肝試しにきたらそこはホラーゲームの入り口だった

入江恵衣

ゲームの目的(脚本)

肝試しにきたらそこはホラーゲームの入り口だった

入江恵衣

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〇広い厨房
「殺害した犯人を探す??」
あすか「6人の中に犯人がいるの?」
智樹「ああ」
さなえ「じゃあ、このゲームの真の目的って・・・」
茂太「両親を殺害した犯人を見つけ出すことさ」
みく「でもなんで犯人は殺害現場までわざわざ肝試しに来るの? 普通そんなことはしないよね?」
茂太「犯人はさ、もともと金品目的で屋敷に侵入したんだよ。でも夫婦に見つかって、勢い余って殺してしまうんだ」
茂太「その時の凶器が、脅し用に忍ばせてたこのハンマーなんだよ」
茂太「殺してしまったことに動揺して慌てて逃げるんだけど、その時に凶器を落としてしまってね」
智樹「犯人は凶器を探しに何度か屋敷へ向かうんだけど」
智樹「その頃には屋敷に入ると行方不明になるって噂が広まっていて」
智樹「ビビッた犯人は肝試しと称して友人たちを誘い、まんまと屋敷に忍び込んだってわけさ」
茂太「これが、このゲームのプロローグだ」
さなえ「え、ちょっと待って。 その流れだと、私たちの中にも殺人犯がいるってことになるんじゃ・・・」
智樹「いや、夫婦が殺されたのはゲームの中だし、さすがにそれはないと思う」
智樹「確かなことは言えないけれど、俺たちは単純に、脱出のことだけを考えたらいいと思うんだよ」
茂太「俺もそれでいいと思うぜ。 ゲームの登場人物を殺すことなんて、そもそも無理だろ」
あすか「それもそうだね」
さなえ「・・・」
みく「で、その女の子を召喚するためにはどうしたらいいの?」
智樹「それなんだけど、本来のゲームの話をさせてもらうと」
智樹「このハンマーを持って、ここにいる全員である部屋に行くんだよ」
みく「あの真っ暗な部屋ね」
智樹「そう。あの不気味な部屋だ」
茂太「するとさ、部屋の中心から女の子の亡霊が現れるんだ」
茂太「女の子は両親を殺した犯人を目の前にして 激高するんだよ。で、犯人をゾンビにする」
「え! ゾンビに!?」
智樹「このゲームの真のハッピーエンドは」
智樹「殺人犯1人だけがゾンビになって、女の子は成仏する。これなんだ」
さなえ「だとしたら、召喚部屋に行ったら私たちの誰かがゾンビになってしまうんじゃ・・・」
智樹「たぶん大丈夫だよ。だって俺たちの中に殺人犯はいないんだから」
茂太「で、ここからが大変なんだ。 殺人犯をゾンビにしても女の子は成仏しないんだよ」
茂太「女の子は犯人をゾンビにした後、残りの仲間全員ゾンビにするために、全力で俺たちを追いかけてくる」
「えー!!!!」
智樹「ここが一番大変かもな~。女の子に捕まると強制的にゾンビになってしまうから」
智樹「捕まらないように全力疾走でこの厨房へ逃げ込まなきゃ行けない」
みく「女の子は他のバケモノと同じように、厨房には入って来れないんだよね・・・?」
智樹「それが入ってくるんだな」
「入ってくるの!?」
智樹「でも安心して。準備さえしておけば、俺たちは襲われることはない」
あすか「準備って??」
智樹「女の子の死因は餓死だって話はしただろ」
智樹「女の子は亡霊になってからもずっとお腹を空かせているんだよ。だからあらかじめ食事を用意しておくのさ」
茂太「で、調理場に入って来た女の子に食事を差し出す」
茂太「すると女の子は落ち着きだすから、そこで両親の写真と思い出のぬいぐるみを見せるんだ」
さなえ「あの写真とぬいぐるみね」
智樹「うん。そうすれば女の子は過去を思い出す。無事両親の元へと成仏できるってわけだ」
茂太「そっ! 成仏すれば、晴れてハッピーエンド!」
あすか「じゃあ、私はここで待機して 女の子の食事を用意しておいたらいいのね」
茂太「いや、女の子の召喚部屋には全員そろって行くんだよ。そうじゃないと女の子は現れないんだ」
あすか「・・・・・・」
みく「あすか、大丈夫だよ! 私たちも一緒なんだから!」
あすか「うん・・・。そうだよね・・・」
さなえ「あの・・・」
智樹「さなえ、どうした?」
さなえ「教科書と『うさもん』のキーホルダー。 これはどうしたら・・・」
智樹「それなー・・・、 ぶっちゃけどうしたらいいのか俺も分かんないんだけど」
茂太「とりあえず、写真やぬいぐるみと一緒に置いておいたら?」
さなえ「うん、そうだね・・・」
あすか「ゲームの流れはわかったし、今からみんなで女の子の食事を用意しようよ!」
「さんせーい!!」
  トントントントン・・・
  ザクッザクッザクッザクッ
  ジューっ、ジューっ、ジューっ、
  ぐつぐつぐつぐつ・・・
「出来たー!!」
智樹「うわーっ! めっちゃ美味そう!!」
さなえ「あすかはほんとに料理上手だよね」
茂太「一口だけちょうだい!」
茂太「パク」
茂太「うわっ! すげーうまい!!」
智樹「あ! 俺も俺も!」
智樹「パク」
智樹「うまい! あすか、マジでうまいよ!」
あすか「えへへー、 そんなに褒められると照れちゃうな」
みく「ね、ねぇっ! あんまり食べちゃうと女の子の分が・・・」
智樹「あ、ごめんごめん。 あまりの美味しさに、つい!」
さなえ「みんな、お腹が空いてたのね」
茂太「腹も膨れたし! それでは今から女の子を召喚しにいっちゃいますか!!」
「おー!!」

次のエピソード:ラスボス召喚

コメント

  • ゲームクリアへの道筋が見える一方で、本来のゲームとは異なる要素が混入しているのが気になりますね。この違いがどう作用していくのか、不謹慎ですが展開が楽しみで仕方ないです!

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