんだよ」
田無智「あっちこっちで、なんか全く逆の意見を言ってたなっていうか」
田無智「席替えの時も、逸見は結構きついこと言ってたし・・・・・・緒方みたいなキャラを否定してそうだなと感じたっつーか」
田無智「そりゃ、直接名指しで攻撃するようなこと言ってたわけじゃねーけど」
鈴原雅「まあ、いじめの証拠がはっきりわるわけじゃないのが、SNSの厄介なところだよね」
田無智「ああ。それに・・・・・・俺ちょっとだけど、緒方と話したことあるんだけどさ」
田無智「なんか、SNSで多少悪口言われたくらいじゃブレそうにないっていうか」
田無智「あいつ、結構強い人間だって思ってたんだよ。だから、未だに実は不登校だったっていうのがあんまり信じられないっていうか」
神楽璃王「強そうに見える人間ほど、脆いものはないんだけどね」
  まだ何かを調べているらしい璃王が、スマホの上で指を滑らせながら言う。
神楽璃王「強い人間ってのも、世の中にはいろいろいるもんだ。中には、強そうに見せかけることで自分を保ってる奴もいる」
神楽璃王「・・・・・・誰だって、自分の中に絶対侵されたくない領域ってものを持ってるもんだ。それを侵されたら、激昂するし崩壊もする」
神楽璃王「誰だってそう。緒方も、そういうものに触れられて崩れたのかもしれないぜ」
  絶対に触れられたくない領域。彼女にとっても、それがあったというのだろうか。
  何だろう、と思ったものの、残念ながら智は自分で思っていた以上に彼女について知らないことに気づく。
  ちょっと話したことがあったくらい、お見舞いに行ったことがあるくらい。
  そもそも智自身、女子とまったく喋らない方ではないものの、そこまで積極的にお喋りをするようなタイプでもない。
  女子の方も、智のように喧嘩っ早いガキ大将に見えるタイプはあまり得意ではない人が多いだろう。
  そう考えると、むしろ五月はまだまともに喋ったことがある方だった気がしないでもなかった。
神楽璃王「・・・・・・この件が、本当にこの爆弾騒ぎと繋がっているって保証はない」
  でも、と璃王は続ける。
神楽璃王「ちょっと気になる書き込みを見つけた。・・・・・・ヲチ版だから、全体的に見ていて気分も良くないんだけど」
神楽璃王「一応、お前らにも見せとく。このへんだ」
田無智「う、見たくないけど仕方ないか」
鈴原雅「どれどれ・・・・・・?」
  智と雅は、揃って璃王の手元を覗きこんだのだった。

〇黒背景
  【シノノメイチ】ヲチ掲示板 part31【ショウ/ガク】
  311:学生の名無し
  うちのクラス担任、マジで煙草臭い。絶許
  312:学生の名無し
  煙草臭さとオヤジ臭さがミックスするとマジでサイアクだよね
  313:学生の名無し
  煙草吸う人ってさー、吸ってない時は無害だと本気で思ってんの?
  314:学生の名無し
  >>313
  思ってんじゃない?配慮なさすぎだし
  315:学生の名無し
  吸って無い時もマジで臭いって気づいて欲しい
  316:学生の名無し
  そもそも未だに敷地内で隠れて吸ってる先生いるって本当?
  317:学生の名無し
  >>316
  マジ?
  318:学生の名無し
  >>316
  引くわー、それ誰?
  319:学生の名無し
  >>318
  スマン、噂だから誰かまでは。でも、本当ならやめてほしい
  320:学生の名無し
  先生の話してるところで申し訳ないんだけど、相談いい?
  321:学生の名無し
  ん、どうした
  322:学生の名無し
  ここヲチ版だから相談するようなとこじゃねーぞwww
  323:学生の名無し
  誰かマジでやばい生徒いるとか?
  324:学生の名無し
  もしくはぶっ殺したい先生がいるとかでもいいけど
  325:学生の名無し
  生徒で殺したいやつがいる。
  どうすればいいかな。
  326:学生の名無し
  おっとー?
  327:学生の名無し
  すげえお客さんが来たな
  328:学生の名無し
  面白そうだから許可スル!誰のことかな?
  329:学生の名無し
  さすがのヲチ版でも、伏字イニシャルでも名前出さない方が。
  下手したら犯罪予告って騒がれるかもだし。
  330:学生の名無し
  あー、ここ一般人でも一応見られるんだっけか
  331:学生の名無し
  いじめをしている、最低の女がいる。そいつを殺したい。
  でも、なるべく捕まりたくないし、それにそいつの仲間にも思い知らせたい。
  学校でさくっと殺すにはどうすればいいのかな。
  332:学生の名無し
  学校で?かなりハードル上げてきたな。
  333:学生の名無し
  つまり、主犯の仲間に見せつけるような形で殺したい、と。
  334:学生の名無し
  それなら学校で、というのもわからなくはないけど。
  335:学生の名無し
  難しいよ?殺そうとしたところで見つかるのがオチだとしか
  336:学生の名無し
  難易度が高いのはわかってる。でも、どうしても許せない。
  あいつらは、わたしが一番大事にしているものを穢した。思い知らせてやらなくちゃ気が済まない。
  337:学生の名無し
  一番大事にしているもの?
  338:学生の名無し
  そいつのクラスとかはわかってんだろ?ならさ。
  案外、教室で授業受けてる時に狙うとか・・・・・・一番楽かもよ?油断してそうだし
  339:学生の名無し
  おいおい
  340:学生の名無し
  ふーん、なるほど。参考にするね

次のエピソード:第九話「スイリ」

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