第2話 禁則事項(脚本)
〇山並み
〇山道
〇西洋の街並み
〇西洋風の受付
──ギルテの街、アドベントギルド。
アドベントギルドに着くと、イリアは彼を受付脇に設置されている端末へと案内した。
端末に、彼の左手の刻印を読み込ませる。
「以龍 渚(イリュウ ナギサ)」様、認証しました。
刻印を読み取った端末が、機械的な声を上げた。
以龍 渚「イリュウ ナギサ? ──それが俺の名前なのか?」
イリア「渚さん、ですか」
以龍 渚「なんか、女の名前みたいだな? ──本当に合っているのか?」
イリア「この機械は嘘なんかつきませんよ」
以龍 渚「──で、こいつでは他に何を調べられるんだ?」
イリア「ちょっと待ってくださいね。 たしか、刻印を受けた場所とかが見られたはず」
イリア「それがわかれば、その場所になにかしらの手掛かりが──」
〇サイバー空間
──禁則事項です。
レベルの低い方にこちらの情報を開示することはできません
〇西洋風の受付
イリア「え? 禁則、事項?」
以龍 渚「ん? どういうことだ?」
イリア「わ、私にもわかりません。 こんな表示が出るなんて、初めてなんです」
イリア「じゃ、じゃあ、これまで受けたアドベント依頼の履歴は──」
イリアが端末を操作するが、やはりまた「禁則事項」と機械音声が返してくる。
イリア「これも見ることができないの?」
以龍 渚「・・・ふぅ。 もういいわ、とりあえず、俺の名前はわかったんだしな」
そういって以龍は端末に読み込ませていた左手の刻印を端末から離した。
そして、以龍はギルドの出入り口に向かって歩き出した。
イリア「ちょ、ちょっと待ってください。 いったい、どこに行くつもりなんですか?」
以龍 渚「さあな。 ──イリアだっけ? アンタには迷惑をかけたな」
以龍 渚「あとはまぁ、何かを思い出すまで適当にうろついてみるさ」
イリア「武器も何も持たずに行かれる気なんですか?」
以龍 渚「あんな場所に丸腰でいたんだ、なんとかなるだろ」
イリア「ダメですっ!! ──待ってくださいね」
そういうとイリアは自分の荷物袋を開けた。
取り出したのは、財布として使っている小さな革袋だ。
イリア「・・・足りるかなぁ」
イリア「──うん。 渚さん、とりあえず武器屋に行きましょう」
以龍 渚「お、おい。 それはアンタの旅の資金なんじゃないのか? いったい、なにを──」
イリア「渚さんは何も心配しなくていいです。 ──さぁ、いきましょう」