少年ドリルは廃刊です!

西瓜頭

第2話「消えたドリル」①(脚本)

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〇電車の中
敷島 海(しきしま かい)「これで男坂センセんとこは ダイジョブだな」
敷島 海(しきしま かい)「あとは他の先生の原稿回収して 一旦編集部に戻るかぁ」
敷島 海(しきしま かい)(そーいやドリルが創刊して)
敷島 海(しきしま かい)(そろそろ──)

〇大企業のオフィスビル
  1年前
  とある出版社の

〇雑誌編集部
  とある編集部で
  とあるおじさんが
  ──こう叫んだ
「しょ・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「少年漫画をッ・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「男の子に返してよォ〜〜ッッ!!!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「うぅわぁ〜〜〜ッ!!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「へ、編集長!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「何の騒ぎですか!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「どうもこうもないよ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ボカァもう限界だ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「君が副編になって 全てが狂いだした!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「は、はぁ!?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「発行部数は右肩上がり!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「『週間少年ステップ』は 日本漫画界の覇権をとったと言えるだろう!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「イイことじゃないですか!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「よかないよ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「見たまえこれを!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ステップの最新号・・・?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「出てくるキャラがみんな・・・」

〇水玉2

〇雑誌編集部
恩田 実弥(おんだ さねみ)「みんなみぃんな・・・!」

〇水玉2

〇雑誌編集部
恩田 実弥(おんだ さねみ)「どーしてこんなアゴが尖ってるのッ」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「私が好きだから♡」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ヤダッ! この女 正直ッ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「でもっ! それだけじゃありません!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「アンケートの結果生き残ってきた 人気作たちです」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「そのアンケートの男女比は?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「女性読者8割」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ほぼほぼ女子じゃん!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「もう実質女の子の漫画雑誌じゃん!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「実際売れてますし、受けてます!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「悔しければ男の子もアンケート 出せばいいじゃないですか!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「男の子はそんなの出さないの!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「素直に好きって言えないの! 恥ずかしいから!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「め・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「めんどくせぇ〜〜」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「僕が作りたかったのは、こんなアゴがドリルみたいな漫画じゃない・・・!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ムッ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「編集長が古臭い考え方だから 男の子たちが離れてったんじゃないですか!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「い、言ったね・・・」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「誰が時代錯誤の老害ナイスミドルだと!?」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ナイスミドルは言ってねーし!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ついでに加齢臭むんむん脂ギッシュも付け加えてやりますよ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「うわぁぁあセクハラ! セクハラだぁ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「今ボクの性的尊厳が 三角くんに侵害されました!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「このおっさん・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「むかつく〜!」
敷島 海(しきしま かい)「どーしたんスか2人とも」
敷島 海(しきしま かい)「恩田さんも、三角さんも このクソ忙しいのに楽しそうッスね〜」
三角 瑛里(みすみ えいり)「編集長、副編集長でしょ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「敷島くぅん、三角くんがイジメルっ!」
敷島 海(しきしま かい)「ハハッ きも」
敷島 海(しきしま かい)「まあだいたい聞いてましたよ」
敷島 海(しきしま かい)「そんなにステップが嫌なら」
敷島 海(しきしま かい)「新しく雑誌つくりゃいいんじゃないッスか?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「──」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「なんつって、ハハ」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「そ れ だ !」
敷島 海(しきしま かい)「へ?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「それだよ敷島くん!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「どうしてこんな簡単なことに 気づかなかったんだ!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「ちょ、ちょっと編集長?」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「その名で呼ぶなッ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「僕は──」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「編集長やめる!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「そして、男の子のための雑誌を創刊する!」
三角 瑛里(みすみ えいり)「──」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「そうと決まれば善は急げ! あとはヨロシクね」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「三角「編集長」♡」
「ばいび〜」
「何してんの敷島くん! 君も来るんだヨ!」
敷島 海(しきしま かい)「──」
敷島 海(しきしま かい)「オモシロ」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・」
三角 瑛里(みすみ えいり)「・・・・・・は?」

〇大企業のオフィスビル
「はぁああああああ!??」

〇雑誌編集部
  そんなこんなで
  立ち上がった
  「男」の漫画
  編集部!
恩田 実弥(おんだ さねみ)「最初に必要なのはインパクト!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「大御所の「男」漫画家に片っ端から声かけて!」
敷島 海(しきしま かい)「うぃ〜す」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「新人賞も開催っ! 大々的にアピールするッ!」
敷島 海(しきしま かい)「──う、うす」
敷島 海(しきしま かい)「思ったより原稿 集まったッスね〜」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「この賞で、「男」漫画の定義を 世に示すッ!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「受賞作は サッイコーに面白いヤツにしてねッ!」
敷島 海(しきしま かい)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「うーす」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「あと雑誌の名前! 早く決めないと間に合わないヨッ!」
敷島 海(しきしま かい)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「う る せ ー なッ !」
敷島 海(しきしま かい)「いっぺんにできるワケねぇッしょ!!?」
敷島 海(しきしま かい)「わかってるッスよ!!!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「──」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「怖ぃょ・・・怒っちゃヤダ」
敷島 海(しきしま かい)「ったく」
敷島 海(しきしま かい)「はやく人増やして下さいね〜」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「うう・・・ゴメンよぉ」
敷島 海(しきしま かい)「──あっ!」
敷島 海(しきしま かい)「あ──! 大切な原稿が!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「面目ナァイ」
敷島 海(しきしま かい)「ハイハイ! 泣いてる暇あったら拾うの手伝って下さいね──!」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「はぁい」
  ※原稿収拾中
敷島 海(しきしま かい)「──ん?」
敷島 海(しきしま かい)(原稿がハミ出て──)
敷島 海(しきしま かい)「・・・」
敷島 海(しきしま かい)「・・・恩田サン」
恩田 実弥(おんだ さねみ)「ぅん?」
敷島 海(しきしま かい)「雑誌の名前」
敷島 海(しきしま かい)「コイツで決まりっしょ!!」

〇黒
  ドリルは女の子だけのものじゃない!
  その雑誌の名は──

〇黒
  『週間少年ドリル』!!

〇荒野
  迫る敵の大軍
  仲間を逃がすため
  戦場に立つのは
  サイボーグバンカラ
  赤熱 鋼!
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──絶対絶命、てヤツか」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「・・・」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「燃えるぜッ!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「ドリル・ナッコォ!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「いくらでも来いッ!」

〇荒野
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「・・・」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──まだまだァ!」

〇スカイフィッシュの群れ

〇荒野
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──ぐぉっ!?」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「ヤツら、見境なしか!!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──!!」
戦闘員「シィイイイ──」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)(──コイツ)
戦闘員「シィッ!!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「明らかに動きが違う・・・!」
  ──ガシッ!
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「なっ! 取りつかれた!?」
戦闘員「────死ね」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「──!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「しまっ・・・!!」

〇黒

〇荒野
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「ご──ふ」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「・・・・・・」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「・・・・・・ドリ、ル──」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「────!」
赤熱 鋼(せきねつ はがね)「・・・」

〇黒
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「・・・まだ、俺は」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「戦え、る・・・」

〇古いアパート
  あゆむの元に
  むくつけき男達が
  合流した──
  2日後
  (〆切まであと1日)
敷島 海(しきしま かい)「さ~てもう原稿できたっショ!」
敷島 海(しきしま かい)「男坂センセ めっちゃ筆速いからなあ」
敷島 海(しきしま かい)「連載開始当初」
敷島 海(しきしま かい)「『どうしても1人で描く!』 とか言い出した時は」
敷島 海(しきしま かい)「マジどーなるかと思ったけど」
敷島 海(しきしま かい)「ま、これでヨカッタっスよね」
敷島 海(しきしま かい)「アシスタントの先生方も優秀だし」
敷島 海(しきしま かい)「ヒャッハー先生の バイオレンス・ヤンキー漫画は 特定層にぶっ刺さる」
敷島 海(しきしま かい)「逆に万人受けは難しいけど なんとか持ち味を活かしたまま 連載に持ってきてぇよな・・・」
敷島 海(しきしま かい)「御出先生は台詞回しが苦手だけど 絵はプロ級なんだよな──」
敷島 海(しきしま かい)「掘り出し物すぎる」
敷島 海(しきしま かい)「早乙女クンは──」
敷島 海(しきしま かい)「オモシロ枠ッ!」
敷島 海(しきしま かい)「うし」
敷島 海(しきしま かい)「いくかっ♪」

〇アパートの玄関前
敷島 海(しきしま かい)「男坂センセ♪」
敷島 海(しきしま かい)「センセの頼れる担当 敷島がさんじょっスよ〜」
敷島 海(しきしま かい)「──」
敷島 海(しきしま かい)「あ、あれ?」
敷島 海(しきしま かい)「早乙女クン?」
敷島 海(しきしま かい)「センセはどうしたんスか?」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「・・・」
早乙女 優(さおとめ ゆう)「それが──」

〇漫画家の仕事部屋
敷島 海(しきしま かい)「は!? いや──ええ!?」
敷島 海(しきしま かい)「みんな倒れてる!?」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「シ、敷島サン・・・」
敷島 海(しきしま かい)「センセはなんか変なカッコしてるし」
敷島 海(しきしま かい)「な、何があったんスか!!?」
敷島 海(しきしま かい)「それに、この部屋・・・」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(わかってる)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(でも言わないで 敷島サン)
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)(仮にも! 仮にも 女の子の部屋ゾ!)
敷島 海(しきしま かい)「この部屋────」
敷島 海(しきしま かい)「くっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ」
敷島 海(しきしま かい)「さっっっっっっっっっっっっ!!!!!」
男坂 独歩(おとこざか あゆむ)「エーン」

次のエピソード:第2話「消えたドリル」②

コメント

  • アイスクリームドリルいいですね!^^

  • いやー、2日間男臭い部屋で耐え抜いた独歩先生は素晴らしい。男子校だったのでわかりますが、あれは男子でもきついですから…。しかし1人の方が捗ったんじゃないかとも思ってしまいますね(笑)

  • ソフトクリームを持つ人を見る度、ドリルマンを思い出しそうです。笑
    編集長の「男の子は恥ずかしくてアンケートなんか出さない」発言には笑わせてもらいました!
    臭気と締切を無事乗り越えられるか…次回も楽しみです^^

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