彼が姫プで私が騎士で

雛田

姫と課金とホストクラブ(脚本)

彼が姫プで私が騎士で

雛田

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〇黒背景
  ときどき、思い出す。

〇城門の下
白百合アリス「久しぶりのギルド戦だけど、みなさん大丈夫ですか?」
???「どうだろう、相手の動き次第かな」
???「メンバーもそこそこ揃ってるし、大丈夫だと思う。それで本日の作戦は?」
白百合アリス「・・・・・・」
白百合アリス「・・・・・・」
???「アリスちゃん? 申込みから3日くらいあったよね? 考えてなかったの?」
???「まさか、このギルマス・・・無策だと・・・?」
白百合アリス「ふぉ・・・」
???「ふぉ?」
???「ふぉ?」
白百合アリス「・・・フォーメーション・デルタで!!」
???「・・・・・・」
???「・・・・・・・・・」
???「いや、フォーメーション・デルタとか聞いたことないんだが?」
  <SYSTEM>間もなくギルド戦が開幕します
白百合アリス「まあ説明してないですからね」
???「考えるな感じろって事、なるほどね」
???「アリスさんの無茶振りは今に始まったことではない・・・」
白百合アリス「まあ文句についてはIvyくんに言ってください。作戦を練る為の3日間、ダンジョンに連れ回してくれたアイちゃんが悪いのです」
Ivy「いや、すでにいい感じの作戦を考えていると思ってました」
???「Ivyくんやりますねぇ、アリスちゃんとデートですかぁ???」
Ivy「デートじゃないし、てかアリスはどさくさに紛れてアイちゃんって呼ぶな」
???「ギルド戦前に惚気けるな惚気けるな」
???「そのダンジョン周回、なんか収穫あったんですか?」
白百合アリス「いえ、特にないですが・・・アイちゃんが無様に床を舐める姿を複数回見れたので満足です」
Ivy「意図的にお前がヒール切らしたせいだろうが」
???「アリス、MPKはほどほどにしないとBANされるわよ?」
白百合アリス「確かに・・・ヒールサボリ以外でMPKする方法を考えなくてはいけませんね」
???「こいつ・・・」
  <SYSTEM>30秒後にギルド戦が開幕します
???「結局作戦なにも考えてないじゃん・・・」
???「まあまあ、いつもどおりってことよね?」
白百合アリス「各々フィーリングでお願いします。お互いの動きは皆さんわかっていると思うので。変に指示するより絶対マシでしょう」
  <SYSTEM>10秒後にギルド戦が開幕します
白百合アリス「それでは【ロマネスク】の皆さん、準備はよろしいですか?」
???「いつでもいけるわよ、肉壁はまかせなさい」
???「はいはい、僕はいつもどおりやりますよ」
???「狙撃は任せてねぇ♪」
Ivy「俺は遊撃かな・・・」
???「ったく・・・仕方ないやつだ・・・」
白百合アリス「では────」
白百合アリス「勝ちを獲りにゆきましょう────!!」

〇黒背景
  白百合アリス率いるギルド【ロマネスク】
  それは彼女と共に、ひとつの伝説となっている。
  前代未聞のギルド戦100連勝。
  これを成し遂げたギルドは、未だに存在しない。

〇本棚のある部屋
  ネトゲ廃人の朝は早い。
岸田 彩音「清々しい土曜日の朝だぜ・・・」
  まず向かうのは洗面所でも、トイレでもない。パソコンの前だ。
岸田 彩音「よしよし・・・」
  寝る前にセットした個人商店の売上を確認。今日の売上は10M。開始して数日でこれだけ稼げれば上々だ。
  オンラインゲームではMやkを単位として使用することがあるよ!
  1Mは100万、1kは1000のことを示すからね!
  つまり、10Mは1000万ってことです。またひとつ賢くなったね、テストに出るよ。
岸田 彩音「さて、補充したし寝るか」
  商品が売れて空いてしまった商店スロットにアイテムを補充し、ベッドへ戻る。
  姫川は昼過ぎにログインとか昨日言ってたもんな。今が9時ならあと4時間寝れるな。

〇ヨーロッパの街並み
マリンたそ「ふぅん、それで今何時かな? 電話もガン無視したよね?」
サイオン「16時っすね!」
  二度寝から目覚めるとすでに16時。
  姫川こと、マリンたその「昼過ぎには遊んでよねっ」というチラッチラッを完全スルーした形になってしまった。
マリンたそ「昨晩は何時までやってたの?」
サイオン「5時っすね」
マリンたそ「・・・健康を犠牲にされると急に罪悪感が・・・」
サイオン「いきなりチキらないでください・・・」
マリンたそ「月曜日に半休とかとっちゃだめだよ?」
サイオン「・・・・・・気圧によるかな」
  姫川とこのゲームで遊び始めてはや数日。
  姫と囲い、というアホな関係を半ば忘れて普通に遊んでいる部分もある。
  しかしまあ・・・

〇本棚のある部屋
岸田 彩音「こいつ、壊滅的に姫に向いてねえんだよなぁ」
  姫川、いいやマリンたそはこのゲームが上手い。
  ちょっと下手くそなほうが姫らしいと思うんだよね。守ってあげたい、的な。
  どんなクソ盾野郎がパーティーに入ってきたとしても華麗にカバーする状況把握能力
  パーティーメンバーは何が何でも床を舐めさせない底意地
  最低限の動きでボスの攻撃を避けるギミック慣れ
  そんな奴に姫プのさしすせそなんて言われてみろ、煽られてるようにしか聞こえないぞ・・・

〇ヨーロッパの街並み
マリンたそ「そういえばもうこんなにレベル上げてすごいよね!さすがだよ!」
サイオン「・・・・・・まあ、動画とかたくさん見たんで」
マリンたそ「そうなんだ~! 動画見ただけでそんなに動けるのってセンスあるよね!」
サイオン「あと・・・」

〇白

〇幻想3
  ここは──光の泉・・・・・・
  さあ、ルミナスポイント(課金)を捧げ、ほしいものを選ぶのです──────
サイオン「経験値1億取得ポーション10個じゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
  10億。
  それはこの「ドラゴンファンタジア」でレベル1がカンストまでに必要とする経験値の数である。
  かくして岸田彩音はリアルマネー5000円を捧げ、一晩にしてレベルMAXまで駆け上がる準備をした。

〇白

〇ヨーロッパの街並み
  というのが開始して2日目のこと。
  即カンストしてもよかったのだけど、リハビリのためにも経験値ポーションは1日1本と決めている。来週にはカンスト予定だ。
サイオン「さ、最近はレベルを上げやすいようになってるんだよ!」
マリンたそ「知らなかった!!」
サイオン「・・・・・・」
サイオン「・・・煽ってる?」
マリンたそ「今の発言で煽ってるって感じるのは、生きるの大変な性格してるなぁって思うの♪」
サイオン「遠回しに社会不適合者って言うのやめろ!」
マリンたそ「ふえぇトゲトゲ言葉やめてください><」
サイオン「はぁ・・・」
  本格的に煽り始めたから、そろそろ話題転換しないといけないな。
サイオン「それで今日はどこのダンジョンだい? 悪魔の森ダンジョン?それともドワーフの谷ダンジョン?」
マリンたそ「なんでそうダンジョンばっかり、まるでマリンたそが戦闘狂みたいじゃん・・・」
サイオン「ちがうの?」
マリンたそ「マリンたそはファッションとSS勢だよ?」
サイオン「・・・毎度ログインするたび同じ服着てるのに?」
マリンたそ「だってこれが一番ヒール力高いんだもん」
  ファッション勢の発言とは思えねえな・・・
  とはいえ、それ以上に謎のパワーが働いているような気がする。
  が、このことを突き詰めていくと私も姫川も宇宙猫になりかねないのでスルーしておこう。
サイオン「・・・はいはい、それでどこに行くんですかお姫様」
マリンたそ「ホストクラブ~~~!!!」
サイオン「・・・・・・・・・・・・」
サイオン「俺という男がいながら・・・お前・・・」
マリンたそ「いや、二重で勘違いしてるもらっても困るんだけど?」
マリンたそ「単純に古いお友達がホストクラブを始めたからご挨拶するだけだよ?」
サイオン「フレンドがいたのか・・・ 自分とばっかり遊んでるもんでぼっちなんだと・・・」
マリンたそ「・・・遊んであげてるんだよ?」
  「ほら、遊んでやってんだぞ岸田ァ」と画面の前でニヤニヤする姫川の顔が脳裏に浮かんだ。
  うーん、ムカつくな・・・
  しかし、機嫌を損ねて例の件を会社に漏らされるのは避けたい。
サイオン「と、友達のいない私めと遊んでいただき感謝感激雨あられ・・・」
  でもまあ、ホストクラブを経営とは。
  このゲームにはカフェや個人店を経営できるシステムがある。言うなればお店屋さんごっこ。
  戦いをするよりもコミュニケーションに重きを置く。それもまたゲームの楽しみ方だろう。
サイオン「どうせならキャバクラのがよかったなぁ・・・ ハーレム写真とってみたかった・・・」
マリンたそ「・・・・・・」

〇ホストクラブ
サイオン「・・・・・・ここが、ホストクラブ・・・」
  豪華絢爛な内装に「いったい何Mかけたのだろうか」と下世話なことを考えてしまう。
マリンたそ「本日はプレオープンらしいから好きなだけ遊んでってオーナーが言ってたよ~」
サイオン「ほう、そのオーナーがフレンドなのか。どうりでVIP対応なわけだ」
マリンたそ「えへへ~! すぐ来ると思うから、紹介するねっ♪」
  マリンたそのフレンドか。
  こんなにもてなしてくれるということは、相当仲がいいのだろう。
  その存在が気になってしまった。
  男キャラだったらその人に囲いを依頼しているだろうし・・・
  そもそも────
  ホストクラブを運営するような人がフレンドにいるのに、どうして私が巻き込まれているのだろうか?
サイオン「あのさ、マリンたそ────」
マリンたそ「ん~?」
  アタシよ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!
マリンたそ「あっ」
サイオン「うんんん!?」
???「マリンたそ久しぶり~~~~!」
???「最近パーティー誘っても来てくれないから嫌われちゃったと思った~~~~!」
サイオン「・・・・・・・・・・・・」
マリンたそ「そんなワケないでしょ、もう!」
  そう。姫川は同僚に姫プの囲いをさせるような奴だぞ・・・・・・
  ならば導かれる答えは一つ。
サイオン「同類だああああああああああああああああああああああああ」

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