エピソード1.叶香と魔法のクッキー(脚本)
〇綺麗なキッチン
ヒック、ヒック・・・・・・。
おやおや叶香。
またお父さん達が恋しくて泣いているのかい?
だって・・・・・・。
私の可愛い泣き虫の叶香。
今日はあなたの為に特別にクッキーを焼いてあげたの。
これを食べながら願い事をすると、
あら不思議、なんでも願い事を叶えてくれるのよ。
おばあちゃん、ホント?
本当だとも。
だっておばあちゃんは魔法使いだからね。
試しに何か願い事をしながら、
クッキーを食べてごらん?
・・・・・・うん。
私のお願い事は・・・・・・。
〇おしゃれなキッチン
チーン
野上 叶香「やったー!! 15回目の挑戦で遂に完成したわ!!」
野上 叶香「神様、仏様、クッキー様・・・・・・。 どうか累君と両思いになれますように・・・・・・」
サクッ
〇火山の噴火
〇おしゃれなキッチン
野上 叶香「に・・・・・・」
野上 叶香「にっがーーーーい!!」
ばたんきゅー。
〇おしゃれなキッチン
お父さん「ただいまー」
お父さん「おっ!旨そうなクッキーだな!」
・・・・・・。
〇中庭
如月 早苗「累〜❤︎ 今日のお弁当は累の大好きな卵焼き入れてきたんだよ〜❤︎」
伊集院 累「HAHAHA!!ありがとう!! さなたんの卵焼きはとっても美味しいからね!!早速いただくよ!!」
伊集院 累「はむっ!!」
〇地球
〇中庭
伊集院 累「Delicious!! やっぱり、さなたんの料理最高だ!!」
如月 早苗「んもう〜❤︎ 累ってば色んな意味で大袈裟なんだから〜❤︎」
如月 早苗「でも、喜んでもらえて嬉しい❤︎ いっぱい食べてね❤︎」
〇教室
十六夜 節那「はぁ〜。またやってるよあの2人。 毎日イチャついてまぁ、よく飽きないねぇ」
野上 叶香「はぁ・・・・・・。卵焼きを食べる累くん、やっぱりかっこいいなぁ・・・・・・」
十六夜 節那「その隣にいる学校一の美少女が、伊集院のほっぺについた食べカスをハンカチで拭いている・・・・・・♪」
野上 叶香「節那・・・・・・。 現実を突き付けないで・・・・・・」
野上 叶香「でも累君には彼女がいると分かっていても、あの眩しい笑顔を見ると思わず胸がときめいちゃう自分もいるよ・・・・・・」
十六夜 節那「お前、伊集院の顔が好きなの?」
野上 叶香「ちっ、違うもん!! 優しいところとか、面白いところとか、全部好きだもん!!」
十六夜 節那「お前そう言い切れる程、伊集院と仲良く無いだろ」
野上 叶香「そ、そうだけど・・・・・・。 でも一年の時クラス一緒だったもん・・・・・・」
十六夜 節那「伊集院と如月が付き合い始めたのは二年の春からだぜ?」
野上 叶香「うぅ・・・・・・。勉強も出来て、運動も出来て、おまけに美人の如月さんじゃあ、勝てるところ何にもないよ・・・・・・」
十六夜 節那「付き合いの長さだけなら勝てるじゃん」
野上 叶香「長さだけじゃどうにもならないもん」
十六夜 節那「じゃあ諦めろよ」
野上 叶香「・・・・・・それもヤダ」
十六夜 節那「はぁ・・・・・・」
十六夜 節那「お前ってさ」
ほんっと、眠りの森のお姫様だよな。
・・・・・・
おーい、叶香こんなところで寝てると風邪引くぞー。
〇綺麗なダイニング
ちゅんちゅん♪
ちゅちゅんがちゅん♪
野上 叶香「うぅん」
十六夜 節那「お前何でソファの上で寝てるわけ?」
野上 叶香「あれ、なんで節那が家にいるの?」
十六夜 節那「お前がソファーの上で寝ているのが窓の外から見えたんだよ」
野上 叶香「え?」
野上 叶香「そんな!!私キッチンでクッキーを作って、食べて、不味くて・・・・・・」
野上 叶香「・・・・・・そこから記憶がない」
ピンポーン
野上 叶香「ひゃっ!? なになに?!」
十六夜 節那「俺の腕時計、見る?」
野上 叶香「えぇっ!?もうこんな時間!? お弁当作ってる暇ないよ!!」
十六夜 節那「制服着る位しか時間無いけどな」
ピンポンパンポン♪
ポンパンピン♪
野上 叶香「あわわ、待ってくださーい!! 今出まーす!!」
〇シックな玄関
野上 叶香「はーい!今開けまーす!」
〇綺麗な一戸建て
伊集院 累「おはよう!マイスイートハニー!」
野上 叶香「えっ」
野上 叶香「どじぇえええええええ!?!?」
〇華やかな寮
ざわざわ
野上 叶香(さっきから皆の視線が痛い・・・・・・)
伊集院 累「マイスイートハニー」
チュッ
野上 叶香「わひゃ!?」
伊集院 累「僕だけを見て?」
野上 叶香「う、うん・・・・・・」
野上 叶香(なんだろう。あんなに憧れて恋をしていた相手なのに・・・・・・)
野上 叶香(全然嬉しくない。 ・・・・・・なんでだろう?)
如月 早苗「累、おはよう」
伊集院 累「おはよう。如月くん。 何か僕に用でもあるのかい?」
如月 早苗「用って・・・・・・。 今日は学校へ一緒に行こうって約束したじゃない」
如月 早苗「なかなか迎えに来てくれないから、 どうしたのかなーって思って・・・・・・」
伊集院 累「僕はそんな約束をした覚えはない」
如月 早苗「えっ?」
伊集院 累「用事がそれだけかな? 悪いが僕は今マイスイートハニーと一緒に甘いひと時を過ごしているんだ。邪魔をしないでもらいたいな」
如月 早苗「・・・・・・!!」
如月 早苗「・・・・・・」
如月 早苗「恋人同士の時間を邪魔してごめんね」
如月 早苗「・・・・・・さようなら」
野上 叶香「待って・・・・・・!!」
十六夜 節那「・・・・・・これで満足か?」
野上 叶香「・・・・・・」
野上 叶香(おばあちゃんが教えてくれた願いを叶えてくれるクッキーの力は確かに本物だった)
野上 叶香(そのおかげで、私は累くんと両思いになった)
野上 叶香(でも・・・・・・)
誰かを悲しませてまで、
叶えたい願いだったのかな?
〇おしゃれなキッチン
でも徹夜をしてまでクッキーを作り続けた私の願い事を叶えたいという気持ちにもウソは付けない。
〇華やかな寮
それじゃあ私は一体何がしたかったのかな?
何がしたかったのか・・・・・・。
それはもう、私の中で答えは出ている。
あとは、その気持ちを、
ちゃんと言葉にして、行動して、伝えなきゃ。
〇華やかな寮
野上 叶香「伊集院くん。如月さんを泣かせちゃダメだよ」
伊集院 累「そんなこと言われても、向こうが勝手に泣いただけじゃないか」
野上 叶香「ふーん。そんな冷たい事を言うんだ?」
野上 叶香「私はそんな冷たい事を言う男の子とは付き合えないなぁ?」
伊集院 累「そんな!!」
野上 叶香「伊集院くんと如月さんがちゃんと仲直りをするまで、私、口を聞いてあげないから」
伊集院 累「それは困る!!急いで謝ってくるよ!!」
野上 叶香「・・・・・・」
十六夜 節那「いいの、それで?」
野上 叶香「うん、なんか私思ったよりも伊集院くんの事好きじゃなかったみたい」
十六夜 節那「うん。そうだろうなぁとは思ってたよ」
野上 叶香「だけど、あの二人これからどうなるんだろう?」
十六夜 節那「まぁ、あの二人に愛の力や絆があれば、うまくいくんじゃない?」
野上 叶香「うーん。そうだといいけど・・・・・・」
野上 叶香(願いを叶えるクッキーに効果切れってあるのかな?)
〇可愛い部屋
クッキーのレシピが書いてあったノートにはまだ続きが書いてあったから、もしかしたら何かヒントがあるかもしれない
〇中庭
あの二人の関係を元に戻す為にも、
今日帰ったらノートの中身を確認しなきゃ!!
〇華やかな寮
野上 叶香「ねぇ、節那」
十六夜 節那「どした?」
野上 叶香「願い事は自分の力で叶えるのが一番良いのかもしれないね」
十六夜 節那「お前急にどうした? 当たり前の事を突然口にして・・・・・・」
野上 叶香「わ、私はこういう事言っちゃダメなの!?」
十六夜 節那「俺さ、何が何だかまだ状況が読み込めていないんだけど・・・・・・」
十六夜 節那「身の丈にあった願い事を積み重ねていけば、いつかは大きな願い事も叶えていけるんじゃね?」
野上 叶香「そうだね」
野上 叶香「私、小さな事からコツコツと地道に頑張っていくね♪」
十六夜 節那「お前、昨日なんか悪いもんでも食ったか?」
野上 叶香「あっ!!それで思い出した!! あのね、昨日ね・・・・・・」
〇華やかな寮
野上 叶香「あれ、お母さんから電話だ」
十六夜 節那「お前またなんか忘れもんしたんだろ?」
野上 叶香「今日は伊集院くんの事もあったから、バタバタしてたの!!」
野上 叶香「もしもし お母さん、どうしたの?」
たっ、たっ、たっ、大変よ、叶香!!
野上 叶香「お母さん落ち着いて!! なにがあったの!?」
叶香、落ち着いてよく聞いてね!!
野上 叶香「うっ、うん? 一体どうしたの?」
お、お父さんが・・・・・・。
交通事故に遭って、意識不明の重体で病院に運ばれたの!!
不思議なストーリーで夢中になって読んでました!ラストもすごく気になります!
憧れの彼と両想いに慣れそうになったのは確かに魔法の力もあったのかもしれないけど、叶香ちゃんの長年の想いが少しは作用したのかと信じたいですね。願いって想いつづければいつかは叶うものだと、私は魔法の話とは別にそこをフォーカスしたいです。お父さんは、クッキーを食べたことが原因なのかそうでないのか、とても気になります!
願いが叶ったことで、叶香さんが自身の思いなどを見つめ直す機会になったのですね。そのこと自体が魔法のクッキーより貴い気がします。綺麗にまとまった第一話と思ったら、気になるラストが、、、次話も楽しみです。