コドモタチノテキ

はじめアキラ

第一話「ハジマリ」(脚本)

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〇学校の屋上
田無智「うおおおお気持ちい!屋上で寝るのサイコー!」
  田無智《たなしさとる》は思いきり腕を伸ばし、給水塔の上に寝転がった。
  此処は、智が通う東雲第一小学校の屋上。隣には、同じように青空の下でまったりしている親友達がいる。
  クールで成績優秀な神楽璃王《かぐらりおう》と、
  女の子にしか見えない可愛い顔しておきながら策士、な鈴原雅《すずはらみやび》である。
  現在学校は絶賛授業中。にも関わらず、六年三組のワルガキトリオは、揃ってサボりを決め込んでいる最中なのだった。
鈴原雅「もはや先生も探しに来ないねえ」
  雅がスマホをいじりながら言う。
鈴原雅「智はともかく、僕と璃王のことは焦って探すかと思ってたんだけどな。アテが外れたな」
神楽璃王「確かに」
田無智「おーい、俺はともかくってどゆことー?」
  ああ、彼は自分達三人の評価をよく分かっているようで。智はひきつり笑いを浮かべる他ない。
  確かに、智以外の二人は成績もいい。雅に至っては運動神経も悪くない。
  (当たり前のように趣味で女の子っぽい格好をするので、一部の先生からの評価はよろしくないようだったが)。

〇黒背景
  自分達三人がサボりを決め込んでいる原因は、国語の死ぬほど退屈な授業から逃れるため。
  その理由が、副担任の辻本先生が頑固で偏屈な考え方の持ち主な上、極めて退屈な授業しかしてくれないことに起因している。
  本来、国語の授業は担任の河合先生がやるものだったのだが、
  現在河合先生は育休を取っていて学校を休んでいるため、辻本先生がピンチヒッターを務めているのだった。
  その辻本先生がどんな先生かと言えば、まあ、一言で言って超厳格なおばさんである。怒るとめちゃくちゃ怖い。
  ものすごくつまらない授業をするくせに、うとうとしていると凄まじい目で睨んでくる。
  だったらもっと面白い授業をしてくれ、という話なわけで──
  まあようするに、智のようなただでさえ勉強嫌いな生徒がモチベーション下がるのも、無理からぬことではあるのだった。

〇学校の屋上
田無智「――だからてっきり、サボタージュしたら怒り狂って探しに来ると思ったんだけど、来ないな」
田無智「・・・・・・まあ来ないなら来ないで、授業終わるまでまったり屋上で過ごすだけなんだけど」
  子守唄のような授業を聞かされ続けるよりは、
  ここでスマホでもいじりながら友達とおしゃべりしてるほうが数倍楽しいというものである。
田無智「よし、残り時間で一回か二回は試合できるだろ。デュエカやろうぜデュエカ!」
鈴原雅「いいよう!」
神楽璃王「三人いるんだし、人狼の方が良くないか?どっかのルームに入れて貰って・・・・・・」
  アプリで人気カードゲームをするか、それとも卓ゲ的なものをやるか。まったり話していた、その時だった。
  突然、学校全体に謎の放送がかかったのである。
  『お知らせしマス。たった今、この学校は“テロリスト”が占拠いたしまシタ』
田無智「!?」
  テロリストお!?と三人で驚いて顔を見合わせる。放送は続く。
  『教室や特別教室、職員室にいる教員や生徒の皆さん。その部屋から出ないでくだサイ。
  一人でも出ていこうとした場合は、その場で学校に仕掛けた爆弾を爆破しマス』
田無智「ば、爆弾だって!?」
神楽璃王「おいおい・・・・・・」
鈴原雅「ウソでしょ!?僕達の学校を爆破するっていうの!?」
  話の展開がいきなりすぎる。誰かの悪戯ということも充分考えられるが、悪戯にしてはいきすぎているのではなかろうか。
  『警察に連絡してはいけません、その時も爆破しマス。
  私の要求は、追ってまたお知らせしますのデ、皆さんは絶対のその場を動かないでくだサイ。命令に従わなければ、全員死にマス』
  声はボイスチェンジャーのようなものを使っているのか、男か女かもわからなかった。
  悪戯にしろ、本気にしろ。自分達の大事な学校でそんな騒ぎを起こすなんて冗談ではない。
  授業をサボったりはしているが、智にとってここはたくさんの友達がいる、大切な場所であることに変わりないのだ。
田無智「こんな事許せるか!俺達の学校で勝手なことしやがって!璃王、雅!お前ら行くぞ!」
鈴原雅「え、行くってどこへ!?ていうかじっとしてないと爆破するって脅されてるじゃん!もし爆弾がマジだったら・・・・・・!」
田無智「俺ら教室にも特別教室にも職員室にもいねーじゃん!授業中の今、動けるのは俺らくらいなもんだろ!」
鈴原雅「!」
  智の言葉に、目を見開く雅。警察に連絡するな、と言われていてもいずれ職員室にいる先生あたりが隙を見て通報するだろうが。
  それでも多少は躊躇するだろうし、警察もおおっぴらには動けない筈である。
  だったら、その前に自分達で犯人をとっつかまえてやるべきだと、そう思ったのだ。
  高校生にも喧嘩で勝ったことのあるくらい、喧嘩の腕には自信のある智である。
  それに加えて、参謀役の璃王と雅が一緒なら、どんな大人にだって負ける気はなかった。
神楽璃王「放送室だ」
  智の言葉に、璃王も立ち上がる。
神楽璃王「リアルタイムで放送されているのだとしたら、まだ犯人は放送室にいるかもしれない。急ぐぞ」
田無智「おう!」
  そして。
  東雲第一小学校屈指のワルガキトリオの、学校を救う冒険が始まったのだ。

次のエピソード:第二話「キミョウ」

コメント

  • 犯人は何が目的なのか、それがわからないからこそここからどんな展開が待っているのか楽しみです!
    そして子供ならではのアグレッシブさも期待してます!

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