2人、女の子じゃない

たちつてつと

第2話『自己紹介を聞くのは意外性があって好きだけど、自分のは苦手』(脚本)

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〇ホテルのエントランス
トモカ「全員、服ぬいで」
  衝撃的な発言に思わず耳を疑う
  そんなこと言われても急に脱ぐ人がいるわけが・・・──!!
  そういうことか・・・
  なんとなく狙いが読め、発言しようとしたところで先に委員長のような子が口を開く
ツバサ「良いですね、みんなで一度脱いでみますか」
  こんな真面目そうな子が「脱いでみますか」と言うのはよくないものを見ている気がしてくる・・・
  と、そんなことを考えてる場合ではない
サキ「私もそれがいいと思います だってこれで性別が一発でわかるかもしれないですもんね」
  しかし、話はすんなりとは進まない
ナツ「え、私はいやだぞ!? 監視カメラとかもあるし」
リン「私も・・・ いきなりここで脱ぐのは・・・」
ユウ「いいんじゃないか? それで一気にゲームを終わらせようってことだろ?」
セナ「・・・」
  やっぱり想像通りまとまらない・・・
  けど、反応としては賛成3人、反対2人、無反応が1人・・・!
  心の中でカウントしていると、同じく周りを見回していた脱衣首謀者の子と目が合う
トモカ「・・・」
  ニッコリと笑顔を向けられ、思わずドキッとしてしまう
  しかし目があったのは一瞬、すぐに彼女は脱衣戦略を推し進める
トモカ「まあいいじゃん! 脱いで男が誰か分かったら、今日だけで何千万円ももらえるんだよ?」
  この子相当賢い・・・
  しかも想像通りなら・・・
  その時、スピーカーにザザッと音が入った
  先ほどのスーツ姿の女性の声が聞こえてくる
  お話中失礼します
  他の方がいる前での脱衣行為は禁止とさせていただきます
  着替えやご入浴については、カメラのない各自のお部屋でお願いいたします
トモカ「あ、やっぱりダメかー じゃあ、みんなが言ってたみたいに自己紹介でもする?」
  脱衣の提案が退けられても、特に気落ちしている様子はない
  やはりこの提案の意図は、意見に対するみんなの反応を見ていた、というのが本当のところだろう
  もちろん脱いで性別が分かればそれが1番早いけど、
  人狼ゲームを謳っている以上、運営が一発で男を当てられる方法を好まないのは想像できる
  だから初めに無茶な提案をして、その様子を伺ったというわけだ
サキ「(うーん賢いなぁ・・)」
  普通に考えれば脱衣提案に乗らなかった3人が怪しいということになりそうだけど、
  彼女や他の子達はどう考えているのだろう・・・?
リン「自己紹介でいいんじゃない? 脱ぐよりそっちの方がよっぽどいいわ」
  それに関しては特に反対意見はなさそうだった
ナツ「よし、じゃあ私からいくぞ!」
ナツ「東京体育大学3年のナツだ! 陸上をやってる! よろしくな〜」
ナツ「それじゃあ委員長ちゃん次どうぞ!」
ツバサ「え、なんで私が高校の時に図書委員長だったの知ってるんですか!?」
  ・・・見た目が
ツバサ「えっと、帝京工業大学3年のツバサです 趣味はチャトランガです よろしくお願いします」
ユウ「帝京工業大学ってめっちゃ賢いとこじゃん!」
ツバサ「運が良かったんですよ・・・ おかげで入ってからは大変です」
  なるほど・・・そんなに賢ければ、先ほどの脱衣賛成の反応スピードも納得だ
  でもチャトランガってなんだろう・・・?
ユウ「私は美容師の専門学校に行ってる2年のユウだ 髪を切りたい人はいつでもいってくれ!」
  ありがたいけど、多分この期間中に髪を切ってもらうことはなさそう・・・
  自己紹介が続く
リン「私は金銀女子大学4年のリンよ ヴァイオリンをやってるわ」
  見た目通り超お嬢様大学に通っていた
  でも、そんな彼女がなぜ借金を・・・?
トモカ「赤山学院大学1年のトモカです 最近はBLにハマってまーす よろしくお願いしまーす」
  こんな小さい子なのに腐っていた
セナ「帝京美術大学の2年のセナで〜す 私もBLにハマってま〜す」
  まさかの腐女子二連続!!
  初めての発言が腐女子カミングアウトで驚きを隠せない・・・
サキ「えと、平山大学2年のサキです よろしくお願いします・・・」
  我ながら面白みのない自己紹介だな・・・
  でもこれで全員分終わった
  それにしてもこの中の誰かが女の子じゃないとはとても思えない
  みんなすごく可愛いし・・・
  6人の名前を聞いて、いきなりみんな覚えられたわけではないけど、
  そばにいる人が全く知らない人でなくなったのが救いかな・・・?
  一応互いの自己紹介が済んだことで、張り詰めていた空気が少し緩んでいる
  その後はひとまず解散し、夕食までは各々の部屋を見に行くことになった

〇洋館の廊下
  廊下に出て、各自の部屋がある二階へ向かう
  そして階段上がってすぐの「サキ」と書かれた部屋の扉を開ける

〇貴族の部屋
  すると、高級そうな部屋が視界に飛び込んできた
サキ「うわあ・・・」
  今まで泊まった部屋の中で一番高そう・・・
  主催者のお金持ちっぷりが窺える
サキ「ん、これなんだろ・・・」
  荷物を置いて、少し横になろうとしたところで、机の上に手紙があることに気づく
サキ「・・・・・・」
  なんだかめんどくさそうな予感がするが、読まざるをえない雰囲気が出ている
サキ「・・・読むかー」
  仕方なくそれを持って、スプリングのきいたベッドで寝転がって読んでみる
  何やら大事なことが書かれているが、最近疲れていたのもあって眠たい
  読んでいる途中から意識が遠のいて・・・──

〇黒

〇貴族の部屋
サキ「やばっ! 今何時!?」
  自分が思っていた以上に疲れていたらしくぐっすり眠ってしまった
  慌てて時計を見ると、夕食の19時を10分ほど過ぎている
サキ「早く行かないと!」
  準備もそこそこに、大慌てでリビングへ向かった

〇ホテルのエントランス
サキ「すみません、ちょっと寝ちゃってました!」
  そう勢いよくドアを開けると、既に皆は揃っていた
  そして1人を除いた全員が驚いた顔をしている
  しかし、それは遅刻が原因ではなさそうだ
ユウ「ゲームを早いところ終わらせよう」
ユウ「男の娘は私だ」
ユウ「男は誰だ?」

コメント

  • やっぱり脱衣はダメですよねー(期待していたという感情を押し殺しながら)
    丁寧に構築されたキャラクターとルールで、高度な心理戦が期待されるところでまさかの”男の娘”カミングアウト!次話が待ち遠しいです!

  • 昔「ピラメキーノ」というテレビ番組で男の娘を探すやつがあったのを思い出しましたし,僕の通ってた大学でも男の娘コンテストがミスミスターコンと一緒に開催されてました。
    僕もタップノベルライターとして活動してますのでお互いに切磋琢磨していきましょう。僕の作品にも目を通して欲しいです。

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