亡き怪人とパヴァーヌを

明里灯

公園に怪人現る!(脚本)

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〇住宅街の公園
むっくん「ふんが! ふんが!」
ハチ「おまえは!」
ハチ「なにものだ!」
むっくん「ふんが!」
ハチ「ふむ」
ハチ「なにもわからん!」
むっくん「ふんが!」
むっくん「く〜ぅん」
ハチ「あんずるな」
ハチ「わたしはハチ、6さいだ!」
むっくん「むぅ〜くぅん」
ハチ「ほう、むっくんか」
ハチ「しかたがないやつだ」
ハチ「あそびたいのだろう?」
むっくん「ふんが!」
ハチ「よかろー!」

〇住宅街の公園
むっくん「ふんが!」
ハチ「あそんだな!」
ハチ「しかし、むっくんはきようだな!」
ハチ「すなばでそんなのつくるとは!」
ハチ「なかなかゴクアクだ!」
むっくん「げへへへ」
少女「何あれ・・・」
少女「目が合った・・・」
少女「怖い!」
ハチ「こわがっていたな・・・」
ハチ「おちこむな むっくんはこわくない!」
ハチ「わたしがほしょーする!」

〇住宅街の公園
ハチ「そろそろかえらないとだな」
ヒーロー「怪人が出たと聞いた お前か」
ヒーロー「その少女から離れろ!」
ハチ「むっくんはこわくない!」
ヒーロー「極悪そうな銃まで持っている 見るからに人が主食だな」
ヒーロー「汚い化け物め・・・」
ヒーロー「嬢ちゃん すぐ助けるからね」
むっくん「あぎゃ!」
ハチ「なにするんだ!」
ヒーロー「ふん 見た目の割に弱いな」
ヒーロー「足を折って動けなくしてやる」
ハチ「やめろぉぉぉぉ!」
ヒーロー「しまった! 女の子が前に!」
ヒーロー「怪人が守った・・・だと?」
ハチ「むっくん」
ハチ「おじさん、やめて!」
ハチ「このこはわるいことしてないの」
ヒーロー「そうか・・・分かった」
ヒーロー「お兄さんが悪かったよ」
ハチ「わかってくれたの?」
ヒーロー「あぁ」
ハチ「よかった!」
ヒーロー「さ、だからこっちにおいで」
ハチ「うん!」
ヒーロー「・・・と見せかけて必殺キック!」
むっくん「あがぁ!」
ヒーロー「よし、ポッキリ折った」
ヒーロー「これで逃げられないぞ」
ハチ「うそつき!」
ヒーロー「君にはまだ分からないだろうが 怪人は悪だ」
ヒーロー「君たちを守る為なら 僕は鬼にでもなるよ」

〇川に架かる橋
ハチ「むっくんが つれていかれてる」
ハチ「むっくんはわたしをたすけてくれた」
ハチ「こんどはわたしがたすけなきゃ!」

〇研究所の中枢
博士「おう、お前か」
ヒーロー「見るからに極悪な怪人だ 少女を襲っていた」
博士「ふむ、実験材料が欲しかったことろだ」
博士「殺さず生かさずで たっぷり役立ってもらうぞ」
むっくん「くぅん」
博士「ただ、その前に話を聞こう」
博士「翻訳機能オン!」
むっくん「話を聞いてくれるのか?」
博士「無論、対話できるならする」
博士「した上で目的を知り、 必要とあれば殺す」
ヒーロー「博士、話を聞く必要はありません!」
ヒーロー「大概が話した上で殺しました 今回も話すだけ無駄です」
むっくん「私は実験に使われてもいい」
むっくん「でも、ひとつだけ約束してくれ」
博士「ふむ、言ってみろ」
むっくん「あの少女だが・・・」

〇研究施設の廊下
ハチ「くらいしこわい・・・」
ハチ「けど、むっくんをたすけなきゃ」
ハチ「これは・・・?」
ハチ「ぶきになるかもしれない」
ハチ「むっくんはわたしが まもるんだ!」

〇研究所の中枢
ハチ「むっくんをかえせ!」
むっくん「がぁあああ!」
ヒーロー「ぐぐ・・・離れろ!」
むっくん「ふがぁあああ!!」
ヒーロー「ぐあ!」
博士「急に暴れよって」
博士「嬢ちゃん、逃げろ!」
ハチ「え?」
むっくん「ふがぁあああっ!」
ヒーロー「危ない!」
ヒーロー「ぐあっ!」
ハチ「むっくん! なんでこんなことするの!?」
ヒーロー「怪人と人間は分かり合えない」
ヒーロー「ただ、それだけだ」
ヒーロー「必殺五月雨キック!」
むっくん「ぐあぁあああああああ!!」
ハチ「むっくん!!」
ヒーロー「まずい暴走している!」
ヒーロー「危ない!!」
ハチ「やめてぇえええええ!!!」
むっくん「ぐぎゃぁあああああ!!!!」
ハチ「むっくぅううん!!!」
ヒーロー「狂暴な怪人だった 君は悪くない・・・」
ヒーロー「むしろよくやったよ」
ハチ「うわぁあああああああああん!!」

〇明るいリビング
  あの事件から20年が経った
ハチ(もう忘れたいのに たまに夢に見ちゃうんだよなぁ)
ハチ「いけない 気持ちを切り替えなきゃ」
ハチ「何たって今日は夢が叶う日だから」
ハチ「試験も全部パスしたし、 ようやく宇宙飛行士になれるのね!」
ハチ「宅配便かな? 何か買ったっけな?」

〇シックな玄関
ハチ「あなたは・・・」
ヒーロー「久しぶりだな」
ヒーロー「覚えているか?」
ハチ「私が6歳のときに助けてくれたヒーロー」
ヒーロー「そうだ」
ヒーロー「今日は君に 伝えないといけないことがある」
ハチ「何でしょうか?」
ヒーロー「君がむっくんと呼んでいた怪人・・・」
ハチ「彼の話は止めて!」
ハチ「彼は私を襲った・・・」
ハチ「怪人はやっぱり人間の敵なのよ」
ハチ「それなのに私・・・ まだ小さかったから・・・」
ヒーロー「・・・」
ヒーロー「違うんだ」
ハチ「?」
ヒーロー「君には真実を話さなければならない」
ハチ「真実?」

〇研究所の中枢
むっくん「あの少女がこちらに向かっている」
ヒーロー「何だって!?」
むっくん「私が酷い目にあうと知れば あの子は悲しむだろう・・・」
むっくん「だから、あの子を私が襲うふりをする」
むっくん「こんな怪人どうなってもいいと 思ってもらいたいんだ」
むっくん「だから、あのこの目の前で、 私をコテンパンにやっつけてくれ」
むっくん「何なら殺してくれても構わない」
むっくん「そうすれば、あの子も私のことは 忘れてくれるだろう」
ヒーロー「・・・」
むっくん「私は人間と仲良くする親善大使として この地に舞い降りた異星人」
むっくん「人間と仲良くなれると分かっただけ 収穫だ」
むっくん「あとは煮るなり焼くなりするがいいさ」

〇シックな玄関
ハチ「そ・・・んな・・・」
ハチ「彼は無事だったの? 星にはちゃんと帰れたの?」
ヒーロー「あぁ」
ヒーロー「悪意がないと分かったので帰した」
ハチ「あなたは何故、 怪人をあそこまで憎んでいたの?」
ヒーロー「・・・」
ヒーロー「これが私のマスクの下の姿だ」
ハチ「!!」
ヒーロー「怪人に家族を奪われ、 生き残った私も全身に火傷を負った」
ヒーロー「怪人は憎むべき存在」
ヒーロー「そう思っていたし、 今もその気持ちは変わらない」
ヒーロー「でも、私は送り出していた」
ハチ「・・・」
ハチ「あなたは本当はお人好しですね」
ハチ「わざわざ教えに来てくれた」
ハチ「むっくんは悪者じゃないと 伝えたかったんですよね?」
ヒーロー「違うよ・・・」
ヒーロー「あいつを庇いたかったんじゃない」
ヒーロー「真実を隠してしまったモヤモヤを 晴らしたかっただけだ」
ヒーロー「まぁ、折れた足をひきずって 演技したあいつは・・・」
ヒーロー「なかなかの男前だったというのは 認めざるを得ないがな」
ハチ「ふふ、言い訳が下手な人」
ヒーロー「それに君も本当は分かっていたんだろう」
ヒーロー「彼が悪者ではないって」
ハチ「そんなことはないわ」
ヒーロー「君は自分の目で確かめたかった 彼が悪者なのかどうか」
ヒーロー「だから宇宙飛行士になった」
ヒーロー「違うかい?」
ハチ「・・・」
ハチ「自分でも分からない」
ハチ「でも、そうだといいなぁ」
ヒーロー「それじゃ、私は帰るよ」
ハチ「むっくん・・・」
ハチ「ありがとう」

〇空
  そしてある日
  私は旅立った
  どこにかって?

〇雲の上
  決まってるじゃない

〇宇宙空間
  この日をずっと夢見ていたんだ

〇地球
  あの日出会った友人に

〇水中
  また会いたいって

〇海辺
  そこはまるで地球のように

〇美しい草原
  青くて美しかった

〇大樹の下
  おしまい

コメント

  • 言葉が不要な優しいラスト、心に響きました。
    ヒーローも嫌な奴なだけで終わらなかったのは、とても良かったです^^
    もしむっくんがハチちゃんと会わなかったら、地球人に対しどういう判断が下されていたのか…色々と想像も膨らみます!

  • 素敵なお話でした...終盤の演出、流石です!

  • 優しい怪人と少女の物語としても読めますし、姿かたちや言葉が通じないだけで不幸を呼んでしまう世の中の悲哀をも感じます。

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