第4話 初めてのギルド依頼(クエスト)(脚本)
〇西洋風の受付
──再び、アドベントギルド。
イリア「うーん・・・ やっぱり、充分な報酬を考えると「グリズリー」かなぁ?」
イリア「──でも、私だけで勝てるかなぁ?」
壁に張り出されている、多数の張り紙を前に、イリアは考え込んでいた。
しばらくして、イリアが覚悟を決める。
イリア「──よし。とりあえずこの依頼を受けて、勝ち目がなさそうだったら撤退しよう」
イリア「そうなった場合は、今日は野宿かな」
壁から一枚張り紙を破り、それを受付へと持っていく。
イリア「この依頼をお願いします」
受付の女性が依頼書に目を通すと、イリアの顔と依頼書の内容を交互に確認する。
「この依頼を受けるのはアナタお一人ですか?」
イリアは軽くうなずく。
「・・・アナタお一人では少々荷が重いかと」
イリア「やれるだけはやってみようかと・・・」
「どうしてもと言われれば、こちらとしては受理するしかないのですが・・・」
「せめて、剣を扱える方でもいらっしゃればよいのですが」
「誰か、呼びかけてみましょうか?」
イリア「すみません。 他の方の手を借りようにも、今は雇うお金がないんです」
「剣が使える奴がいれば、問題はないんだな?」
イリアの背後から声がかかる。
振り返ると、そこには以龍の姿があった。
イリア「渚さん!?」
「お知り合いの方ですか? でしたら──」
イリア「待ってください」
イリア「・・・すみません、渚さん。 アナタの力を借りようにも、アナタに出せる報酬を用意することが出来ないんです」
以龍 渚「それは俺のせいだろ? 俺に無償でいろいろしてくれたくせに、アンタは俺を無償で使う事には抵抗があるとでも言うのか?」
イリア「ですが、今のアナタは──」
以龍 渚「その依頼、俺と彼女の二人で受けるぜ」
「了解しました。 では、依頼内容の確認をいたします」
「今回の依頼内容は「グリズリー」の討伐です。 詳しい内容はこちらに書かれておりますので、出発前にでも確認をお願いします」
「それでは、ご武運をお祈りしています」
〇山道
──ギルテ山、麓。
以龍 渚「さて。 協力を申し出ておいてなんなんだが、これからなにをどうすればいいんだ?」
イリア「今回の依頼は指定されたテットを討伐するだけなので、特に難しいことはないと思いますよ」
以龍 渚「テット?」
イリア「あ、テットっていうのは、人以外の生き物の総称ですよ」
以龍 渚「そ、そうか。 ──で、そのグリズリーとか言うのはどこにいるんだ?」
イリア「ちょっと待ってくださいね」
そう言うとイリアはギルドでもらった依頼書に目を通す。
イリア「これによるとどうやらこの山のどこかにグリズリーが巣にしている洞穴があるそうです」
イリア「目撃情報から何か所か目星がついているみたいですね。 まずはそれらしい洞穴をあたっていきましょう」
以龍 渚「洞穴か・・・」
イリア「もし洞穴を調べて、その中にグリズリーがいたとしても、洞穴の中での戦闘は避けましょう」
以龍 渚「そうだな。 洞穴の中じゃ戦いにくそうだ」
イリア「一旦、外に誘い出してから戦いましょう」