1話 見習い悪魔、転校する(脚本)
〇魔界
センセー「人間界に行く準備はできているわね? リリカ」
リリカ「もっちろん〜! ほら見て、この偽造通貨」
リリカ「これでハラジュク?で人間界の服買うんだ〜!」
センセー「・・・」
センセー「遠足じゃないのだけど・・・」
リリカ「わーかってるって」
リリカ「人間界で悪意を持ったクズ人間を見つけて〜」
リリカ「願いを叶えたらいいんでしょ?楽勝、楽勝!」
センセー「本当にわかっているのかしら・・・?」
センセー「まぁいいわ。これは見習い悪魔を卒業するための試験でもある」
センセー「せいぜい頑張るのね」
リリカ「は〜い! じゃあ、ばいばい!センセー!」
リリカ「楽しみだなぁ〜ワンピースとか買っちゃお!」
センセー「・・・分かってないじゃない」
センセー「まったくもう。でも・・・その方が都合がいいかもしれないわね」
〇渋谷のスクランブル交差点
リリカ「ん〜満足!」
リリカ「この服、可愛すぎる! 魔界ではチェックしてなかったなぁ」
リリカ「そろそろ魔界帰ろっかな」
リリカ「あれ?転移魔法が使えない」
〇魔界
センセー「あなた、絶対忘れてるだろうからもう一度言うわね」
センセー「いい?試験を終わるまで魔界には帰ってこられない」
センセー「試験を終えるためには、悪意のある人間の願いを叶える必要があるの」
センセー「叶えた願いの規模や悪意度合いによってポイントが得られる・・・」
センセー「目標は1000ポイント。簡単な願い10回ってとこね」
センセー「深刻で壮大な願いなら一回で達成できるかもね?その分大変だけど」
センセー「ま、あなたにそんなことは求めないから、面倒起こさず着実にやんなさい」
〇渋谷のスクランブル交差点
リリカ「そうだった、センセーが言ってた」
「魔界、帰れないじゃん!」
「はぁ、仕方ない。契約者さーがそ」
悪意度10
悪意度40
悪意度25
「うーーん」
「うーーーん」
「なんかちがーう!!」
「みんな悪意が少なすぎるのよね」
「もっとこう、一攫千金というか」
「悪意度計測不可能です!みたいな・・・」
悪意度 計測不可能
「・・・」
「って、いた! 待ちなさーーい!」
〇川に架かる橋
女子生徒「今日はほんとありがとう!」
男子生徒「またな」
トウマ「ああ。二人とも、今日はお疲れ」
リリカ「いた~~!よ~~やく見つけたわよ!」
リリカ「そこの人間!さぁ、願いを言いなさい」
リリカ「天才悪魔のリリカちゃんが叶えてあげる!」
トウマ「え、えっと・・・?」
リリカ(センセーは、悪意ある人間は大抵悩んでるって言ってた)
リリカ(悩みを否定しない、同意、共感する・・・)
リリカ(大丈夫、やれる)
〇おしゃれな居間
リリカ「やだ、やだ・・・!」
ママ「ひっ・・・」
パパ「逃げるぞ! 俺たちまで巻き込まれる」
リリカ「まって、まってよママ!パパ!」
ママ「近寄らないで!」
リリカ「ちゃんとこんとろーるするから! いい子になるから!」
リリカ「まって・・・!」
〇川に架かる橋
リリカ「ねぇ、潰したい人がいるんでしょ?」
リリカ「親?兄弟?クラスメイト?」
リリカ「なんでも叶えてあげる」
トウマ「なんのことかわからないな」
リリカ(悪意度が高い人間はなにかを抱えてる。それに理解を示せばいい)
リリカ「あんたの気持ちわかるよ。もう隠さなくていいの」
トウマ「わかる?俺の気持ちが?」
リリカ(立派な悪魔にならなきゃ。ママとパパに好きになってもらえるような)
リリカ「えぇ、わかるわ」
トウマ「無理しなくていいんだとか、もっと正直になってとか?」
リリカ「そう──」
トウマ「聞き飽きてるんだよね」
トウマ「自分だけはわかるよとか言ってくるやつ、最近多くてさ」
トウマ「思ってることと反対のことばっかり、よくのうのうと言える」
トウマ「口先だけだ、みんな」
リリカ「ちがっ、そんなんじゃ・・・!」
トウマ「ごっこ遊びもほどほどにしとけば?」
リリカ「・・・!」
トウマ「誰も俺の気持ちなんてわからないよ」
リリカ(駄目!追いかけないと)
リリカ(卒業しないと、絶対)
リリカ「でも、あの人間・・・」
リリカ(怒ってた?それに、寂しそうだった?)
リリカ(人間の気持ち、わからない)
リリカ(あたしは何をしちゃったんだろう・・・)
〇公園のベンチ
リリカ「で!なんかその人間どっか行っちゃって!」
リリカ「何が駄目だったんだろ〜」
センセー(憑依)「人間界に行ってから一日もせず連絡してくると思ったら・・・」
センセー(憑依)「あなた、人間のことなにもわかってないわね」
リリカ「でも、テキストの通りなのに」
センセー(憑依)「テキストが全てではないと言ったはずよ」
センセー(憑依)「悪魔と同じ、知的生命体同士の関わりなんだから」
センセー(憑依)「テキストをなぞった表面上の言葉なんて苛立ちを与えるだけ」
センセー(憑依)「知りもしない人にわかるなんて言われても嫌でしょう?」
センセー(憑依)「自分が言われたらどう思うか考えてみて」
リリカ「むか、つく・・・?」
センセー(憑依)「そういうことよ」
センセー(憑依)「魔界には人間のことを軽んじる風潮があるけど・・・」
センセー(憑依)「彼らも基本的には私たちとそんな変わらないの」
センセー(憑依)「まぁ、あの人間はちょっと独特というか、複雑そうだけど」
リリカ「そういえばなんか、寂しそうというか・・・」
リリカ(なんか、気になるのよね〜なんでだろ)
リリカ「どうしたらあの人間と契約を結べるんだろ」
センセー(憑依)「あの人間と契約?!」
センセー(憑依)「もう既に悪印象を与えてる上に悪意度がずば抜けた人間よ?」
センセー(憑依)「面倒ごとになる予感しかしないわ」
センセー(憑依)「悪いことは言わないから辞めておきなさい。人間は他にもいるのよ」
リリカ「そ、そうだけど悪意度が高ければポイントが沢山稼げるじゃない!」
リリカ(それにやっぱり気になるし)
リリカ(なにより、契約できたら優秀者として見習いを卒業することも夢じゃない)
リリカ(そうしたら、ママとパパは・・・)
センセー(憑依)「そんなに高得点を取りたい?」
リリカ「とうぜん!」
センセー(憑依)(全く。そもそもあの人達は、もうあなたのことを・・・)
センセー(憑依)(でも、言っても聞かなさそうね)
リリカ「ねぇ、どうしても契約したいの。どうしたらいいのかな」
センセー(憑依)「・・・いい方法があるわ」
センセー(憑依)「やれるだけやってみなさいな」
センセー(憑依)(滞在期間は延びるだろうけど・・・きっと、この子にはその方がいいはず)
リリカ「ほんと?! ありがと、センセー!」
〇教室
担任「はい、みんな席についてー」
担任「今日は転校生を紹介するわ」
女子生徒「わー、転校生だって!高校で転校って珍しいよね」
トウマ「そうだね、どんな子なんだろう」
リリカ「転校してきた美桃リリカよ。よろしく!」
トウマ「・・・」
リリカ(ターゲットの学校に潜入完了)
生徒「うおっすっげぇかわいーじゃん!」
リリカ(ふふっとーぜんよね!)
リリカ(とりあえず上手く潜り込めそう)
悪意度 測定不可能
リリカ(絶対その悪意を叶えて卒業してやる!)
リリカ(それに、どうせなら理解したい)
〇川に架かる橋
トウマ「誰も俺の気持ちなんてわからないよ」
〇教室
リリカ(怒ってるのか、寂しいのか、呆れてるのか・・・)
リリカ(よくわかんないや。特に、この人間は)
リリカ(でもそのままおめおめと引き下がると思ったら大間違いよ!)
リリカ「ぜーーったいものにしてやるんだから!覚悟してなさい!」
びしっとターゲットを指差して・・・
男子生徒「ものに・・・する?」
リリカ「あっ」
リリカ(声に出てた・・・)
女子生徒「トウマくんを・・・?」
生徒「いやぁああああ!」
リリカ(ごめん、センセー)
リリカ(ちょっと、ほんのちょーっと、ミスっちゃった・・・)
〇高い屋上
センセー(憑依)「全く。相変わらずね」
センセー(憑依)「でも、あの子はいつかきっと人間と分かり合える」
センセー(憑依)「・・・人間は面白いわよ」
キャラクターが魅力的で、テンポ良く読ませていただきました!この2人が互いにどう影響し合っていくのか、続きが楽しみです!あと、せんせー可愛い!
悪魔見習いが人間に潜む悪魔の心を探し出す!面白いテーマですね。ほんと、人間の心の中身って本人ですらよくわからない事ってあるし、誰しも善と悪を合わせ持っているものですよね。とうまくんに白羽の矢を立てたには、きっとなにかあるはずですね。頑張って追及していってほしいです。
人間は本当の真理は見えないものですから…。
どんな人でも真っ黒な部分が必ずありますよね。
それにしても、この子は悪魔向いてない…優しすぎる!