見習いリリカの悪魔契約

三雲ユウリ

3話 見習い悪魔、気絶する(脚本)

見習いリリカの悪魔契約

三雲ユウリ

今すぐ読む

見習いリリカの悪魔契約
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇高い屋上
リリカ「あたしと契約しなさい!」
トウマ「まじかよ・・・はぁ・・・」
リリカ「昨日初めて会った時、言い方が悪かったわ」
リリカ「それは謝る。でも、この話はあんたにとってもいい話だと思う」
リリカ「隠してるつもりでしょうけどその悪意・・・見え見えなの」
リリカ「契約したらその願い、叶えてあげる」
リリカ(そのかわり生命力を貰うけど・・・試験のためよ)
トウマ「悪意、ね 魔法とかそういうのでわかったりすんの?」
リリカ「えぇ。わかるわ。 あんたほどの悪意の持ち主はいない」
リリカ「長谷川トウマ!あたしと!契約しなさい!」
トウマ(なるほど・・・どうせバレてたってことか)
トウマ(こいつバカっぽいし、俺の悪評をばら撒くとか考えてはなさそうだが・・・)
トウマ「よし、なら契約しよう」
リリカ「ほんと?!誰に何する?石落とす?骨折させる?」
リリカ「殺す以外なら多少寿命縮まるくらいで済むわよ」
リリカ「ほら、こうやって」
トウマ(バカだけど、感性は悪魔っぽいな・・・)
トウマ「契約したい内容は三つ」
トウマ「俺に近づかないこと、人前で魔法を使わないこと、俺について話さないこと」
トウマ(騒ぎ起こされたくないから魔法使うなって言ったが・・・)
トウマ(そもそも契約できたらこいつが学校に通う理由もなくなるのか?)
トウマ(まぁ、どうでもいいか)
リリカ「って、そんな条件呑めるかー!」
リリカ(仮に叶えたとしてもたったの10ポイント程度にしかならないじゃない)
リリカ「そもそも、悪魔の行動を制限する契約は禁止なの」
トウマ「なんだ、残念」
トウマ(まぁ、保険のつもりだったし別にいいか・・・)
リリカ「残念そうに見えないのだけど・・・」
リリカ(てかなんかさっきの女子たちといる時は気持ち悪いほど笑顔だったし)
リリカ(今はほぼ無表情だし、表情筋どうなってんの?こわっ)
トウマ「はぁ。ま、じゃあいいよ」
トウマ「契約はしない」
リリカ「ちょ、え、なんでぇ?! 不満があるんでしょ?」
トウマ「隠しても無駄っぽいし、ないとはいわない」
トウマ「でも、お前に望むことはない」
トウマ「じゃあね、美桃さん」
トウマ「あ、そうだ。魔法、あんま人前で使わないほうがいいんじゃない?」
トウマ(問題が起こるとこっちに話振られるんだよね。対応するのも面倒だし)
リリカ「なぁんでぇ・・・」
リリカ「人間、分からなさすぎる・・・」

〇公園のベンチ
  数日後───
リリカ「あーーー!」
リリカ「もう、人間わかんなーい!」
リリカ「あれから青木なんとか?って言ってたっけ、女子たちのガードも固くなったし」
リリカ「近寄ろうにも近寄れない・・・」
リリカ(流石にあの人数の前で魔法使うわけにもいかないしなぁ)
リリカ(長谷川トウマもセンセーもそう言ってたし)
リリカ「センセー?」
リリカ「って、なんだ猫か・・・」
リリカ(センセー、連絡しても『自分で悩み考える時期よ』とか言って答えてくれないし・・・)
リリカ「契約しろって言うだけじゃ駄目ってこと・・・かな・・・?」
リリカ「はぁ。あたし、卒業できるのかな・・・」

〇階段の踊り場
リリカ(うーーん、うまく行かないなぁ)
リリカ(長谷川トウマには避けられるし、女子は壁作ってくるし)
リリカ「人間界って大変」
リリカ(まぁ、魔界でもセンセー以外との関わりはそんななかったけど)
女子生徒「あ、あわわわわわわ!」
リリカ「えっなになになに?!」
リリカ(階段の上から・・・落ちてきてる?!)
リリカ(避けられない・・・!魔法・・・!)
リリカ(いや、駄目ね・・・)
リリカ「う・・・痛・・・」
女子生徒「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
女子生徒「って、え?!美桃さん?!」
女子生徒「美桃さーん!!」

〇黒背景
ママ「近寄らないで!」
  ママ?こわいよ、どうして・・・
パパ「俺の魔力量を凌ぐ?」
パパ「ガキが俺を見下すなど・・・!」
  違うの・・・
  センセーは褒めてくれたのに・・・
センセー「魔力はあっても暴走するし、試験もうまくいってないし」
センセー「天才なんて言ったけど、私が間違ってたみたいね」
  行かないで!
  あたしだけ・・・
  ひとりぼっちは嫌だよ・・・
トウマ「お前と契約はしない」
トウマ「じゃあね、美桃さん」
  置いていかないで!

〇保健室
リリカ「うう・・・ん・・・」
リリカ(なにか夢を見てたはずだけど・・・)
リリカ(さっぱり忘れちゃったわね)
リリカ(ま、忘れたってことはそんなに重要じゃないってことね!)
女子生徒「美桃さん!起きた?」
リリカ「ん?あ、あんたは確か・・・」
カナ「私?私は水無月カナ」
カナ「美桃さんにぶつかって昏睡させてしまった者です・・・」
リリカ(急に号泣?!感情の起伏激しいわねこの子)
リリカ「昏睡・・・って言ったけど、私どれくらい眠ってたの?」
カナ「えっと今6時間目終わってちょっとしたとこだから・・・」
カナ「3、4時間くらい?」
リリカ「午後丸々寝てたってことね。それくらいでそんな号泣しなくても・・・」
カナ「だってぶつかった後すごく体冷たかったし、死んじゃったかと・・・!」
リリカ(悪魔って体温低いもの・・・)
カナ「あと美桃さんって怖そうというか・・・近寄りがたいし・・・」
リリカ(読心の魔法は使えないはずなのに、表情で何考えてるかわかる・・・!)
リリカ「別に、大丈夫よ。階段から落ちてたんだもの、仕方がないし」
リリカ(悪魔って割と頑丈だからそんなに痛くもないのよね)
カナ「あ、ありがとう・・・!」
リリカ「で、その・・・ねぇ、あたしってやっぱり浮いてるのかしら?水無月カナ」
カナ「んえっ?!」
カナ「えー、これは言った方がいいのかな・・・でも怒られると怖いし・・・」
カナ「いや、でもなんか美桃さんってそういう感じじゃない、気がする」
リリカ(この子・・・階段から落ちたことといい、ドジなのかしら?)
リリカ(あたしも人のこと言えないけど)
カナ「えっと、まぁ、浮いてると・・・思う・・・」
カナ「名前とかフルネームで呼んだり、キョロキョロしてたり・・・」
カナ「美桃さんって雰囲気もみんなと違うというか、外国の人かなーって思ってたよ」
リリカ(まぁ、異界人ではあるから間違ってはない)
カナ「だからその、浮いてるというか、近寄りがたいってのはあると思う」
カナ「あと、トウマに話しかけに来てたりするけど・・・」
カナ「あれは青木さん達が過剰反応してるだけで、みんなそうだもんなぁ」
カナ「美桃さん目立ってるし焦るのかもだけど」
リリカ「水無月カ・・・いえ、水無月さん」
リリカ「色々教えてくれてありがとう。実は遠いところから来ていて・・・」
リリカ「戸惑っていたところがあったの」
カナ「やっぱりそうなの?!」
カナ「すごーーい、どこから来たの?アメリカ?フランス?」
リリカ(魔界・・・なんて言えないわ)
リリカ「ええと、私前は──」

〇保健室
  1時間後
カナ「ね、『ねこここチャンネル』良いよね〜!」
カナ「私、白猫のまみちゃん好きだなぁ」
リリカ「あたしは三毛猫のみかちゃんかしら。ふてぶてしくて可愛いの」
カナ「わかるなぁ・・・。みかちゃんは生意気だけどそこが──」
男子生徒「カナ、いるか?」
カナ「ん、あれ?リュウトくん?」
トウマ「あと、美桃さんもいる?先生が鞄届けに行ってってさ」
リリカ(って、なんかゾロゾロ来たわね?!)

次のエピソード:4話 見習い悪魔、遊ぶ

成分キーワード

ページTOPへ