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きせき

エピソード5-多色の刻-(脚本)

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〇宮殿の門
明石刻世「やっぱり、メイド服の女の子は良いわね〜 執事服の殿方も捨てがたいけれど」
エマ「と言われておりました。なので、」

〇レンガ造りの家
エマ「朝刻様の専属使用人の夕梨花さんも」

〇大きい研究施設
エマ「東刻様の専属使用人の南田さんも」

〇宮殿の門
エマ「先代の意に準じてそれぞれの装いをしておりますね」
黒野すみれ「先代の意・・・・・・」
  どこの世界でも親の代が強大な力を持っていると、
  慣習が続くというが、そういうものなのだろうかと
  変に納得する。
  しかも、春刻はまだ当主になってまだ日が浅い。
  隙あらば、春刻を亡き者にして、自分がその座に
  と思っている兄弟もいるのだろう。
エマ「では、ゲストルームにご案内いたします」

〇城の廊下
  豪華な玄関に、廊下。

〇貴族の応接間
  応接間を横目に通り過ぎ、着いた私の部屋。

〇貴族の部屋

〇貴族の部屋
エマ「こちらが黒野様のお部屋でございます」
黒野すみれ「・・・・・・」
  想像はしていたが、

〇宮殿の門
  あんな宮殿みたいな建物にある部屋が

〇古めかしい和室
  こんな感じの部屋である訳がない。

〇貴族の部屋
黒野すみれ「あの、すみません。もう少し、こじんまりとした部屋はないですか?」
  こんなに立派な建物ならあるのか分からないが、
  納屋くらいでも自分の家の自分の部屋よりも立派だろう。
  私は何とかそんなことを伝えると、エマさんは言った。
エマ「それはおススメできかねますね」
黒野すみれ「あ、そうですよね。すみません。わざわざ用意してもらっているのに」
エマ「いえ、部屋がない・・・・・・というよりはこの部屋が1番安全なのでございます」
黒野すみれ「え?」
エマ「確かに、このゲストハウス以外でしたら、黒野様のご希望する部屋もございました」
エマ「でございますが、それらのゲストハウスは我々もむやみには立ち入れぬ不可侵の領域」
エマ「黒野様は表立っては狙われないかとは思われますが、秋川さんの死を探るとならば、」
エマ「秋川さんと同様に、黒野様を消そうと動く者もいないとは限りません」
エマ「私が秋川さんを殺めたのなら、貴方に生きていられると困るでしょうから・・・・・・」
黒野すみれ「・・・・・・!!」
  仮面で覆われた目元は分からないが、
  覆われていない口元は言葉以上のものを何も語らない。
  本気なのかも。冗談なのかも・・・・・・。
エマ「申し訳ございません。脅迫めいたことを」
黒野すみれ「いえ。確かに、その通りですから」
  私は何とか、そう答えると、
  エマさんはこれからのことを話し始めた。
  私としては一刻も早く現場を調べたかったのだけど、
  いくら当主の客だからと言って、彼らに
  挨拶も断りもなく、彼らの家を調べるなんて
  そんな礼儀を欠くことはできないだろう。
エマ「12時に昼食、19時に夕食となっておりまして、」
エマ「夕食には皆様も揃われるかと思われます」
  皆様・・・・・・というのは春刻の兄弟達のことだ。
エマ「あ、お召し替えのドレスを用意しておりますので、後で使用人を向かわせます」
黒野すみれ「え、そんな、ドレスくらい・・・・・・1人で着られますから」
  もはや、ドレスを断るところまで気が回らない。
  何故なら・・・・・・
使用人「黒野様、お召し物を失礼いたしますね」
黒野すみれ「えっ、あ・・・・・・」
  丁寧な手つきで、テキパキと脱がされる衣服。
  下着はどうかは分からないが、貴族の令嬢の服を
  メイドが着替えさせる洋画を思い出す。
黒野すみれ「これでも、身体は柔らかい方なので、ファスナーもしめられますし!!」
黒野すみれ「着替えは1人で大丈夫です!!」
エマ「ふふ、黒野様は想像力が豊かな方でございますね」
エマ「大丈夫でございますよ。採寸が合っているかを拝見するのみでございます」
エマ「まぁ、先代の着替えは勿論、入浴のお世話もしておりましたので、」
エマ「ご入用であれば、使用人にお伝えいたしますが?」
黒野すみれ「いえ、大丈夫です。入浴も1人でします」
エマ「承知いたしました。バスルームはこちらをお使いください」
エマ「使用人がドレスをお持ちするまでごゆっくりお寛ぎくださいませ」
黒野すみれ「はぁ・・・・・・ぶっ飛びすぎて、もう突っ込む気もならない」
  それから、私は

〇西洋風のバスルーム
  シャワーを浴びて

〇貴族の部屋
  使用人の人が持ってきてくれたドレスを着た。
「黒野様、もうよろしいですか?」
黒野すみれ「あ、はい」
  私のサイズのピッタリと合った濃いすみれ色のドレス
  にも驚いたけど、ドレスを持ってきた使用人の人に
  私は驚いてしまった。
「失礼いたします。って、黒野様、とてもよくお似合いです!!」
  そう言うと、エマさんに似た使用人の人は
  私に駆け寄ってきた。
黒野すみれ「(新野(にいの)リエさん・・・・・・って言ってたっけ?)」

〇貴族の部屋
リエ「黒野様、使用人の新野リエです。ドレスをお持ちしました」

〇貴族の部屋
  少し元気なノックが3回ほど聞こえ、私はリエさんに
  部屋の中に入ってもらう為、ドアを開けた。
黒野すみれ「え!?」
  そこにはエマさんと似た仮面をつけ、似たメイド服を
  着た使用人の人が立っていた。
黒野すみれ「(いや、似てるとかのレベルじゃない!!)」
  そう、違うのは口元くらいで、
  エマさんそのものだった。
黒野すみれ「(えっ、エマさんじゃないの?)」
  私はエマさんの新手のジョークかと思ったが、
  そうではなかったらしい。
リエ「って、次期奥様がドアなんて開けてはダメですよ!!」
  口調が少しエマさんと違っていたし、
  今、彼女は何と言った?
黒野すみれ「あの、奥様って・・・・・・」
リエ「勿論、黒野様のことです!! 春刻様と婚約されたんですよね!!」
黒野すみれ「え? 春刻・・・・・・さんと私が、ですか?」
リエ「ええ、彼女は私の大事な人だから手厚くもてなすように、と」
リエ「手紙にもこのように!!」
  そう言うと、リエさんは私に手紙を見せてくれる。
  そこには、家を暫く不在にするので、
  もし、黒野という人が私の不在中に明石家を
  訪ねてきたら、大事な人なので、明石家に招き、
  手厚くもてなしてくれと書かれていた。
黒野すみれ「(ああ、だから、エマさんも家に入れてくれたのか)」
  だからって、他に書きようはなかったのか、と
  私は思うと、この話を終えようとする。
リエ「あ、やっぱり、結納品ってあの例の蝋燭なんですか?」
  結納品・・・・・・最近では、廃れつつあるらしいが、
  こんな旧家ならあり得ないものでもないのだろう。
黒野すみれ「(過去に戻れる蝋燭・・・・・・確かに、もらったことには変わりないのか)」
  そう、私は今、この時も

〇魔法陣2
  その力で過去に戻っているのだから・・・・・・

〇貴族の部屋
リエ「ではでは、少し早いですが、昼食にいたしましょうか」
リエ「こちらになります」
  と案内されて、連れていかれたのは

〇城の会議室
  これまた凄い食卓で、凄い品数の料理だった。
リエ「お好きなもの、お嫌いなものがありましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね」
黒野すみれ「・・・・・・」
黒野すみれ「いえ、特に好き嫌いはないので」
  私は何とか答えると思う。

〇城の会議室
  夜にはきっと彼らと会うことになるのだ、と。
  春刻の専属使用人・秋川さんを殺し、
  今も春刻の命を狙っている人間に・・・・・・。

〇貴族の部屋
黒野すみれ「(そして、私は昼食を終えると、再びあの豪華すぎる部屋に戻ってきた)」
リエ「それでは、また何かございましたら、このベルでお呼びください」
  どうやら、リエさんが私の話し相手兼世話係に
  なってくれたらしく、私は彼女を帰して、
  一眠りすることにした。

〇貴族の部屋

〇城の会議室
  あれ? 1人いない??
黒野すみれ「(何かで遅くなっているとか?)」
  私はそう思うと、エマさんが言っていたことを思い出す。

〇レンガ造りの家
エマ「朝刻様の専属使用人の夕梨花さんはメイド服」

〇大きい研究施設
エマ「東刻様の専属使用人の南田さんは執事服を」

〇城の会議室
黒野すみれ「(着ている・・・・・・だから、いないのは青刻さんだよね)」
黒野すみれ「(どう見ても、彼は違うし)」
  真面目で誠実そうな印象を受けるが、慌てた様子を
  見せるに青刻さんが来なくて、焦っているのだろう。
  だが、彼以外は落ち着いていた。
明石朝刻「黒野さん、申し訳ありません。青刻は・・・・・・かなり変わり者でして」
黒野すみれ「いえ、こちらこそ本日は突然、押しかけてしまって」
黒野すみれ「春刻さんとは古い友人で、黒野すみれと言います」
  私は昔、父と一緒に突然、パーティーに出ることになった
  時を思い出しながらぎこちなく挨拶する。
  すると、春刻の兄達はスマートに挨拶してきた。
明石朝刻「あ、これは申し遅れました。私は明石家の副当主で朝刻と申します。そして、こちらが」
明石東刻「明石東刻と申します。黒野さん。初めまして」

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