エピソード8-多色の刻-(脚本)
〇宮殿の門
とある秘術で巨万の富を築いた明石家には
何人もの使用人がいるらしい。
〇屋敷の門
勿論、全員にはまだ会っていない。
だけど、私は3人のメイドさんに出会った。
エマ「わたくしは明石家使用人の仙代永魔(せんだいえま)と申します」
先代の専属使用人で、現在のメイド頭だというエマさん。
〇貴族の部屋
リエ「黒野様、使用人の新野リエです。ドレスをお持ちしました」
私の世話係で、話し相手になってくれるというリエさん。
〇貴族の部屋
マリ「私は柘植真理(つげまり)。エマMaid頭に命じられてやってきた真理を告げる者です」
そして、この上なく正確な情報を告げるというマリさん。
黒野すみれ「確か、エマさんの話だと、マリ・・・・・・さんは警察の捜査記録や」
黒野すみれ「明石家の人達の情報を教えてくれるんですよね」
マリ「ああ、マリとCall meしてくだされば良いですよ。シンリでも、サナリでも、」
マリ「マサミチでもLieかTruthか問われないことはどちらでも良いのです」
黒野すみれ「はぁ・・・・・・」
何故、彼女らは少し独特なのだろう、と思うと、
私は彼女をマリさんと呼ぶことにして、話を戻した。
マリ「私としたことが・・・・・・ええ、貴方が望むInformetionは全て」
マリ「ただ、あらかたはAlreadyですが・・・・・・」
マリさんはそう言うと、
数え切れないくらい、沢山の封筒をどこからともなく
取り出して、ベッドサイドへ置いていった。
黒野すみれ「すみません、すみません!! マリさん!!」
マリ「はい、黒野様。What's wrong?」
黒野すみれ「一体、それはいくつあるんですか?」
私はベッドサイドに山積みになった封筒の束に
顔を青くなり、目の前が真っ白になりそうになる。
マリ「そうですね。Infinitelyと申したいですが、貴方が必要だと思うものに限っています」
黒野すみれ「私が必要だと思う?」
マリ「ええ、この世にはLieが無数にあります。しかし、Truthもまた無数にあるのですよ」
マリ「少しでもViewが違えば、Senceが違えば、Somethingが違えば」
マリ「TruthはTruthではなくなることもあるのです」
マリ「そして、それらは貴方がThinkし、決定しなければならぬこと」
〇魔法陣2
マリ「どうかそれだけはDon't forgetしてください」
〇貴族の部屋
マリさんはそう告げると、この部屋に来た時と同じように
不敵な笑みを浮かべて、部屋を去って行った。
黒野すみれ「はぁ、普通の人間には荷が重過ぎない?」
黒野すみれ「しかも、何度も言うけど、ミステリーは苦手なんだよ!!」
ただ、やらないと何も変わらないのだろうし、
何も終わらないのだろう。
私はとりあえず、目の前の封筒のタイトルを確認すると、
優先度の高いと思われるものや気になったもの、
読めそうなものから読んでいった。
黒野すみれ「(現在の明石一族について・1)」
黒野すみれ「(現在の明石家専属使用人について・1・・・・・・)」
〇貴族の部屋
黒野すみれ「Zzz・・・・・・はっ!!」
〇西洋風のバスルーム
〇貴族の部屋
黒野すみれ「(明石家の秘術について・1・・・・・・)」
黒野すみれ「(現在の明石家継承順位・・・・・・あ、これは手がかりになるかも)」
私は眠気覚ましも兼ねて入浴し、再び、
封筒を開け、中に入ってある情報に目を通していくと、
そう印字された封筒を見つけた。
思えば、春刻を消したとしても、自分以外の別の誰かに
優先的な継承権があれば、いつまで経っても、
春刻を狙っている犯人は明石家の当主にはなれない筈だ。
黒野すみれ「(まぁ、あくまで明石家の当主になりたい、秘術を自分のものにしたい)」
黒野すみれ「(そういう目的だった場合は、だけど・・・・・・)」
黒野すみれ「(そう、仮に春刻を消したい理由がムカつくからとかでも理由になるかも知れない)」
黒野すみれ「(そんな理由で、人を? と言うこともあるが、ありえないことではないだろう)」
黒野すみれ「(あとは第2継承者を貶める為とかもあるか・・・・・・)」
黒野すみれ「(春刻の専属使用人の秋川さん、春刻までもがいなくなり、問題がなければ、)」
黒野すみれ「(継承は春刻じゃなくて、第2継承者が、ということになる)」
黒野すみれ「(ただ、第2継承者は限りなく怪しまれるし、場合によっては第3継承者以降の)」
黒野すみれ「(継承者へ継承権を渡さなければいけなくなってしまうかも)」
〇ビスケット
高級クラブNO.1ホステス殺人事件
〇血まみれの部屋
警官「えーと、皆さんに集まってもらったのは他でもありません」
「先日、No.1ホステスであった彼女を刺した犯人が分かったからです」
「ざわざわざわざわ」
警官「それは貴方ですよ」
警官「ついこないだまでNO.2だったね!」
警官「貴方はNO.1の彼女を消して、自分がNO.1になりたかったのでしょう」
警官「そして、貴方はNO.1の座を手に入れた」
警官「貴方以外に彼女がいなくなったことで、NO.1になれる人間はいません」
ホステス2「そんな、彼女が刺されたのは強盗に見つかったからとか、男に逆上されて刺されたとか」
ホステス2「他にも理由があるかも知れないのに!! しかも、あの人、NO.4の客とかとってたのよ!!」
ホステス2「それなのに、よく調べもしないで、チャンチャラおかしいわね」
警官「話は署の方でお聞きします。ご同行願います」
ホステス4「(クスっ・・・・・・間抜けな探偵さん。バイバイ〜)」
ホステス3「ねぇ、本当にあの警官が言ってたように彼女が刺したのかな?」
ホステス4「さぁ、私には分からないなぁ〜」
ホステス4「(あとはこのNO.3にもいなくなってもらいましょうか?)」
〇血しぶき
グサっ!!
ホステス3「え・・・・・・?」
〇ビスケット
高級クラブNO.1ホステス殺人事件 完
〇貴族の部屋
黒野すみれ「(に近いこともあるかも知れない)」
私はあくまで参考に見るだけだと心に誓うと、
封筒の中にある情報を目で追っていった。
黒野すみれ「えーと、当主・・・・・・つまり、明石春刻が指名がしなかった場合で、当主になって」
黒野すみれ「年月があまり経過していなかった場合、先代の指名した継承権の順位が適応される」
黒野すみれ「(先代っていうのは春刻のお母さん・・・・・・だよね)」
黒野すみれ「(まぁ、確かに、春刻が90歳くらいで、子どもや孫がいなくて〜とかだったら、)」
黒野すみれ「(お兄さんは90歳以上だし、弟とか小さいいとことかでも70代80代だよね)」
〇風流な庭園
未来の明石春刻?「僕は・・・・・・もう隠居する。青刻くん、僕には子どももいないし、あとは頼む」
未来の明石青刻?「春刻兄さん・・・・・・僕だってもう88歳なんですよ」
未来の明石青刻?「それに、僕の跡を継げる人もいないし」
〇貴族の部屋
黒野すみれ「・・・・・・。まぁ、それは冗談としても、朝刻さんか東刻さんの子とか孫とか」
黒野すみれ「それ以外で秘術ができる人とか継ぐことができそうな人が継ぐよね」
マリさんからもらった別の情報に書いてあったことだが、
どうやら、明石家の当主は必ずしも先代の実子である
必要はないらしい。
黒野すみれ「(秘術に対する適性がなければ、確かに、明石家の当主は務まらない)」
黒野すみれ「(だから、実子が適性に恵まれなかった場合は適性がある、分家筋の子を養子にして、)」
黒野すみれ「(その子に第1継承権をあげることもありえるらしい・・・・・・)」
黒野すみれ「(まぁ、分家はどんどんなくなっていってるだろうし、思う以上に深刻な問題なのかも)」
黒野すみれ「・・・・・・。あ、まだ続きがある」
黒野すみれ「現段階では以下の者らに継承権があるものとす、る・・・・・・」
私はそこまで読むと、予期せぬ名前に驚いた。
継承権第1位 明石春刻、継承権第2位 明石朝刻、
継承権第3位 明石東刻、継承権第4位 明石青刻、
彼らが全員死亡、また適性が失われたなどがあり、
明石家を継げなくなった場合、
物部トキを継承権第5位とする。
黒野すみれ「どうして、トキの名前が出てくるの?」
前に、春刻に自分を狙う犯人の可能性を聞いた時、
春刻を狙うのは彼の兄弟やその専属使用人だけではなく、
親戚なんかもいるかも知れないと思ったことがある。
黒野すみれ「(しかも、分家で適性があったらなんて尚更・・・・・・)」
黒野すみれ「(だからって、こんなことが・・・・・・本当にあるの?)」
〇高級マンションのエントランス
物部トキ「さぁ、どうぞ!」
小学校の時から一緒に遊んでいて、東京へ行った時も
トキの部屋にも遊びに行っていた。
〇異世界のオフィス
そのトキが・・・・・・
〇黒
明石家の分家の一人娘で、秘術の適性故に
〇宮殿の門
明石春刻の婚約者になっているなんて。
〇宮殿の門
〇宮殿の門
〇宮殿の門
〇黒