第ニ話 化け猫の恩返し 前編(脚本)
〇公園の砂場
〇公園の砂場
〇公園の砂場
〇応接室
村雨 庵「・・・・・・」
村雨 庵「あつい・・・」
ユウ「雨が止んだから、蒸し暑くなったんですかね?」
村雨 庵「まだ5月だぞ!?何でこんなに暑いんだよ!」
ユウ「暑いなら、上着脱げば良いじゃないですか」
村雨 庵「・・・・・・」
村雨 庵「お前にはまだ見せてないからなぁ・・・」
村雨 庵「見たらなんやかんや言うだろ、お前」
ユウ「何の話です?」
村雨 庵「いいか!見ても引くなよ!」
ユウ「・・・・・・」
ユウ「うわぁ・・・」
村雨 庵「はい、引いたー!こうなると思ったんだよ!」
村雨 庵「ユウくんにはもう見せねーし!ばーか!」
ユウ「なんですか?その腕・・・龍の刺青?」
ユウ「庵さん昔ヤンチャしてたんですか?」
村雨 庵「そんなわけあるか!」
村雨 庵「・・・つーか、刺青じゃねぇよ。俺にもよくわかんねぇんだ」
ユウ「ますます意味がわからない・・・」
???「おーい!誰か居るかー!」
ユウ「ノック・・・? インターフォン壊れましたかね?」
村雨 庵「面倒ごとの予感がするぜ・・・」
〇応接室
???「ほぅ、お前が噂の霊媒師か」
???「しかしまぁ、思ったよりも貧弱そうな・・・」
村雨 庵「・・・・・・」
村雨 庵「煙草でも吸うか・・・」
ユウ「何でドア閉めちゃうんですか!?」
???「あーーけーーろーー!!!!!!」
村雨 庵「うるせーなぁ・・・」
ユウ「依頼人・・・依頼猫ですよ?きっと」
村雨 庵「あぁ?俺は動物の依頼はもう聞かねーって決めてんだ」
ユウ「何かあったんですか?」
村雨 庵「あぁ・・・雀でちょっと痛い目見てな・・・」
ユウ「すずめ?一体何が──」
???「さっさと開けぬか!!!!!!」
???「食い殺すぞ!!!!人間め!!!!」
ユウ「・・・近所迷惑ですし、話だけでも聞いてあげませんか?」
村雨 庵「はぁ・・・気が進まねー・・・」
〇応接室
スダマ「全く!無駄に大声を出させるな」
ユウ「えっと、スダマさん?でしたっけ」
ユウ「雄の三毛猫なんて珍しいですね まぁ喋る猫も見たことないけど・・・」
スダマ「ふん。わたしをその辺の猫と一緒にするな」
村雨 庵「要は化け猫だろ、そいつ」
村雨 庵「先に言っとくが、俺は猫探しなんてしねーぞ!」
スダマ「・・・まぁ早まるな」
スダマ「居場所を知りたいというのは──まぁ、合っているな。しかし、そいつは猫では無い」
スダマ「わたしが探しているのは、人間だ」
〇線路沿いの道
村雨 庵「匂いで場所わかるっつーなら、勝手に会いに行けば良いだろうが」
村雨 庵「何でわざわざ・・・」
村雨 庵「お前を抱えて歩かなきゃなんねーんだよ!」
スダマ「わたしの足では移動するのに時間が掛かる」
スダマ「ほら、速く歩かぬと日が暮れるぞ!」
村雨 庵「こいつ・・・」
ユウ「・・・・・・」
ユウ(あの時──)
〇応接室
スダマ「数十年前──少しの間、宿にしていた家があったのだ」
スダマ「たった12年程度だが、そこの家の人間には世話になったからな」
スダマ「戻って来たついでに、顔でも見てやろうかと思ったのだ」
村雨 庵「たった12年って・・・結構世話になってんじゃねーか」
スダマ「ふん。12年など、わたしにとっては一瞬のことだ。それよりも──」
スダマ「お前、その人間の元へ連れて行け」
村雨 庵「・・・探せってことか?」
スダマ「いや、場所は案内する。お前はそこまでわたしを担いで運べば良い」
村雨 庵「はぁ!?何で俺が──」
スダマ「・・・お前、尋ね人が居るのだろう?」
村雨 庵「────」
ユウ(尋ね人・・・初耳だ)
村雨 庵「・・・・・・」
村雨 庵「・・・何で知ってんだよ、お前」
スダマ「なぁに、ソメイヨシノの軍人から聞いたのだ」
村雨 庵「・・・ったく。あいつ他にも言いふらしてねーだろうなぁ」
スダマ「その人間に世話になる以前から、わたしはこの地に長く居た者だ」
スダマ「見返りとしてお前に協力してやる──報酬はそれで十分だろう」
〇線路沿いの道
ユウ(庵さんのところに来て、まだ数週間──)
ユウ(当たり前だけど、庵さんのこと何にも知らないな)
ユウ(力をつかったのを実際に見たのも、この前が初めてだったし)
ユウ(庵さんの尋ね人・・・)
村雨 庵「この太陽の中、長袖に猫毛はきつすぎる・・・」
スダマ「黙ってきびきび歩け!」
村雨 庵「お前、ちょっとは感謝しろよ!」
スダマ「対価は払うと言っておるだろう!」
村雨 庵「今のところ、ただの喋る猫だからなぁ・・・信憑性に欠ける」
スダマ「何だと!!!!この無礼者!!!!」
ユウ(何となく流されちゃったし、またいつか聞いてみよう・・・)
村雨 庵「しかも片手で待たなきゃいけないってのが、地味につれぇ・・・」
村雨 庵「お前、見た目より重いんだよ!どうなってんだ?」
スダマ「文句の多い人間だな!」
スダマ「左手も使えば良い話だろう」
村雨 庵「はぁ?お前、消えちまってもいいのかよ?」
スダマ「・・・・・・」
スダマ「とりゃ!」
村雨 庵「いてっ!」
村雨 庵「おい!お前いきなり──」
村雨 庵「つーか、左手触ってんじゃねぇか!」
ユウ「スダマさん!!」
ユウ「このままじゃ消え──」
ユウ「・・・あれ?」
ユウ「消えて、ない・・・ですね」
村雨 庵「・・・どうなってんだ?」
スダマ「なに、簡単なことだ」
スダマ「お前が消滅可能なのは、実体が無いものだけ」
スダマ「つまり『霊』は消せるが、わたしのような者には効かぬということだ」
ユウ「そうなんだ・・・」
スダマ「お前はなぜそんなことも知らぬのだ!」
村雨 庵「いちいち殴るな!」
ユウ「でも、どうしてスダマさんは そんなこと知ってるんです?」
スダマ「ふん。祓い屋というのは昔からそういうものだからな」
スダマ「わたしのように永い時を生きる者ならば、自然とこうした知識は身に付いていく」
スダマ「どうだ?わたしに協力して欲しくなっただろう!」
村雨 庵「・・・まぁ、依頼料はしっかり貰うぜ」
スダマ「さて?どうしようか」
村雨 庵「てめぇ・・・」
スダマ「そら、もうすぐ着くぞ。匂いが近くなってきた」
スダマ「・・・この先だ」
ユウ「・・・・・・」
ユウ「ここって──」
〇黒背景
スダマ「・・・よし、ここで降ろせ」
〇墓石
スダマ「・・・・・・」
ユウ「スダマさんの探してる人って・・・」
ユウ「もしかして、もう──」
庵さんもユウくんも謎が多いですねー!
わくわく!
スダマ先生可愛い...メインキャラクターにならないかな...ドキドキ
マスダさん(なぜこんな名前……!?)の尋ね人は果たして…? 庵さんの過去も気になります。この先、マスダさんの存在は大きくなりそうですね。
ゆうくんが読者と同じ目線にいてくれるので、頭の中が整理されて読みやすいです!