今は弱気になっているだけ

一ツ柳

エピソード1(脚本)

今は弱気になっているだけ

一ツ柳

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〇一戸建て
  築5年のこざっぱりした一軒家。
  はたから見たら、幸せな家と幸せな家族───
  でも
  いつからか、私はここを牢獄のように感じ始めていた。

〇スーパーマーケット

〇スーパーの店内
「(電話の声)でぇ、明後日、国子の家行っていい?」
多田国子「え、あ、まってお姉ちゃん」
「(電話の声)きまりー☆ じゃあね! また連絡するよ!」
スーパーの店員「いらっしゃいませ」
多田国子「え、あ・・・・・・」
スーパーの店員「あの、お品物は」
多田国子「あ、すみません」
スーパーの店員「5080円です」
多田国子「はい・・・・・・」
  私はふと、ガラス窓の外を見た。
  そこには弾ける笑顔の親子が立っていて・・・・・・

〇スーパーマーケット
ある娘「きゃははー! 雨でびしょびしょ♪」
ある母親「風邪ひかないようにね!」
ある娘「うん!」

〇スーパーの店内
  あのお母さんは輝いている。
  いつから私は、こんなつまんない人になっちゃったんだろう

〇スーパーマーケット
ある娘「ねぇね、お母さん。 ・・・・・・大好き!」
ある母親「わあ、ありがとう♪」
ある娘「あたしね、大きくなったらお母さんみたいに、美人で優しいお母さんになるの!」

〇スーパーの店内
スーパーの店員「ありがとうございましたー」

〇幻想空間
  この画面を見ているあなた・・・・・・
  そう、そこのあなたです
  私のストーリーに、付き合ってくれてありがとう
  あなたは、「夢を叶えるのに必要なもの」は何だと思いますか?
  ・・・・・・
  
  ・・・・・・
  あきらめない心?
  
  自分を信じる力?
  恵まれた環境?
  
  じゅうぶんなお金?
  そんなものを持っていなくちゃ、夢を叶えられないのでしょうか・・・・・・
  それを持っていない人は、みんな、夢をあきらめなきゃいけないのでしょうか・・・・・・
  だったら私は、もう生きている意味を見出せないかもしれません

〇一戸建て

〇おしゃれなリビングダイニング
多田元「おい、夕飯まだ」
多田国子「すぐ、もうすぐだから」
多田元「ったく、おっせえな」
多田国子「あっ!! (箸を落とす音)」
多田元「・・・・・・」
多田国子「ごめんね、すぐ洗うね」

〇L字キッチン
  こんな生活、私はいつまで続けるの?
  おばあさんになるまで、ずっとこのまま・・・・・・?

〇おしゃれなリビングダイニング
多田真央「(玄関を開ける音)」
多田真央「ただいま」
多田国子「おかえり、真央」
多田国子「その膝どうしたの」
多田真央「うん、ちょっと」
多田国子「絆創膏そこにあるから・・・・・・ ってちょっと、真央!」
多田真央「(階段を上がっていく音)」
多田元「めし」
多田国子「・・・・・・」

〇お台場
  今日も夫はニュースを見ていた
TVキャスター「本日の注目ニュースはこちら!」
TVキャスター「昨年までは、舞台・ミュージカル俳優の名門である輝煌(きこう)芸術学校において、15歳~18歳という応募条件がありました」
TVキャスター「しかし、次期の入学試験からは、応募者の年齢制限を撤廃するとこのと!!! 学長の山田さんにお話を伺いました」

〇テレビスタジオ
TVキャスター「山田学長、今回の思いについてお聞かせください」
山田学長「世の中の価値観に合わせて、ここ数年、全ての女性に可能性を広げるべきだと考えていたのです」
山田学長「輝煌芸術学校に入学したい方は、世代を問わずたくさんいらっしゃいます」
TVキャスター「ええ、みんなが一度はあこがれる学校です」
山田学長「そこで、間口を大幅に広げました。 とはいえ、入学できる人数には限りがあるのですがね・・・・・・」
山田学長「合格倍率は例年以上に高くなる見通しですが。 ぜひ、意欲のある方々に多く参加していただきたいです」

〇おしゃれなリビングダイニング
多田元「はは、笑える」
多田元「まったく、何でもでもかんでも変わりゃいいってもんじゃないよな」
多田元「最近の世の中、甘すぎるんだよ」
多田国子「はは、そうかもしれないね」
  私はもうこのとき、決心していたのかもしれない。
  「輝煌芸術学校を、受験する」
多田国子「ねえ」
多田元「あんだよ、テレビ見てるんだから静かにしろよ」
多田国子「あ、うん、何でもないや、ごめん」
  私は、まだ見ぬ未来を想像し、勝手に一人でどきどきしていた──

コメント

  • 「恵まれている生活」と「幸せな生活」とが必ずしもイコールではないことがよく分かる日常の描写に、感心するとともに共感しました。彼女の姿を見て読者も奮起するような展開を期待します。

  • 夢を叶えるのに必要なのは勇気と努力だと思います。
    でもそれも才能かもしれない…そう考えてきた私はそう考えて逃げていたのかもしれません…。

  • 彼女が日々の生活で形容しがたい閉塞感を感じていること、すごくわかる気がします。だからこそ、憧れの輝煌芸術学校への受験でそれを打破したくなったのでしょうね。

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