小さな弁当屋~売れ残りには福がある~

Akiyu

読切(脚本)

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〇お弁当屋のレジ
弁当屋「はい。唐揚げ弁当1つです」
弁当屋「ありがとうございました」
  小さな弁当屋を営む一人の女店主がいた。女の弁当屋は、なんとか自分が食っていける程度の売上で細々と経営を続けていた。
弁当屋「さてと・・・ 今日も余ったねえ・・・」
弁当屋「残り物は・・・っと」
  廃棄処分だろうか?
  捨ててしまうのだろうか?

〇広い公園
弁当屋「ほら。今日の売れ残りの弁当だよ」
弁当屋「お腹空いてるだろ?食べな」
ホームレス「姐さん。毎日毎日ありがとうございます。本当に助かります」
ホームレス「俺みたいな小汚いホームレスなんかに、こんなによくしてもらって・・・。俺は姐さんの優しさに涙が出ますよ」
ホームレス「うっ・・・ううっ・・・」
売れない役者「姐さん。いつもすみません。俺みたいな売れない役者にも余りの弁当もらっちゃって。食費浮いて助かってます。本当に」
売れない小説家「本当にいつもありがとうございます。小説が売れなくて、小説だけでは食っていけないので助かってます」
売れない小説家「姐さんには、なんとお礼を言えばいいか・・・」
売れない映画監督「自分まで弁当頂いちゃってすみません。売れない映画監督なんて、世間では何の価値もない・・・。はぁ・・・」
  そこには、ホームレス、売れない役者、売れない小説家、売れない映画監督がいた。
  食っていけない彼らに、女店主は売れ残りの弁当を無料で提供しているのだった。
  なぜ彼女は、こんな事をするのか。そこには彼女の思惑があったのです。
弁当屋「皆、弁当は食べたね。食べちゃったよね?」
弁当屋「じゃあ私の指示通り動いてもらうよ」
売れない映画監督「何をするんですか?」
売れない小説家「肉体労働ですか?」
ホームレス「俺は空き缶集める事くらいしか・・・」
弁当屋「よしっ、まずは、そこの小説家!!」
売れない小説家「は、はい!!姐さん!!」
弁当屋「あんたは売れる小説を書きな」
売れない小説家「でも私の小説は売れないんです・・・。だから苦労してるんじゃないですか!!」
弁当屋「あんたの小説は読んだ。文章の表現力とかは良いもの持ってるよ」
弁当屋「だけどね。あんたは題材が弱いんだ。取材力がない」
売れない小説家「そ、そうですね・・・」
弁当屋「だからね。そこのホームレス!!」
ホームレス「はい!!姐さん!!」
弁当屋「あんたは、このホームレスの男にホームレスの生活についての現実を色々聞いて取材しな」
弁当屋「ホームレスと弁当を題材にして小説を書くんだ」
売れない小説家「わ、わかりました!!」
弁当屋「それから次!!売れない映画監督!!」
売れない映画監督「はっ、はい!!」
弁当屋「あんたはね。とにかく運がない。良い脚本に出会えてないから、あんたの映画は売れないんだ」
弁当屋「あの小説家がホームレスを題材にした小説を書く。あんたはそれを映像化しな」
売れない映画監督「わ、わかりました」
弁当屋「それから売れない役者!!」
売れない役者「はい!!姐さん!!」
弁当屋「あんたはね。髪がボサボサよね。しかも役者だ。ホームレス役に適任なんだよ」
弁当屋「そこの監督が作る映画にホームレス役で出演しな。主演だよ」
売れない役者「分かりました!!頑張ります!!」
弁当屋「よしっ。皆、やる事は分かったね?」
弁当屋「気合入れてやんな!!」

〇本屋
  それから一年が経ちました。
  書店に並んでいるのは、この出版不況にも関わらず1億冊の売上を突破した本。
「ホームレスと役者と弁当」
「毎日、小さな弁当屋から売れ残りの弁当をもらいながら生活してた売れない小説家が」
  同じく売れ残りの弁当をもらっていたホームレスの男に取材して
  売れない映画監督が映画化し、売れない役者が出演している売れない者で構成された話題の本。
弁当屋「ふふっ。やっぱりね。私の目に狂いはなかったわ」
  全ては女店主の計算だった。この人達はきっと才能がある。そう直感した小さな弁当屋の女は、彼らを結んだのだった。
  書店コーナーでその本を手に取って、にっこりと笑う。
弁当屋「今日も彼女は、まだ売れない人々を探し出し、無償で売れ残りの弁当を提供する」
弁当屋「あら。私の事まで本に書かれてるじゃない。照れるわね」
  残り物には福がある――。
  彼女の売れ残り弁当には、不思議な力が備わっているのかもしれない。

コメント

  • 売れ残りのお弁当…そして売れない色々な職業の人、何かしら繋がるものがあったのでしょうね。
    でもずーっと売れないからと言って才能が無いわけではなくて、いずれは身を結ぶこともきっとあると思います!

  • お弁を通して、結びついた5人。才能があっても、身を結ばないのもあるが、店主さんは4人の中に何が足らないかを見つけ教えた。
    一番才能があるのは…

  • ひとりひとりバラバラではたいした結果が出せなくても、皆がそれぞれの得意や好きを持ち寄って協力すれば、大きなものがうまれますね。読んでいて希望がふくらみます。子どもたちに読んであげるのもよさそう。

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