1 ショックは突然(脚本)
〇教室
春青高校
1年A組
放課後
美紅「力丸っ!! 帰ろ」
力丸「なんだ、美紅か」
美紅「あのね、あんたと一緒に帰る超、超、超貴重な人なんて、幼馴染のあたしだけでしょ?」
力丸「確かに」
美紅「ほらね はやく!! バイト行かなきゃだし」
〇幼稚園
11年前──
美紅との出会いは幼稚園だ
美紅「りきまるっ! あたしがずっと友達になってあげるからね」
力丸「別に・・・ ずっと1人でいいし」
美紅「断るの?」
力丸「うん」
俺は静かなのが好きだ
人と関われば厄介なことが舞い込む
ずっと1人でかまわない
いつもそう思っていた
美紅「バカ!!」
力丸「イタっ!!」
美紅「そんなの寂しいじゃない!! いいから、友達になっとけ!! バカ丸!!」
なぜか俺を心配して泣く美紅が
気になった・・・
〇グラウンドの隅
初めは渋々一緒にいたが
コロコロと変わる表情に惹かれた
いつのまにか目が離せなくなり
高校も同じ所にした
力丸「これからもずっといられるように・・・」
美紅「え? 何か言った?」
力丸「いや、別に」
そう、俺は長い長い間
美紅に恋している
女の子「鷹野くん、私、鷹野くんのこと・・・」
美紅「ヤバっ!! こっち!!」
咄嗟に美紅に手をひっぱられ
木の影に隠れた
女の子「大好きですっ!! 付き合って下さい!!」
誰かが告白していた──
セナ「うーん、誰ちゃんだっけ? 俺、みんなのセナだから 特定は作んないの ごめんね」
女の子「知ってます だから、一度だけでもいいんでデートしてくださいっ!!」
鷹野セナ──
校内イチのモテ男だ
いつもヘラヘラしていて
気に食わないヤツだ
〇木の上
美紅「他の人の告白とか 目の前で見るの 恥ずっ!!」
力丸「確かに」
美紅「・・・あのさ、力丸に言わなきゃだから 言うね」
力丸「何?」
美紅「・・・・・・」
沈黙の時間
美紅の顔が近くにある
胸いっぱいの期待で
どんどん高鳴る心臓──
美紅「あたし、彼女できた」
力丸「ン? んんっ??」
美紅「できたの!! 彼女が!!」
〇白
誰か夢だと言ってくれ
モウ ミクトハ
イッショニイラレナイ・・・
永遠に──
この先もずっと──
イラレナイ・・・
〇グラウンドの隅
セナ「そんなとこで コソコソと 2人でナニしてんの? あーやしーっ」
美紅「別に!! 今から一緒に帰るだけ!!」
セナ「そっちは迫られて 顔、青くなってんぞ」
美紅「え!? ちょっと、力丸 大丈夫!?」
〇白
ドコデ マチガエタンダ
オレハ・・・
〇黒
一緒に登下校
一緒にテスト勉強
一緒に買い物
一緒に──
イッショニ──
好きだと伝える
時間はたくさん
あったはずだ
ほらみろ
人と関わるんじゃなかった・・・
美紅と関わるんじゃなかった・・・
「おーい 大丈夫か?」
カカワルンジャナカッタ・・・
「おいって!! 怖い夢でもみてるんかよ? 起きろ!!」
〇本棚のある部屋
力丸「どこだ? ここ・・・ 綺麗な部屋・・・」
セナ「だろ? 自慢の俺ん家だぜ それよかマジ ビビった スッゲーうなされてたぞ」
力丸「た、鷹野?」
セナ「おかみくなら、バイト」
「おかみく」とは、美紅の愛称だ
みんなからそう呼ばれて慕われている
力丸(そうだ バイトだった)
セナ「力丸って言ったっけ、お前」
力丸「ああ とにかく、迷惑かけてすまない すぐ帰るから」
こんな所に長いなんて出来ない
コイツと2人きりとか
ごめんだ
セナ「まあ、待てよ お前、おかみくに振られたんだろ?」
力丸「違う それに、俺たちは友達だ」
そう
ただの友達・・・
セナ「ま、腹減ったろ? とりあえず、何か食おうぜ」
力丸「は!? 俺の話聞いてないのか? 帰る!!」
セナ「いいのか? お前も知らない、おかみくの秘密 俺は知ってんだぜ?」
力丸「俺は、幼馴染だ!! 美紅のことなら 何でも知ってる!!」
セナ「何でもか・・・ 長く一緒にいるヤツらほど お互いの事知ろうとしなくなる そんなもんだろ?」
力丸「うるさい!! 帰る!!」
セナ「いいぜ・・・別に おかみくの秘密を一生知らないでも いいならな」
力丸「脅してるのか?」
鷹野セナ──
助けてくれて一瞬いいヤツだと思ったが
やっぱりイヤなヤツだ・・・
〇幻想空間
美紅の秘密・・・
今更知ったところで
何も変わらない
なあ、そうだろ?
〇本棚のある部屋
それなのに
この男を目の前にして
俺の足は
1ミリも動かなかった──
オカクミの秘密が気になります。その秘密を知っているセナも気になります。長年一緒にいても秘密を知らない彼は本当にショックでしょう。
おかみくの秘密も気になりますが、セナくんとの今後も気になります。
でも、秘密ってなんなんでしょうね?
それを握ってる限り、セナくんとは離れられないと!
確かに長い間いっしょにいるとそれが永遠に続くような気がして、大切なことを伝えられてないってありますね。私も同じような経験があるので切なくなりました。オカミクの秘密が気になります。