ウンソーとハッカー

ソエイム・チョーク

エピソード1(脚本)

ウンソーとハッカー

ソエイム・チョーク

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〇白いアパート
遠藤浩一「ウンソーイーツです お届けのカレーです!」
客「あー、待ってたよ これ、お金ね」
遠藤浩一「はい、ちょうどですね ありがとうございます!」
  俺は遠藤浩一、22歳
  配達行で日銭を稼ぐ小市民だ

〇街中の道路
  毎晩毎晩、バイクで走り回って、食べ物を届けて・・・そんな日々を続けている
遠藤浩一「次は・・・少し離れているけど、ここをピックアップするか・・・ 中華かな?」
  店で中華料理を受けとる、かなり量が多い
  パーティーでもやってるのかな?
遠藤浩一「届け先、かなり遠いなぁ・・・」
  ポツポツと降り始める雨
  天気がよくない、土砂降りになりそう・・・
遠藤浩一「やっとついた・・・ このビルの三階か」

〇雑居ビルの一室
遠藤浩一「ウンソーイーツです お届けの料理です」
前田「はいはい、遅かったね 早く持ってきて」
遠藤浩一「スミマセン・・・」
前田「あれ? おまえ、どっかで会ったことねぇか?」
遠藤浩一「どうでしょう? 以前にも配達しましたっけ?」
  たぶん、ここに来たのは初めてだと思う
  この人にあったのも・・・
遠藤浩一「っ! 前田?」
前田「あっ、そうか! おまえ、遠藤じゃん!」
遠藤浩一「くっ・・・」
加藤「どうした? 中華届いたのか?」
前田「加藤、見ろよ この配達員、遠藤じゃん?」
加藤「マジで? ははは、 生きてたのかよ、弱虫君」
宮本「え? マジで? ウンソーなんかやってたの? 草生えるわ! 生え散らかすわ!」

〇黒背景
遠藤浩一「高校時代、僕は前田達からイジメを受けていた」
遠藤浩一「あのイジメが続いていたら、自殺していたかもしれない」
遠藤浩一「ある時、市内で別の高校で自殺が起こって、教育委員会から通達が来て、校内の見回りが厳しくなった」
遠藤浩一「それで僕へのイジメもなくなった・・・」

〇街中の道路
  どうやって藤山コインを出たのか覚えていない
遠藤浩一「お金はもらったっけ? あ、クレカ支払いか・・・」
  なんか、やる気がなくなってくる
  今日はもう終わりにして帰ろうかな
  あ、まだ1日の目標金額にたっしてないや・・・
  もう一件位いかないとダメかな?
  200メートル先のファミレスでピック
  ちょうどいいや

〇ファミリーレストランの店内
店員「ウンソーさんですね 荷物はこれです」
遠藤浩一「スープとサラダ、これだけ?」
店員「注文通りですよ、一応、密封してるけど できるだけ傾けないようにお願いしますね」
遠藤浩一「わかりました」
  夕食にしては少ないけど
  このお客さんはダイエット中なのかな?

〇タワーマンション
遠藤浩一「ここか・・・凄い高層マンションだ・・・ えっと・・・業者は裏にまわるの?」
遠藤浩一「うわ、警備員とかもいるのか・・・」
遠藤浩一「あの、ウンソーイーツですけど」
警備「ああ、お疲れ様、どこの部屋に届けるの? っていうか、君、ここに来るのは初めて?」
遠藤浩一「初めてです、えっと1507号室ですね」
警備「じゃ、入る前に、これ書いてね」
  えっと・・・会社名に、名前と電話番号、入館時刻と退館時刻?
  制限時間があるの?
警備「1507号室ですか? ウンソーイーツが来てるんですが・・・はい・・・わかりました」
遠藤浩一「はい、書きましたよ」
警備「どうも、じゃこれ、カードキーなので 帰るときにここで返してください」
  大きいマンションって中もごちゃごちゃしてる・・・業者と住人が鉢合わせしないようにできてるのかな?

〇マンションの共用廊下
遠藤浩一「ウンソーイーツです お届けに上がりました」
???「はい、今、鍵を開けます」
  ドアの鍵が開く音
  自分で入ればいいのかな?
  扉を開けると女の子がいた
  なんか顔色が悪いけど、大丈夫だろうか?
遠藤浩一「えっと、支払いはカードで?」
木﨑瑠璃「はい、あ、ちょっと待ってて 荷物もそこにおいてください」
  女の子はふらふらした足取りで奥へと入っていく
  僕は背負っていた荷物を下ろして、玄関に置かれたテーブルの上に食べ物を置く
  お金持ちって凄いところに住んでるんだな
  この玄関だけで僕のアパートより広いや
  女の子がカードを持って戻ってくる
木﨑瑠璃「ありました、カード」
遠藤浩一「はい、ありがとうございます」
木﨑瑠璃「あっ? うううっ・・・」
  女の子は苦しそうにしゃがみこんでしまう
  下腹からゴロゴロと音がした
遠藤浩一「あの、大丈夫ですか?」
木﨑瑠璃「・・・」
遠藤浩一「ちょっと失礼・・・ 熱っ! 熱ありますよ?」
  このまま帰ってしまっていいのだろうか?
  別にお客の一人でしかないんだけど、僕が帰った後、倒れたりとかしたら、嫌だな
遠藤浩一「あの、病院とか行った方がいいのでは?」
木﨑瑠璃「だ、大丈夫です、ちょっと体を冷やしちゃっただけで・・・」
遠藤浩一「ポカリとか薬はありますか?」
木﨑瑠璃「それは・・・切らしちゃってて・・・」
遠藤浩一「わかりました、僕が買ってきます」
木﨑瑠璃「えっ、あの・・・」
遠藤浩一「大丈夫です、休んで待っててください」

〇薬局の店内
  近くの薬局に来た
  風邪薬と胃腸薬かな、あとはポカリ
  あ、そうだ、こういう時はプリンもいいな
  お金は、僕が出すしかないか
  後で払ってもらえればいいけど、あんまり期待しない方がいいかな・・・

〇タワーマンション
警備「あれ? 君、さっきも来たよね?」
遠藤浩一「はい、1507号室です」
警備「また? ちょっと待ってね 確認するから・・・」
警備「・・・おかしいな、返事がない」
遠藤浩一「そんなわけは・・・」
警備「さっき中に入った時、何か変わったことはなかった?」
遠藤浩一「いえ、具合が悪そうだったけど、それだけで・・・」
警備「・・・」
  さっきまで別のところにいた警備員が、僕の後ろに立つ、もしかして疑われているのだろうか?
  僕は誓って何も悪いことはしていない
  どうして返事がないのだろう?
  僕の助けが不要だったとしても、警備から連絡が来たら返事ぐらいはするはず
  まさか、本当に意識を失って倒れているとか?
警備「あ、はい・・・そうです、さっきと同じ・・・わかりました」
警備「1507号室と連絡がとれた 入っていいぞ」
遠藤浩一「本当ですか!」
警備「疑ったりして悪かったよ」

〇マンションの共用廊下
  1507号室に行くとすぐに扉が開いた
木﨑瑠璃「ごめんなさい、ちょっとトイレに入ってて・・・」
遠藤浩一「うん、いろいろ買ってきたから」
木﨑瑠璃「スミマセン・・・」
  女の子はまだ足元がふらついている
  僕は肩を貸す
遠藤浩一「どこか座れるようなとこある?」
木﨑瑠璃「えっと、少し散らかってるけどこっちに・・・」

〇シックなリビング
  リビング、散らかっているというか・・・
  テーブルの上に書類みたいなものが積み上がっている
  とりあえず女の子はソファーに座らせて・・・
遠藤浩一「えっと、買ってきたものが・・・うわっ?」
  荷物を出そうとしたら、書類の山が崩れた
木﨑瑠璃「あっ、体丈夫ですか?」
遠藤浩一「ごめんごめん、大丈夫」
木﨑瑠璃「うっ? また・・・」
  女の子は顔をしかめて、お腹を押さえる
遠藤浩一「しっかりして・・・」
  僕も近寄って、肩を抱いてお腹を撫でる
木﨑瑠璃「あ・・・なんだか痛みが引いて来ました」
遠藤浩一「そっか、よかった」
木﨑瑠璃「っ・・・」
遠藤浩一「じゃあ、これを・・・」
  僕は買ってきた物をテーブルの上に並べていく
遠藤浩一「さっきのサラダとスープは?」
木﨑瑠璃「まだ食べてません・・・ 思ったより具合が悪いから、サラダは無理かも」
遠藤浩一「冷蔵庫に入れて明日食べればいいよ スープぐらいはいけるでしょ?」
木﨑瑠璃「・・・はい」
  スープをテーブルの上に置く
  サラダとプリンは冷蔵庫の中に
遠藤浩一「食べられる?」
木﨑瑠璃「はい・・・」
  女の子がスープを飲むのを、僕は隣で見守った
遠藤浩一「具合、どう?」
木﨑瑠璃「ずいぶん楽になりました・・・」
遠藤浩一「そっか、一応薬も・・・」
  急に僕のスマホが鳴り響いた
警備「退館時間を過ぎていますが、問題ありませんか?」
遠藤浩一「あっ、すみません もう帰ります」
遠藤浩一「ごめん、もう帰らないと・・・」
木﨑瑠璃「はい、いろいろありがとう」
遠藤浩一「お大事にね」

〇古いアパート
  僕は家に帰ってきた
  家賃4万円のぼろアパートだ
遠藤浩一「あれ? なんだこれ・・・」
  たぶん、最後の女の子の所から持ってきてしまったのだろう、後で返しにいかないと・・・
  封が開いていて中身も見てしまった
  artificial intelligence? なんだろう?
遠藤浩一「こっ、これは?」
  英語の文書と一緒に入っていたのは、一枚のパンフレット
  藤山コインのパンフレットだった
遠藤浩一「さっきの女の子と、前田たちの会社に何か関係が?」

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 謎の少女こと木﨑さんがどんどん気になる第一話でしたね。そして主人公のお人好し具合もかなりのもので。この2人が織りなす物語展開、続きが気になります。

  • どんどん面白くなってきました。弱っている人をみかけたらほおっておけない主人公、優しいですね。そんな優しい主人公が危険なことに巻き込まれてしまわないよう願うばかりです。

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