歴史のif_3話

おば3は見ていた

エピソード1(脚本)

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〇山の中
たいき「サンキュー、オッサン。また、どっかで隠れてんだろ」
山伏「帰りたくなったら、声を掛けて下さいね。ふあああ~あ」
ゆうま「おい、たいき、見てみろよ!水攻めって聞いてはいたけど、すげえぞ」
たいき「川の堤防を切って、村を沈めて湖みたいにしたんだっていうんだからなあ」
ゆうま「さて、秀吉の館は・・・あれだな」
たいき「どんちゃん騒ぎしてるみたいだな」
ゆうま「それは、好都合。するりと、潜り込もう」

〇古民家の蔵
たいき「静かになったな」
ゆうま「じゃあ、行こうか」
  2人は、秀吉が眠っている部屋に潜り込むと、ゆうまは、秀吉の頭上にある太刀を手に取り、秀吉の胸に深々と突き刺した
  たいきは秀吉が掛けていた着物を口に詰め込み、声が漏れないようにしたが、やはり騒ぎとなり、2人は館の外へ逃げ出した。

〇山の中
たいき「お前、大胆な事をするな」
ゆうま「いや、秀吉がいなければ、争いのない世が20年早く訪れたのか、やはり、別の登場人物で20年争うのか知りたかったんだ」
たいき「それだけの理由で歴史を変えたのか?」
ゆうま「それだけの理由だけど、人間っていうものを考える時に、重要な事だと思わないか?」
たいき「例えば、神話の出雲の国譲りは成り立つのか?という事か?」
  出雲の国譲りとは地上のオオクニノヌシが宮殿(出雲大社)の建設と引き換えに、高天原(たかまがはら)に地上の支配権を譲る
  高天原つまり、アマテラス系の神が天孫降臨として地上を支配するのは、出雲の国譲りを受けての事
  現在、巨大な出雲大社の遺跡の一部とみられる柱の跡が発掘されたり、出雲地方で大量の青銅器の武器が発掘されたりしている
  アマテラス系は、つまり大和系王朝であり、古代、出雲と大和の間で、戦闘が行われたのか、行われなかったのか興味深い
ゆうま「まあ、あれは、神話じゃなくて実際の歴史で、出雲と大和が戦ったんだと思うけどな」
たいき「人間は平和に生きる事ができるのかって事を実験しようとしたのか?」
ゆうま「ごめん!結果をみたら、もう一回ここに戻ってきて、元に戻すから」
たいき「あっ、そっかあ。あのオッサンがいれば、何回でも、何パターンでも試す事ができるのか」
ゆうま「ああ・・・気が付いてなかったのか」
たいき「いや~俺、頭悪いからさあ(笑)」
ゆうま「とりあえず、オッサン呼ぶか」
山伏「(舌打ち)ご無事のお帰り、何よりです。さて、どうします?」
たいき「現代に戻っても、オッサンは俺らの側に居るんだよな?」
山伏「ええ、そうさせていただきますよ」
ゆうま「じゃ、現代の京都に帰って」
山伏「はい、じゃ、現代の京都ですね。いきますよ」

〇地球

〇温泉街
たいき「おおむね変わってない感じかな?」
ゆうま「さて、現状把握からいくか」
山伏「私は、その辺で休んでいますので、動きたくなったら、声を掛けて下さい」
ゆうま「ねえねえ僕?この辺で、誰でも本を読む事ができる建物ないかなあ?」
男の子「あれだよ」
ゆうま「ありがとうね」

〇図書館
ゆうま「まず、今日の新聞は・・・ああ、年号がなくて、西暦なんだ」
たいき「本当だ。国会がどうこうという記事はあるけど、首相ではなくて、黒田総統だってさ」
ゆうま「財界も、知らない名前ばっかりだな。海外の国名だけは馴染みがある」
たいき「俺、歴史のコーナー行ってるわ」
ゆうま「俺が株価見ても、さっぱり分かんないけどな。チラッと見て・・・企業名も黒田なんとかだらけじゃん」
ゆうま「この新聞、なんかおかしいと思ったら、テレビ欄がないんだよ。ん?これか?国営放送1局?」
たいき「え~と、秀吉の中国大返しはなくなって・・・ない・・・ん・だ・・・え?で?光秀と天王山で、戦ったのが?黒田官兵衛?」
  天王山の戦いとは、中国大返しをして畿内に戻った秀吉軍と光秀軍がぶつかった戦いの事。「天下分け目の天王山」はここから
ゆうま「おい!たいき!」
たいき「あ、ゆうま!光秀倒して天下取ったの、黒田官兵衛だってさ」
ゆうま「しっ!声がでかいって。多分、今もそのまま、黒田家の末裔が政権を担っている」
たいき「え?まじ?」
ゆうま「年表を見てみろ。秀吉の中国大返し。その途中に急死した秀吉。秀吉の遺志を継いで、天王山で光秀を討った官兵衛」
たいき「そこ、作り話じゃん」
ゆうま「歴史なんて、勝った人間が言った事がまかり通るものだろ?」
たいき「まあ、そうだね。死人に口なしだもんね」
ゆうま「官兵衛は信長の家臣を次々に討って、自分が幕府を建てたんだよ」
たいき「本当だ。黒田幕府ってあるわ」
ゆうま「現代まで討幕されてないだろ?」
たいき「うん」
ゆうま「鎖国していないようだな。ヨーロッパ列強と程よい距離を保ちつつ、日本文化のレベルの高さをアピールできたのか?」
たいき「だから、江戸幕府の幕末の黒船来航に続く、不平等条約締結がなかったかもしれない」
ゆうま「その可能性は高いんじゃないか?日清戦争・日露戦争もないし、世界大戦も2回とも参戦していない」
たいき「なるほど!明治政府の初期にあった、急速な西欧化政策を取らなくても、自然な形で和洋折衷出来ていたのかも」
ゆうま「やっぱりだ!討幕運動がなかったから、薩長だの西南戦争だの戊辰戦争だのの内戦も起きていない」
  薩長は薩摩藩、長州藩で、江戸幕府の討幕で大きな働きをした藩。西南戦争は、西郷隆盛率いる武家の残党対新政府の戦い
  戊辰戦争は、幕府派と討幕派の内戦
たいき「そうなると、ゆうまのやった事は、いい事だったんじゃねえか?」
ゆうま「いや、分からない。一党独裁っていうのは、色々な弊害が出やすい。黒田総統と言ったよな」
たいき「ああ、新聞にそう、書いてあったよ」
ゆうま「総統って、ヒトラーも総統だよ。政治も軍も全権を掌握している人間なんだよ」
たいき「そうか、第二次世界大戦で負けてないから、日本軍があるんだろうな」
ゆうま「おそらくな。それに、この国の住民は、人権を認められているのかどうか、まだ分からない」
  その時、2人に近づく靴音があった。
図書館の係員「すみませんが、図書館では静かにしていただけますか?」
「すみません」

コメント

  • 『死人に口なし』まさにどの様に戦いが企てられどう展開していったかなど、勝者側や協力者達が都合よく書き換えているのでしょうね。この回のIF、 日本文化や風習をより伝承できていたかどうかという大事な仮定で、現状からして少し残念なだけに少し夢を見させていただきました。

  • 歴史というものは学生の頃は退屈な教科とばかりかんじていましたが、改めてIfをいれながらこう読み返してみるとめちゃくちゃおもしろいですね。ひとりの重要な人物の人生がその後のすべての人々の未来を大きく変える、やはりすごいことです。スケールの大きさを感じます。

  • 歴史を変えると、たしかにその後の流れも変わってしまいますよね。
    秀吉亡き後の日本は、本当によかったのか…っていうか、秀吉が亡くなる前にお家騒動を起こして歴史が変わった気もするので、この作品はすごく興味深いです。
    黒田官兵衛は、なんとなくやりそうです。笑

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