コドモタチノテキ

はじめアキラ

第三話「コウミョウ」(脚本)

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〇放送室
  がちゃり、とドアを開いた。
  テロリストとやらが襲撃してきたらすぐに対応できるように、と智は即座に横に飛び退く。
  勢い込んでみたものの、流石の智も銃を持った敵ではお手上げだ。やや緊張で冷や汗をかいていた――しかし。
田無智「・・・・・・あれ?」
  何の反応もなし。そろそろ、と中を覗きこんでみた智は、拍子抜けしてしまう。
田無智「なんだ、誰もいねーんじゃん」
鈴原雅「・・・・・・そうだね、いないや」
  隣でひょっこりと顔を出した雅も言う。
鈴原雅「ついさっきまで、放送かかってたのにね。録音だったってこと?それとも、僕達が来る前に逃げた?」
神楽璃王「・・・・・・」
  まったく人気のない放送室に、そろそろと踏み込む三人。璃王がまず確認したのは窓だった。
神楽璃王「・・・・・・ここから逃げるのは無理そうだな」
  どうやら、放送室の窓は防音もかねて特殊な仕様になっているらしい。
  開くには開くが(火事の時のことも考えているからだろう)半分程度まで。
  この広さでは、子供が外に出るのが精々だろう、と彼は言った。
  もっと言えば、此処は三階であることを忘れてはいけない。
  流石に三階から自在に出入りできる人間は、そう多くはないはずである。
田無智「ってことは、やっぱり録音なのか。録音したものがどっかにあるのか?雅お前、前に放送委員やってなかったっけ」
鈴原雅「うん。大体の機材の使い方はわかるよ。・・・・・・多分」
  かちゃかちゃと機材を動かしてた雅は、カセットテープのようなものを取り出して眉を顰めた。
鈴原雅「これだね。・・・・・・全部巻き取られてるってことは、録音された音声は流し終ったってことか」
田無智「へえ、そうなんだ。カセットテープって存在は知ってたけど、初めて実物見たぜ。昔は主流だったんだっけ?」
鈴原雅「うん。だから今は、音楽を長す時もパソコンで繋いだり、ウォークマンとかを繋いだり、CD入れることが多いんだけど・・・・・・」
田無智「?」
  何やら、雅の表情は浮かない。浮かない、というより険しい。
  放送室で直接音を流していた犯人もいなかったし、これはたちの悪い悪戯だった可能性が高い――ということでいいのではないのか?
  見れば、璃王の方も明らかに顔色が悪い。
田無智「お、おい。お前らどうしたんだよ、二人して考えこんじまって。悪戯だった、ってことじゃないのか?すげー迷惑だけど」
神楽璃王「そんな簡単な話じゃないぞ、これ」
  口を開いたのは璃王だった。
神楽璃王「今は、五時間目の時間帯だった。最後にこの放送室に入ったのは多分、給食の時間に放送を流していた放送委員とその関係者のはずだ」
田無智「ん?まあそうだろうけど」
神楽璃王「こんなテープがあったら、放送委員が気づくだろ」
神楽璃王「ってことは、放送委員が撤収した後にテープをセットして、指定した時間に流れるように予約を入れてった奴がいるってことなんだ」
神楽璃王「ただの悪戯にしてはかなり計画的だと思わないか?」
  言われてみればそうだ。
鈴原雅「気になることは他にもあるよ」
  雅が彼の言葉を引き継ぐ。
鈴原雅「さっきも言ったけどさ。今時の小学生、カセットテープなんか見たことないって子も少なくないじゃん」
鈴原雅「実際、僕も自分が放送委員で音楽流したい時は、CDとかウォークマンとか使ってたんだよ?何でテープって思わない?」
田無智「それも、そうだな・・・・・・」
鈴原雅「そもそも、放送室でカセットテープなんてレトロなものが使えるって知ってる人、そんなに多くないと思うんだよね」
鈴原雅「つまりこれ仕掛けたの、多分この学校の生徒じゃないよ。というか、やり方がなんか古臭い。犯人、先生の中にいるかもしれない」
田無智「は!?」
  急に、深刻さが増してきたような。子供の悪戯かと思っていたのに、そうではないというのか?
鈴原雅「だってさ、もし騒ぎを起こして学校を休みにしたいとか、学校に復讐したい!って今時の小学生が思ったら最初に何すると思う?」
鈴原雅「多分、SNSで爆破予告でもすると思わない?そっちの方がずっと簡単だしさ」
鈴原雅「でも、そういうのが特になかったから、今日ふつーに授業が行われてるわけだよ」
  で、と機材をとんとんと指で叩きながら雅が続ける。
鈴原雅「実際にやったのは、放送室にテロ予告のカセットテープをセットしておくなんてまどろっこしいやり方」
鈴原雅「・・・・・・これ、小学生の仕業って考えるの無理くない?」
神楽璃王「俺もそう思う。この放送室に入れる大人。それも、放送室の機材の使い方を分かっている先生が絡んでいる可能性が高い」
神楽璃王「仮に本当に先生が犯人なのだとしたら、悪戯にしてはリスクを負い過ぎているよ。何か大きな目的があると思った方がいいぞ、智」
田無智「大きな目的って・・・・・・」
神楽璃王「決まってる」
  璃王が真剣そのものの顔で、断言した。

〇黒背景
  「本当に爆弾を仕掛けて、誰かを殺すつもりかもしれないってことさ」

次のエピソード:第四話「フシギ」

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