第二話「地球外生命体」(脚本)
〇学校沿いの道
学校の帰り道、
セナがいじめっ子たちに囲まれている。
城井奏太 「お前ら! セナから離れろ!」
いじめっ子たちを追い払うと、
セナは泣きべそをかきながら顔を上げた。
神崎セナ「助けてくれて・・・ありがと」
城井奏太 「セナもセナだ。 やられたまま黙ってちゃダメだ」
城井奏太 「自分の意志を言葉にしないと。 みんなからバカにされる」
神崎セナ「うん・・・」
城井奏太 「俺がいつでも守れるって わけじゃないんだから」
真顔でそう言ったのに、セナは
意地悪そうに小さくクスっと笑った。
城井奏太 「な、なんだよ!?」
神崎セナ「奏太(かなた)は いつでも守ってくれるよ?」
城井奏太 「そ、それが出来ないことだってあるだろ!」
神崎セナ「そうかなぁ。 奏太だったら、私がどこにいても 助けに来てくれるでしょ?」
城井奏太 「・・・・・・」
〇保健室
ハッと目を覚ますと、
ベッドに横たわっていた。
高島春斗「ようやく目が覚めたかい?」
城井奏太「え・・・! 春斗!?」
高島春斗「ん? なんで僕の名前知ってるんだ? 自己紹介はまだのはずだけど」
城井奏太「”僕”って・・・お前、なんか変だぞ?」
高島春斗「こっちの台詞だよ。 僕は君なんて知らない。 誰と間違えてるんだ」
城井奏太「何言ってんだ? お前春斗だろ?」
高島春斗「はぁ・・・まあ頭打ったみたいだし、 混乱しているのかな」
城井奏太「そうか・・・俺、気を失ってたのか」
高島春斗「新しいアビオが来て、すぐに戦闘になった」
高島春斗「君はそれに巻き込まれて 意識を失ったんだよ」
城井奏太「アビオ?」
高島春斗「まさか知らないとは言わないよね」
城井奏太「そ、そうだ! セナ! 俺はセナに会って、 それで・・・それから──」
高島春斗「君、セナさんを知ってるの?」
城井奏太「セナは生きてるのか!?」
高島春斗「相手は下級のデフィジョンだ。 アビオの数も100体はいかないだろう。 セナさんが負ける要素はない」
城井奏太「下級? デフィ・・・ジョン?」
高島春斗「本当に何も知らないのか? まさか記憶喪失──」
城井奏太「セナはどこだ?」
高島春斗「セナさんならここには・・・ っておい、待て!」
無我夢中で部屋を飛び出した。
見間違いじゃなかった。
セナは本当に生きていた・・・!
〇廃墟の廊下
混乱する頭を抱えながら必死に走った。
そして廊下の先にある大きな扉を開けた。
〇カプセルのある体育館
城井奏太「なっ・・・! なんだこれ!」
大きな空間の中にはいくつもの水槽があり
そこには見たこともない怪物が
ホルマリン漬けにされていた。
高島春斗「それがデフィジョン、地球外生命体だよ」
振り返ると春斗が俺の後ろに立っていた。
城井奏太「こ、こんな怪物が・・・!?」
高島春斗「驚いた。 とぼけていたわけじゃなかったんだね」
城井奏太「あ、当たり前だろ!」
高島春斗「3年前、1000近い数が飛来してきた。 人間の頸椎に卵を植え付け、 人形のように自在に操ることができる」
城井奏太「冗談だろっ・・・! こんな奴が1000体もいるのかよ!」
高島春斗「アビオはその何百倍もいるさ」
城井奏太「・・・っ!」
高島春斗「アビオってのは、デフィジョンに操られた人間たちさ。君の横にいるのもそう」
水槽の中には眠っているように
浮かんでいる人間たちがいる。
高島春斗「アビオになると、 二度と元の人間に戻ることはない」
高島春斗「自分の意志とは関係なく 永遠にデフィジョンの手足となる」
目の前で人が頭を撃ち抜かれた瞬間を
思い出した。
あいつも、卵を植え付けられた人間――
アビオだっていうのか?
高島春斗「君も調べさせてもらったよ。 けど首に痕跡はなかった」
高島春斗「この辺りにまだ人が残ってるなんて 思ってなかったんだけど」
城井奏太「ま、待ってくれ。 もう人は残ってないのか? 警察、いや自衛隊は──」
高島春斗「一年前に壊滅したよ。 日本政府だけじゃなく、 世界の主要な国はほとんど機能していない」
城井奏太「嘘だろ・・・」
高島春斗「各地に残っているレジスタンスは、 必死に抵抗しているけどね」
城井奏太「なんだよ・・・これ。 まるでゲームの中の世界みたいじゃないか」
高島春斗「残念ながら現実だよ」
城井奏太「違う・・・! 俺の知っている現実は、 こんなんじゃないんだ」
城井奏太「俺は普通の高校生で、 お前だって俺と一緒に学校通ってて」
高島春斗「・・・君、ほんとに激しく頭打ったみたいだねぇ。もう少し休んだほうがいいよ」
城井奏太「・・・・・・」
〇保健室
ベッドに無理やり寝かされた俺は、
天井を見ながら考えていた。
これが夢じゃないなら、
ここはいったいどこなんだ・・・。
どこか見覚えのある天井のシミを見て、
あることを思い付いた。
城井奏太「・・・もしかしてここは──」
〇廃墟の廊下
ベッドを抜け出し、長い廊下を走った。
この廊下も、その先にある階段も、
知っている。
走りながら疑惑が確信へと変わっていく。
城井奏太「間違いない・・・ここは!」
〇学校の屋上
眼下には荒廃してはいるが
見慣れた街が広がっていた。
城井奏太「ここは・・・俺の通っている学校だ!」
???「もしかしてあんたが、 セナさんの言ってた新入り?」
振り返ると、高い所から
足をブラブラさせている女の子がいた。
城井奏太「なあ、一つ聞いていいか? 今は西暦何年? それにここは東京――だよな?」
???「頭大丈夫?」
城井奏太「俺は真面目に聞いてるんだ!」
???「わかったわかった。 そんな怖い顔しないでよ」
彼女はそう言うと、咳払いして答えた。
???「西暦2023年。もちろん東京だよ」
城井奏太「やっぱり・・・!」
???「あと私があんたの上官。めんどくさいけど」
城井奏太「え?」
???「聞こえなかった? 明日から私があんたを鍛えるの。 あー、めんどくさ」
城井奏太「・・・鍛える?」
桐島彩音「私の名前は桐島彩音(きりしまあやね) 第四部隊の隊長よ! よろしくっ!」
いやぁ、回想シーンエモいですな~。奏太がセナを守っていて、どこにいても守ってくれるなんてセリフを聞いたら、なんとなくフラグかなって思いました(^_^;)もし当たってたら、褒めてくださいww
今後も楽しみにしてます!!