悪には悪の正義があるっ‼︎

川越駿光

第一話「踏み外した一歩」(脚本)

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〇教室
先生「‥‥やはりここを選ぶか」
一途 正義「──はい、俺は「スターダスト・ヒーローズ」に入ります」
先生「ああ、それがよかろう。 天国のお父さんも喜ばれる」
先生「それにお前なら、どこだって入れる。 校長も喜んで推薦状を書いてくれるだろう」
一途 正義「ありがとうございますっ!」

〇名門の学校
柳川「「スターダスト」!?」
菅田「めちょくちゃ大手じゃないかっ!?」
菅田「・・・っていうか求人出てたのか!?」
柳川「「スターダスト」は求人を出さない。 毎年、校長が推薦した生徒だけが入社試験を受けられるんだ」
柳川「それでも毎年30名ほどが受けて、1人合格が出るかどうからしいが・・・」
菅田「すげー! 我が同期から、有名人誕生だな」
一途 正義「おいおい。まだ受かったわけじゃねぇんだぞ」
菅田「いーや! お前が落ちるわけないっ!」
柳川「全国1位のお前が落ちたら、 誰も受からんって」
柳川「それに落ちるつもりはないんだろ?」
一途 正義「ああ、もちろんだ。 あそこは・・・」
  父さんがいた事務所だからな──。

  第1話
  踏み外した一歩

〇テレビスタジオ
アナウンサー「────本日、「民間自衛組織法」の設立から20年となりました」
アナウンサー「20年前と現在の日本では、どのような変化があったでしょうか?」
犯罪ジャーナリスト「そうですね。 20年前に比べると、犯罪率は格段に低くなってます」
犯罪ジャーナリスト「それはやはり、民間自衛員・・・俗に言う"ヒーロー"の存在が大きいですよね」
アナウンサー「たしかに。 今やヒーローは私たちにとって欠かせない存在ですよね」
犯罪ジャーナリスト「近年の犯罪者は極悪ですからね。 正直、警察じゃ対処しきれないでしょう」
アナウンサー「俗に言う"ヴィラン"ですね。 中には、重機関銃を所持していたケースもありました」
犯罪ジャーナリスト「だからこそ即座に対応できる戦闘のプロが必要なんです」
犯罪ジャーナリスト「ヒーローたちは、間違いなく今の日本を支える存在でしょう」

〇電車の中
  ────次は東小金井。
  降り口は右側です。
一途 正義「おっと──」
  スマホのニュースに夢中になっていた。
  慌てて、腰を上げると電車を後にする。

〇改札口前
  改札を抜けて、腕時計を見る。
  12:20
  ────入社面接は13時だから丁度いい時間だ。
  念のため、メールに送られてきた住所を地図アプリで検索する。
  結果は徒歩10分のルート
一途 正義「よし、余裕だな」
  そしてルートに従って足を進める。
  少し早く着きそうだが、会場を確認する意味でも丁度いいだろう。
  何にせ今日は大事な採用試験なんだ。
  遅刻なんてヘマは許されない

〇廃倉庫
一途 正義「ここ・・・か・・・?」
  そこには開けた空間にある大きな建物だった。
  何かの工場・・・いや廃墟のようにも見える。
  なんとも古臭く、胡散臭い雰囲気のある空間だった。
一途 正義「えっと・・・・・・」
  つい辺りを見渡してしまった。
  あまりにもイメージと違ったのだ。
  住所を間違えたのかも知れない。
  そう思い、もう一度スマフォを触る
  しかし地図アプリは「目的地に到着」の文字
  住所間違いも・・・なさそうだ
一途 正義「つっても、これは・・・」
  何かの間違いだと言いかけた時、目に入ってきたのは正面玄関に立てられた看板の文字
  そこには間違いようのなく、
  『採用試験会場』の文字があった
一途 正義「──いや、落ち着こう。 何か意図があるのかもしれない」
  そう言えば聞いたことがある。
  ヒーローの事務所は情報漏洩しないように、カモフラージュされてることが多いと
一途 正義「そうだ、落ち着け俺。 やっとここまできたんじゃねぇか・・・」
  深く息を吸って、両手で頬を叩く。
一途 正義「・・・・・・よし、いこう!」

〇役所のオフィス
一途 正義「失礼します」
受付のおばさん「・・・・・・」
一途 正義「本日、13時から面接を予定しておりました一途と申しますが・・・」
受付のおばさん「・・・・・・」
一途 正義「・・・・・・あの? ご担当者様は?」
受付のおばさん「・・・・・・」
受付のおばさん「・・・・・・お待ちを」
  受付であるおばさんは内線電話をかけ始めた。
  時折、こちらをチラチラ見ながら、何か話している。
  しばらくして受話器を置き、こちらに顔を向けた。
受付のおばさん「・・・・・・奥の談話室でお待ちください」
一途 正義「あ、ありがとうございます・・・」
  言うだけ言ってそそくさと背を向けるおばちゃんを横目に、俺は足を進めた。

〇備品倉庫
  「談話室」と書かれた部屋に入って10分が経った。
  未だ面接官は来る気配がない・・・というか人の気配がない。
一途 正義「ヒーロー事務所って運営厳しいのか・・・?」
  「スターダスト・ヒーローズ」と言えば日本で1番有名な事務所と言っても過言じゃない。
  在籍数も確か業界一だったはず。
  しかしこの部屋を見ても、
  とてもじゃないが名の知れた企業とは
  思えない。
一途 正義「・・・いやカモフラージュなんだ。きっと」
  そんな時、
  誰かが近づいてくる音が聞こえてきた。
  俺は席を立ち、身構える
音羽 奏「──すまない。 お待たせしたね」
一途 正義「い、いえ! お忙しい中、お時間いただきありがとうございますっ!」
  ──すごい美人だ
  まるで芸能人、モデルのような高貴な空気を持った人だった
音羽 奏「さ、かけたまえ。 ──ああ、あと履歴書を」
一途 正義「はい。 ──こちらです」
  彼女は差し出した履歴書を淡々と読んでいく
音羽 奏「・・・なるほど。 これは面白いね」
一途 正義「面白い・・・ですか?」
音羽 奏「いやいや、気にしないでくれ」
音羽 奏「・・・改めて、我ら”ダスト”の採用面接に来てもらって礼を言う」
音羽 奏「私が面接官の音羽だ。 よろしく」
一途 正義「よろしくお願いしますっ!」
  彼女の”ダスト”という言葉に安堵する。
  同時に、やはりここが憧れの”スターダスト”なのかと落胆する気持ちが交差した
音羽 奏「──しかし、たいしたものだな」
音羽 奏「勉強・身体能力・戦闘力ともにオールA ・・・実戦試験にいたっては教師でさえ相手にならなかったと」
一途 正義「英雄として名を残しているヒーローは、 学生の時から様々な伝説を残していました」
一途 正義「自分はそんな英雄たちを目標にしておりました」
音羽 奏「その目標のヒーローとは?」
一途 正義「それは・・・父、一途正忠です」
音羽 奏「────ほう?」
一途 正義「私の目標は父を超えるヒーローになることです!」
音羽 奏「────そうか。 君はあの、一途正忠の息子なのか」
一途 正義「え? は、はい」
  気づいていなかったのか?
  推薦された時点で話題になってそうなもんだが・・・
音羽 奏「・・・・・・ますます面白い」
一途 正義「?」
音羽 奏「ではそんな君に質問しよう。 ──ヒーローに必要なものはなんだ?」
一途 正義「必要なもの・・・」
一途 正義「──────それは、揺るがない心です」
音羽 奏「・・・・・・続けて?」
一途 正義「ヒーローは信念にしたがって行動しなくてはいけません」
一途 正義「その信念は人によって様々ですが、それがヒーローとしての力の源になっているのは、皆同じです」
一途 正義「だからこそ、信念はブレてはいけない。 信念を保つ揺るがない心が大切だと私は考えています」
音羽 奏「では、君の信念はなんだ?」
  彼女の質問に、俺は息を呑んだ。
  おそらくこの答えは重要になる。
  しかし、それを頭で理解していながら、
  俺は考えるより先に口を開いていたのだ。
一途 正義「────『目の前の世界を幸せにする』 それだけです」
  生涯、父が掲げていた、
  その言葉を。
音羽 奏「・・・ふっ、君はよっぽど父君のファンだったのだな」
  何かを察したように笑うと、彼女は立ち上がった。
  『少し待て』
  そう言って部屋を出ると、
  数分後に戻ってきた。
一途 正義「これは?」
音羽 奏「うちの契約書だ。 ドイツ語で書かれているが、まぁよくある雇用のことだから気にするな」
一途 正義「そ、それって・・・!?」
音羽 奏「どうした? うちで働きたいんだろ? ・・・なら気が変わらないうちに早く書け」
一途 正義「あ、ありがとうございます!!」
  俺はそそくさと、指示された場所にサインした。
  それを確認した彼女は、さらにポケットから何かを取り出した
音羽 奏「特注品のスマートウォッチだ。 ──言わば、メンバーの証と言うやつだな」
音羽 奏「今の君には、これを付ける権利がある」
一途 正義「ありがとうございます! 嬉しいです!」
  渡されたそれを、自前の腕時計と交換して付ける
  ガチリと硬い音の後、ピビッ!と何やら起動する音が鳴った
音羽 奏「────これで全て完了だ」
音羽 奏「おめでとう一途正義くん。 改めて、歓迎するよ」
音羽 奏「ようこそ──────」

  我が”ヴィラン組織”、
  『ダストシュート』へ────
  つづく

次のエピソード:第二話「望まぬ初陣」

コメント

  • これは…なんだかしてやられた感がありますね。
    契約書はきちんと読まないと…と言いたいですが、ドイツ語で書かれている時点で既におかしいです。

  • 彼が面接に行った場所の雰囲気(特に年配のおばさんが受付している)から何か違和感を感じました。契約というのはお互いの同意が必要で、ドイツ語で書いてあって本人が理解できない文書にサインを迫るのは完璧におかしいです! 次回の展開楽しみです。

  • ヴィラン側に引き込まれた…?
    話がわからなくならないようにゆっくり読んだのに!
    一体どうなったんだろう…そしてどうなるんだろう…。

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