フタを求めし者たち(脚本)
〇森の中
お嬢さん「伝承によると」
ユイ((伝承!?))
お嬢さん「200年前の高名な錬金術師ヘンリエッタ・ドクトリンが創り出したという霊薬はあらゆる難病を治し」
お嬢さん「亡くなった人すら現世に呼び戻すと言われています」
ユイ((それって消費期限とか大丈夫なのかな? 腐ってんじゃ・・・・・・))
護衛の青年「で、嬢ちゃんはその霊薬を探して、遥か海の向こうからやって来たってわけさ」
お嬢さん「はい。それもひとえに彼のおかげです。彼がいなければ今頃、私はこの世にいません・・・・・・」
ユイ「へ、へぇ・・・・・・そうなんだ・・・・・・た、大変だったね・・・・・・」
お嬢さん「はい。ですので! 私としましても何としても霊薬を手に入れなければならないワケがあるのです!!」
ユイ((200年前とは知らなかったなあ・・・・・・。世界に10本しかないってことだけしか・・・・・・))
ユイ((とりあえず、譲ってあげたいのは、やまやまだけど。あたしだって譲れないワケがあるもの!))
ユイ「じゃあ、競争だね!」
お嬢さん「負けませんから!!」
〇闇の要塞
ユイ「取ったァァァァア!!! ヘンリエッタ・ドクトリンの霊薬確保ぉ!!!」
お嬢さん「あぁっ・・・・・・!」
ユイ「これこれ・・・・・・この銀色の輝き! 一切艶を消していない鏡のような仕上げ、手触りはツルツル・・・・・・」
ユイ「間違いなく本物のヘンリエッタ・ドクトリンのポーションフタだわ!! 世界に10個しか無い超レアもの!!!」
お嬢さん「・・・・・・は?」
ユイ「うんうん。はい、霊薬はあげるね! あたしはフタが欲しいだけだから!」
お嬢さん「え? ありがとう・・・・・・じゃなくて! フタもくださいませんか? 中身がこぼれてしまいます・・・・・・」
ユイ「え? ムリ。あ、そうだ! これで良いよね?」
お嬢さん「モーモー牛乳・・・・・・のフタ」
ユイ「それじゃあ、あたしはこの辺でー! ばいばーい」
お嬢さん「あ、待って! あなたは一体?」
ユイ「え、あたし? あたしはポーションフタコレクターのユイ! フタのあるところにあたしアリってね!!」
〇空
この世界には数多くのポーションフタが溢れている。
よく見かけるフタから世界に数個しか無いレアもの、神々のポーションフタと呼ばれる伝説のフタまで実に多彩だ。
多くの人々が、コマのようにフタを回し、他のフタファイターとしてバトルする中
フタをコレクションすることに情熱を燃やす者もいる。
この物語は、そんなポーションフタをコレクションすることに青春を燃やした15歳の少女とゆかいな仲間たちの物語である。
〇先住民の村
少年A「おい、おまえ。ポーションフタバトラーだろ? 俺とフタバトルしろよ」
少年B「ああ、いいぜ! ルールはノーマルで良いよな?」
少年A「もちろんだ」
「ポーションフタバトル! ルール1! お互いポーションフタ3つを選び、先取2本勝ったものを勝者とする!」
「ルール2! 勝者は敗者のポーションフタをひとつゲットすることが出来る!」
「ルール3! 賭けるポーションフタは両者の同意のもと選定される!」
「ルール4! 勝負はポーションフタ神ペルフェクティオの名のもと正々堂々と行われるッ!!」
少年B「オレは【モーモー牛乳】のフタを賭けるぜ!!」
少年A「おいやめろ! モーモー牛乳とかそこら中に溢れてるじゃん!! せめてメーメークリームにしろよ!!」
少年B「やだよ! メーメークリームなんて誕生日の時にしか手に入らないんだぞ!! おまえが良いもの出すなら考えてやるぜ?」
少年A「チッ! 仕方ねぇ・・・・・・俺は【毒ポーション(弱)】のフタを賭けるぜッ!!」
少年B「うおお・・・・・・毒ポーション?! マジで? 分かった! オレはニャンニャンローションのフタを出すぜ!!」
少年A「いくぜ!!」
少年B「バトル!!」
少年B「ただのモーモー牛乳フタだと思うなよ! 手首のスナップを効かせ、高トルクを掛けたアタックだ!!」
少年A「くッ!! アタリがキツイっ! 俺のモーモー牛乳のフタが弾き飛ばされそうだ!! ふんばれ、俺のモーモー!!」
少年B「ぐッ!? 高加速させすぎたか!? 安定が・・・・・・ああッ!!」
少年A「ふふふ、俺の勝ちだな。次も同じフタで来るのか?」
少年B「あったりまえだ! 行くぜ!!」
ユイ「ふふーん、がんばってるねキミたち」
少年A「あ! ユイねえじゃん!」
少年B「ユイ姉ちゃん、ひっさー!」
少年A「ユイねえ、また何かすっげぇの手に入れたの?」
ユイ「ふっふっふ! 特別に見せてあげよう! ヘンリエッタ・ドクトリンの霊薬のフタ!!」
「うおおおッ!! 世界に10本しかないって伝説の!!」
少年B「知ってっか? 10本のうち4本はもう無いって話だぜ!?」
少年A「超レアじゃん!! いいなー!!」
幹部キョウ「あらあら、貴女みたいな小娘が持つには相応しくありませんわ」
幹部クロイ「ふふふ。そういったレアものは、我らバッドリブ団の世界制服のため活用させてもらおうか」
ユイ「だ、誰?!」
「刮目せよ!! 三千世界を股にかけ!」
幹部クロイ「銀河の彼方に手を伸ばし!」
幹部キョウ「悪の花道、歩くは我ら!」
幹部クロイ「幹部クロイ!!」
幹部キョウ「幹部キョウ!!」
「世界を統べし、バッドリブ団!」
ユイ「出たわね!! アンタたちが噂のバッドリブ団!! レアなフタを奪い集めているって悪の組織ね!!」
幹部キョウ「あらやだ、小娘のクセに勉強してるのねぇ。クロイ」
幹部クロイ「おうよ! お嬢ちゃん、フタバトルをしようぜ!! ヘンリエッタ・ドクトリンの霊薬のフタを賭けてもらうぜ!!」
ユイ「え、賭けないし」
下っ端「いーや、そう断れるかな?」
少年A「うわわ! 何すんだ離せッ!!」
少年B「痛い! 何でオレだけ耳を掴まれてんだよ!!」
下っ端「このジャガイモみたいなガキどもがどうなっても良いんなら断っても良いぜ?」
ユイ「モブA、B!!」
突如、ユイたちに襲い掛かる悪の軍団バッドリブ。
ユイは、この危機を脱することができるのか!?
次回、モブA 暁に散る!
モブABがすごくツボにきました。笑
フタ集めてる人いましたよね!
なんだかフタから壮大なお話になりそうですね。
ポーションのフタってきれいな感じしますよ!
牛乳瓶のフタ集め、クラスでめっちゃ集めてる子いたわー!(私の地域ではプラスチックでしたが...)設定が斬新で続きが楽しみです!
世の中には一般的におもいもよらないものに価値を見出し、集めているコレクターさんもいますよね。そう思うとああっ捨てずにとっていけばよかったと思うものもありますがもうあとのまつりです。題材がフタとは奥が深い。捨ててしまうのが当たり前のものだからこそ、古いものは希少価値がましレアアイテムになるのですね。