呪いなら間に合ってます

中村朔

第3話 ライバルはこっくりさん!?(脚本)

呪いなら間に合ってます

中村朔

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〇黒背景
  【狐狗狸さん(こっくり・さん)】
  硬貨と文字盤を使用して
  霊を召喚する降霊術の一種。
  召喚されるのは主に雜霊だが、
  稀に高位の霊を呼び出してしまう
  こともあり、注意が必要。
  土御門家監修『降霊術の歴史』より

〇怪しい部屋
「・・・こっくりさん、こっくりさん」
土御門真守「うう、こっくりさんなんて 小学生のときに姉ちゃんに無理やり やらされて以来だよ・・・」
コトリ「お、動いたぞ。来たようじゃの」
八尺様「じゃあアレ、早速聞いてみる?」
コトリ「まあ待て。せっかくの機会じゃ。 真守にこっくりさんを堪能させてやろう」
土御門真守「その優しさが辛いんだけど・・・」
コトリ「真守、 こっくりさんに聞きたいことはないか?」
土御門真守「聞きたいことって言われても・・・」
コトリ「好きな子とかおるじゃろ? うまくいくか聞いてみればよいじゃないか」
土御門真守「いいいい、いないよそんなの!」
八尺様「正直ねぇ。こっくりさん、 真守は好きな子とうまくいくかしら?」
  もうかれしがいる
土御門真守「はうっ!」
コトリ「おう・・・」
八尺様「が、学生の本分は勉強でしょ? 次のテストの結果はどう?」
  やまがはずれてあかてん
土御門真守「はううっ!」
コトリ「ううむ、なんかいいこと言ってくれそうな 質問はないものか・・・」
八尺様「今年の運勢でも聞いてみる?」
コトリ「今年の運勢も何も、1週間後には 呪い殺されて死ぬんじゃぞコイツ」
八尺様「あ、そうか」
土御門真守「はうううっ!」
コトリ「そうじゃ。そのために こっくりさんを呼んだんじゃった。 では聞いてみるかの」
  そうだった・・・
  なんで怖がりの僕がこっくりさんなんて
  やってるかと言うと・・・

〇学生の一人部屋
  ――1時間前
  チュンチュン
土御門真守「ふわぁ・・・よく寝たぁ」
土御門真守「今日はコトリちゃんも八尺様も 起こしに来なかったからかな・・・」
土御門真守「昨日は散々だったもんな・・・ 姉ちゃんも旅行中で静かだし、こんなに 穏やかに眠れたのもひさしぶりだよ」
土御門真守「せっかくだからもう少し眠ろ・・・ すぴー・・・」
  ドゴオォォォォン!
  ズギャアァァァン!
土御門真守「わああああ!? 何!?」

〇明るいリビング
土御門真守「いったい何の音・・・ひゃっ!」
  ガッシャーン!
土御門真守「今飛んでったのって電子レンジだよね!? まさか、ポルターガイスト!?」
コトリ「言ったろう、 真守を殺すのはこのわしじゃ。 貴様には譲らんぞ!」
八尺様「それは私の台詞・・・ 私にとってもひさしぶりのごちそう、 渡さないわ!」
コトリ「うるさいポッとでの新参め」
八尺様「なんですってこの老害」
土御門真守「そのケンカまだ続いてるの!?」
土御門真守「2人ともやめてよ! このままじゃ 家がボロボロになっちゃうよ! 姉ちゃんに怒られちゃうから!!」
コトリ「真守、それもこれも お前が煮えきらんからじゃぞ!」
八尺様「そうよ。今日こそ決めてもらうわ。 私とこの子、どっちを選ぶの!?」
コトリ「わしじゃよな?」
八尺様「私よね?」
土御門真守「そ、そんなこと言われても・・・」
  ギャルゲーみたいなシチュエーション
  だけど、2人は人間じゃなくて呪いで。
  これはどっちと付き合うかじゃなくて、
  どっちに殺されるかを迫られている
  だけで・・・
土御門真守「あの、そう言えば第三者に意見を聞くって 言ってなかったっけ・・・?」
コトリ「うむ。そうじゃったな。 真守も起きてきたし、さっそく呼ぶか」
土御門真守「・・・知り合いでも呼ぶの?」
コトリ「いや、誰が来るかはわしらにもわからん」
土御門真守「わからない?」
八尺様「真守、紙とペンを用意して」
土御門真守「え、あ、はい」
八尺様「あと十円玉」
土御門真守「十円玉?」
コトリ「キュッキュッと・・・ よし文字盤はできたぞ! 始めるとするか」
土御門真守「あのー、これって」
「せーの・・・こっくりさん、こっくりさん」
土御門真守「やっぱり・・・」

〇怪しい部屋
  そして頼んでもないのに
  好きな子のこととか聞かれて・・・
  いよいよ本題である、
  僕を呪い殺すのはどっちだ?
  って質問をすることになったんだ・・・
コトリ「ではいくぞ! ・・・こっくりさん、 こっくりさん、真守を殺すのは わしら2人のうちどーっちじゃ?」
  こと
コトリ「おっしゃ!」
  み
コトリ「誰じゃそれは!?」
八尺様「アンタじゃないってことね。 てことはつまり私よね?」
  はっしゃく
八尺様「ほーら」
コトリ「むむ!」
  さま〜
コトリ「あ、ほら『さま〜』って! これはノーカンじゃろ!」
八尺様「人の名前を芸人みたく してんじゃないわよ!」
八尺様「ていうか何で文字盤に 『〜』が入ってんの!?」
コトリ「このこっくりさんはどうも 性能がよくない気がするな」
八尺様「そうね。エンジェル様にしとく?」
コトリ「そうするか」
八尺様「真守、準備するからちょっと 待っててちょうだい」
土御門真守「え、こっくりさんはどうすればいいの?」
コトリ「文字盤は流用できるかの?」
八尺様「真ん中に置くのって 十円玉でよかったんだっけ」
土御門真守「聞いてない・・・こういうとき どうすればいいんだっけ・・・ そうだ、確か帰ってもらわなくちゃ」
土御門真守「こっくりさん、こっくりさん、 お帰りください・・・」
  ことわる
土御門真守「えっ! そんなこと言われても・・・ お願いします! 帰ってください」
  かえってもいいが
  じょうけんがある
土御門真守「条件? ぼ、僕にできることなら・・・」
  てかがみを
  よういしてください
土御門真守「手鏡? お姉ちゃんのがあったかな・・・ はい、持ってきたよ」
  こっぷにみずをいれて
  かがみのうえに
  おいてください
土御門真守「・・・うん、置いた」
  でんきをけして
  かーてんを
  しめてください
土御門真守「閉めたよ」
  こっぷのみずを
  のんでください
土御門真守「えっ、これを飲むの?」

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