エピソード3 眠れない男(脚本)
〇応接室
ドンドン! ドンドン!
「開けろー! 開けてクレー!」
ドンドン!
謎の男パトソン「うわー! ヤバいよ!」
スピリチュアル探偵GENJI「開けてみましょうか」
謎の男パトソン「やめ、やめろって」
スピリチュアル探偵GENJI「どなたでしょうか。今日は、終了していますが」
ガチャリ
男「聞いてくれ!」
スピリチュアル探偵GENJI「なんでしょうか」
男「怖いんだ!」
スピリチュアル探偵GENJI「自分がですか?」
男「違う! 夜眠るのが怖いんだ!」
スピリチュアル探偵GENJI「それは、夢のせいですか?」
男「よく分かったな、流石スペルタオル探偵だな」
スピリチュアル探偵GENJI「スピリチュアル探偵です」
男「どっちでもいい。 俺を眠らせてくれ!」
スピリチュアル探偵GENJI「どんな夢を見るんですか?」
男「なぜか俺は、飛脚の格好をしていて」
男「そして箱に棒がついたようなやつをかついでる」
スピリチュアル探偵GENJI「挟み箱ですね」
男「その箱がめちゃくちゃ重いんだ。 肩がとれそうなほどに」
男「歩けないほど重いのに、走らなきゃいけない」
男「それも、険しい山道だ」
男「どんなに走っても目的地につかない。荷物はどんどん重くなり、山道は暗くて暑くてどんどん険しくなる」
スピリチュアル探偵GENJI「その夢を毎日見るんですね」
男「そうなんだ!起きたら汗びっしょりで、身体が鉛のように重くて苦しい!」
男「もうあの夢を見たくない!助けてくれ!」
スピリチュアル探偵GENJI「分かりました、ではスピリチュアル夢案内を致します」
〇水中
目を閉じてください
あなたは飛脚の夢を見ます
背負っている重い箱から、ひらりと何かが落ちました
それは地図です
その地図をみてください
そこには宿屋への道順が書いてます
それがあなたへのメッセージです
男「やった!これで、荷物からも山道からもおさらばだな!宿屋でゆっくり休めるってことだな」
男「ありがとう!スケベタオル夢案内のおかげだな」
スピリチュアル夢案内です
〇応接室
謎の男パトソン「無事に済んで良かったな」
スピリチュアル探偵GENJI「きっと今夜は宿屋に到着できるだろう」
謎の男パトソン「宿屋に導いたんじゃなくて、気づかせたんだろ?」
スピリチュアル探偵GENJI「?」
謎の男パトソン「あの男の人は、宿屋に気づくために、飛脚になって走る夢を繰り返し見てたんだ」
謎の男パトソン「宿屋に着いたら、脚を洗ってもらうからな」
謎の男パトソン「『脚を洗え』 それがメッセージか」
スピリチュアル探偵GENJI「ふふ 相変わらず鋭いな」
謎の男パトソン「なんだよ!やっぱり分かってるんじゃないか。夢案内じゃなくてとんだ夢芝居だな!」
スピリチュアル探偵GENJI「彼自身が蓋をし続けていただけさ」
スピリチュアル探偵GENJI「私は宿屋に気付く時期を早めただけ」
スピリチュアル探偵GENJI「さあ本当に、幕じまいだ。すっかり暗くなった。明日は朝から賑やかになりそうだよ」