第1話(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
今にも雨が降りそうな曇り空の下、渋谷駅で信号を待っている新堂カケル(17)。
信号が青になる。急ぎ足で渡るサラリーマン、制服姿の女子高生たち……群衆が新堂の横を通り過ぎる。
新堂カケル「『世界は今日も普通で、味気なく、とてつもなく狂っている……』」
目の前の交差点を渡りきった新堂。足はセンター街のゲームセンターに向かっている。ふと、すれ違った人物に気づき、振り返る。
相手もこちらに気づいたようだ。柏木桜矢(17)が新堂に話しかける。
柏木桜矢「「あれ、久しぶり」」
新堂カケル「「びっくりした、偶然だな。なにしてんの」」
柏木桜矢「「そっちこそ。またゲーセン?」」
新堂カケル「「まぁね。時間あれば一緒にどう? 闘神格7」」
柏木桜矢「「わり。俺、これから用事あんだ」」
新堂カケル「「そっかー、じゃあまた」」
柏木桜矢「「おう! またLINEする」」
申し訳なさそうな顔の柏木。手を振り、新堂と別れる。ポツポツ、と空から小雨が降り出す。
その日の夜、柏木桜矢は列車の踏切に飛び出し、17年間の生涯に幕を閉じた――。
新堂カケル「『なんで柏木が……?』」
深夜、降り注ぐ雨の中、東京の高層ビルの屋上に制服姿の少女が立っている。
イレブン「「――来た」」
夜の雨空を見上げる少女のもとに、空から一冊のノートが落ちてくる。少女は右手でそれをつかむと、不敵な笑みを浮かべる。
イレブン「「これが今回の『遺書』だ」」
中を開き、内容を確かめる少女。
リリー「「今度は成功させてよね、イレブン」」
少女とは別の、男児のような声。イレブンと呼ばれた少女が足元を見ると、一匹の黒猫がいる。
イレブン「「どうかな」」
リリー「「ダメ。このままじゃ僕たちマイナス評価のままだよ」」
イレブン「「とりあえず調査させてもらおう、柏木桜矢という男が残した言葉を。そして、なぜ“新堂カケル”なのか――」」
その場を立ち去る少女と黒猫。ビル街に降り注ぐ雨が、激しくなる。
ストーリーがうまく展開されていて最後まで一気に読ませて頂きました。会話のテンポや描写もうまくされていて自分のイメージを膨らませて読むことが出来ました。
ノート、評価、そそられる部分が多くあり詳細がすごく気になりました!
ランクとかミッションとか、落ちこぼれからの這い上がりとか…展開は色々予想しちゃいます笑
独特な雰囲気ですね。とてもミステリアスで、おもしろいです。またことば運びもとても精緻な気がして、素晴らしい作品だと思いました。人の生き死にに関する物語には謎がたくさん含まれていそうですが、この小説も次の展開が楽しみで仕方ありません。第一話で謎がいくつも出てきたので、次作以降、どのように回収されるか想像しながら読みました。続きが待ち遠しいです。