2人、女の子じゃない

たちつてつと

第1話『男の娘って人によって定義があるんだ・・・』(脚本)

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〇黒
  ──それでは、今から目隠しをとらせていだきます
  その数秒後、暗闇に満ちていた視界が開けた

〇ホテルのエントランス
  目の前に現れたのは、綺麗なホテルのエントランスのような室内
  そして、円卓のような机を囲う形で座っている同い年くらいの6人
  皆不安な面持ちで当たりを見回している
サキ「(うわ、みんな美人・・・、というかここどこだろう?)」
  先ほど、車で目隠しをされたままここに連れてこられたため、場所も全く把握できていない
  それはみんなも同じようだ
  そんな中、一人だけ立っているスーツ姿の女性が口を開いた
運営「みなさま、この度は我が主の主催するゲームに参加いただきありがとうございます」
サキ「(ゲーム??割りの良いバイトって聞いたような・・・)」
  どうやら皆同じようにバイトのつもりで来たらしく、ザワついている
  そんな中、茶髪のショートカットの少女が疑問を口にした
ユウ「え、ゲーム? 私は長期休みを生かした泊まり込みのバイトって聞いたんだけど・・・」
運営「はい、おっしゃいます通り、謝礼はお支払いいたしますので、みなさまからすれば「バイト」ということになります」
運営「ただ、行っていただくのが単純なゲーム、というだけでございます」
サキ「(なるほど、まあお金がもらえるならなんでもいいなぁ・・・)」
  楽観的な自分とは対照的に、神妙な顔をして学級委員長のような子が口を開く
ツバサ「そのゲームっていうのはなんですか・・?」
運営「簡単に言えば「人狼ゲーム」でございます」
運営「人狼ゲームはみなさまご存知かと思いますが」
運営「村人の中に隠れた人狼を全滅する前に投票にて倒す、といったものです」
運営「ただ、通常の人狼ゲームと異なる点が2点ございます」
ナツ「・・・それは?」
運営「・人狼ではなく、この中に紛れ込んだ男 ・ゲームではなく本当に襲われる という点です」
  ──!!!!
  一同に衝撃が走る
  アルバイト、と聞いて集まったところでこんな話を聞いたら当然だ
  案の定、お嬢様のような子が反抗する
リン「馬鹿馬鹿しいわね、帰らせていただくわ」
リン「ゲームといってもアルバイトのはずだから強制参加ではないわよね??」
運営「もちろんです ただ──」
リン「ただ??」
運営「謝礼金はそれなりでございます 具体的に言えば1億円です」
サキ「(い、一億円・・・!?そんなにあれば借金も返せるし、それにそれに・・・)」
運営「これは各「陣営」で、の話になるため、女性の方は受け取る額がこれよりも減りますが、大学生の方にはかなりの大金かと」
運営「また、負けてしまった場合にも拘束日×3万円はお約束します」
運営「みなさまそれぞれ入り用かと思いますので・・・」
  そう言って、スーツ姿の女性はにっこり微笑む
リン「・・・とりあえず話は聞くわ」
運営「ありがとうございます では先ほど「陣営」の話が出たため、そちらの話をさせていただきます」
運営「今回のゲームですが、陣営は「人狼」「村人」ではありません」
運営「それぞれ「男」「女」陣営と呼ぶのですが、実は陣営は2つだけではありません」
サキ「別陣営がいるってことですか??」
運営「その通りでございます 第三陣営として、どちらにも属さない「男の娘」陣営というものがございます」
サキ「男もここに紛れてる時点で「男の娘」みたいなものだと思うんですけど・・・」
運営「我が主曰く、「男の娘は心まで女の子であって初めて与えられる称号」とのことです」
サキ「・・・・・・理解しました」
  理解できていない
運営「続けます」
運営「「男」「男の娘」各陣営は一人ずつ、その他は「女」陣営の方です」
運営「「女」陣営の方の勝利条件は、全滅させられるまでに投票で追放すること」
運営「ただ、一点即負けになってしまう注意事項がございます」
ツバサ「それは・・?」
運営「「男の娘」を投票で追放してしまった場合です」
トモカ「なんで??」
  生意気そうな背の低い子が初めて疑問を口にする
運営「我が主曰く、「心が女性であれば、女性だ。仲間のことは大切にしなければならない」とのことです」
トモカ「なんか良い人か悪い人かわかんないね・・・」
運営「悪い人ですよ 学生を集めてリアル人狼ゲームなんて悪趣味でしかありませんし」
トモカ「・・・いいの? 我が主も聞いてるんじゃない??」
運営「構いません 「自分が悪いのも自覚しているから悪口も全然言ってOK」と言われております」
トモカ「善人の言うことだね」
運営「いいえ、金払いが良いだけの悪人です」
運営「あとはこの禁止事項は守ってください ・各自のお部屋を用意していますが、そこには各自以外入らないこと ・接触すること」
運営「そのほかは就寝前に投票を行うなど、通常の人狼ゲームと同じと思っていただいて構いません」
運営「細かいルールについては都度聞いていただければと思いますが、その他質問などありますか?」
ツバサ「・・・「男」「男の娘」陣営の勝利条件はどうなっていますか??」
運営「そちらについては現在は明かせません」
運営「ただ、「各陣営の人物は勝利条件や敗退条件は把握する」ということだけ承知いただければと思います」
運営「また、お伝え忘れていましたが、明日から毎日、正午に追加で「ヒント」が出されますので、そちらも推測材料になるかと」
運営「他に何か質問はありますか?」
運営「それとゲームを辞退したい方も」
  誰も、何も言わない
  先ほどのスーツの女性の口ぶり的にも、皆大金が必要な状況に置かれているのだろう
運営「・・・では私は別室でモニターしていますので、何かありましたら監視カメラに向かって話しかけてください」
  そう言ってスーツの女性はドアを開けて部屋から出て行ってしまった
  数秒ほど沈黙が訪れた後、委員長のような子が口を開いた
ツバサ「ではこれからどうしますかね・・・」
ナツ「とりあえず自己紹介でもするか? これから何日かは一緒に過ごすことになるんだし」
サキ「私もそれがいいと思います」
トモカ「いやいやその前にやることがあるよ」
トモカ「全員、服ぬいで」

次のエピソード:第2話『自己紹介を聞くのは意外性があって好きだけど、自分のは苦手』

コメント

  • どどど、どうなっちゃうの~( ゚Д゚)
    続き、めっちゃ気になります!

  • すごく面白い設定ですね!これからのストーリーがどう向かっていくのか気になります。ここまででは、ホラーにもヒューマンドラマにも、エロにもコメディにもなりうると思ってしまいました。続きが楽しみです。

  • 表紙で内容が気になり、思わずタップしてしまいました☺︎
    「全員、服脱いで」
    確かに一撃で決まる判別手法…
    どう回避するのか、次回が楽しみです!

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