忘れ去られた世界の君へ

YO-SUKE

第三話「戦闘訓練」(脚本)

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〇黒背景
  第四部隊の隊長を名乗る彩音さんから
  聞いたのは、自分の記憶とはまるで違う
  セナの姿だった。
  常に最前線に立ち、時には何百という兵隊と共に、地球外生命体、通称デフィジョンに立ち向かっていくという。
  セナは俺の知っているセナなのだろうか。

〇保健室
  窓の外の荒れ果てた校庭を眺めていると、
  春斗が朝食を持って来てくれた。
高島春斗「昨日は寝れたかい?」
城井奏太「いや・・・あまり」
高島春斗「そっか。でも朝食はしっかり食べたほうがいいよ。訓練持たないからね」
城井奏太「ありがとう」
高島春斗「彩音が外で待ってるって」
城井奏太「・・・ああ」
高島春斗「彩音から聞いたんだろ? セナさんは常に戦地を飛び回っている」
高島春斗「確実にセナさんに会うには、 兵士になることだよ」
城井奏太「・・・・・・」
高島春斗「どの道、ここにいる人間は 全員が兵士でなくてはならないんだ」
城井奏太「なあ。俺がここと同じ西暦2023年の、 別の世界から来たって言ったら、 信じてくれるか?」
高島春斗「それをすんなり信じる奴がいたら、 どうかしてると思うけどね」
城井奏太「この場所は、 間違いなく俺が通っていた高校なんだ」
城井奏太「同じ時代の同じ場所にいるのに、 全く別の世界みたいになっている」
高島春斗「ふーん」
城井奏太「俺の世界にはデフィジョンなんていない。 それにセナは三年前に──」
高島春斗「?」
城井奏太「いや・・・なんでもない」
高島春斗「・・・もし君の言う通りなら、 それはパラレルワールドってことになるね」
城井奏太「パラレル・・・ワールド?」
高島春斗「デフィジョンがいる世界と、いない世界。 二つの世界が、 同時に流れているってことになる」
城井奏太「・・・・・・」
高島春斗「そして、何かの間違いで、 君はこっちの世界に迷い込んでしまった」
城井奏太「・・・・・・」
高島春斗「まあいい。 一度だけ君の戯言に付き合ってあげるよ」
城井奏太「え?」
高島春斗「そっちの世界に僕と同じ名前の、 瓜二つの人間がいるなら、 こっちの世界にも君がいるはずだろう?」
城井奏太「そうか!」
高島春斗「訓練の間に調べておいてあげるよ」
城井奏太「ありがとう!」
高島春斗「まずは無事に、 訓練を生き残ることを願っているよ。 彩音の訓練は、それはそれは過酷だから」
  春斗はイタズラそうに笑った。

〇田舎の学校
  彩音さんが俺に渡したものは、
  レーザーガンだった。
城井奏太「これって・・・もしかして本物?」
桐島彩音「当たり前でしょ。訓練は実践あるのみ」
城井奏太「でもいきなりこんな──」
桐島彩音「セナさんに、頼まれたのよ」
城井奏太「え?」
桐島彩音「あんたが死なないように、 徹底的に鍛えてくれって」
城井奏太「セナが・・・?」
桐島彩音「本当は私、あんたみたいな奴を 相手にしている暇はない」
桐島彩音「セナさんはいつだって、 私を討伐部隊には呼んでくれない」
城井奏太「・・・・・・」
桐島彩音「私は・・・いつまで経っても、 セナさんに認めてもらえないんだ」
  彩音さんはそう言うと、地面にあった
  赤いボタンをガツンと足で押す。
  すると、地下に続く暗い通路が現れ、
  中からアビオが一体這い出てきた。
城井奏太「あれは・・・!」
桐島彩音「訓練用に捕らえてた奴よ。 あいつを殺したら訓練は合格」
城井奏太「こ、殺す!? どうやって!?」
桐島彩音「バカ。なんのためにそれ渡してんのよ」
  彩音さんは、俺の持っている
  レーザーガンを指さした。
桐島彩音「心臓打ちぬいても死なないから、 頭を狙うのよ。 デフィジョンの卵は脳に寄生しているから」
城井奏太「できるわけないだろ! 見た目は普通の人間じゃないか!?」
桐島彩音「なら殺されて死ねば? 私は関係ない」
  彩音さんはそう言うと、
  俺をアビオの方に蹴り飛ばした。
  とっさにレーザーガンを構え、
  照準をアビオの頭に合わせる。
  アビオはゲームの中のザコキャラのように
  のんびりとした動きで迫って来る。
桐島彩音「早く撃ちなさい」
城井奏太「・・・くっ!」
  トリガーを引くだけだ。

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