第五話 九魔羅(脚本)
〇古びた神社
白栴「私と・・・同じ・・・痣・・・」
空聖「昔・・・昔・・・オレらは誓った・・・。 なぁ?そうだろ?」
──と、そこへ地響きと共に大きな揺れが白栴達を襲う。
しばらくして、揺れが収束すると・・・空聖は渋い顔で空を仰ぐ。
空聖「・・・今の気配──!!」
天玉「・・・再会を喜ぶ暇も与えないとは!」
蓬戒「──この気配って・・・ヤツだよね!?」
簾浄「我々が目覚めた事といい・・・やはりヤツが再び現れたのか!?」
空聖「──何かイヤな予感がするぜ・・・。 白栴! 一旦、家に戻るぞ!!」
〇古いアパートの居間
白栴達が家に戻ると──人の気配がなかった。
白栴「爺様──!! 爺様──!!」
白栴「爺様・・・どこに行ったんだろ?」
空聖「おい!白栴っ!! コレ、見てみろ!」
白栴「何コレ・・・?」
白栴はその文らしきものに目を通す。
ジジイは預かった。
無事に返して欲しければ・・・
隣りの廃村まで白檀を連れて来い。
白栴「じ、爺様がっ!!」
空聖「落ち着けっ!白栴っ! 今からの時間帯は妖魔の力が強くなる! 危険だ!」
白栴「でもっ!」
空聖「ジイさんは、オマエのその妖魔を寄せ付ける痣の力を抑える程の力の持ち主だ。 そう、簡単にやられりゃしねーよ」
空聖「ジイさんを攫った犯人の目星はついている・・・」
白栴「!!!」
空聖「ただソイツは・・・バカだが・・・とんでもなく強ぇ・・・!! コッチも万全の準備をして迎え打とうぜ?」
白栴「・・・う、うん。 ねぇ・・・この”白檀”って・・・?」
空聖「・・・記憶・・・まだ全て戻った訳じゃないだろうが・・・。 オマエの事だ。白栴」
白栴「・・・」
空聖「・・・どこまで思い出してんのか知らねーが・・・。 オマエが困ってたら助ける。 そう、誓ったからな」
空聖「な? オマエらもそうだろ?」
天玉「ああ! 功徳様は、我らが守る!」
簾浄「姿形が変わっても功徳様は功徳様だ。 その腕の痣が何よりの証拠。 功徳様!我らがついてます! ご安心を!」
蓬戒「そうそう♪ 何か、前の功徳より親しみやすいって言うか? 可愛くなってるし? 安心して僕らに頼ってよ」
白栴「み、みんな・・・どうして・・・そこまでしてくれるの?」
空聖「決まってんじゃねーか! ”大切な仲間”だからよ!!」
白栴「・・・”大切な仲間”・・・」
〇寂れた村
そして──次の日。
白栴達は、周り道を通って隣りの廃村へと赴いた。
廃村は、不気味な気配が肌にもわかるくらい漂っていた。
白栴「爺様! どこっ!?」
白栴は、その不気味な気配に怯むことなく廃村の奥へ進む。
──そして、一際気配の濃ゆい廃墟を見つける。
〇荒廃した教会
廃墟の中に入ると──祭壇の中央に人影が見えた。
白栴の爺様「・・・」
白栴「爺様っ!!」
空聖「待て!白栴!! ジイさんに近寄るな!」
白栴「えっ?・・・でも!!」
白檀・・・見つけた!!
廃墟に声が響き渡ると──怪しい光と共に白栴の爺様は掻き消えた。
そして──恍惚とした表情で白栴を見つめながら一人の青年が姿を現す。
九魔羅「白檀・・・。 ・・・その香り・・・! わかる!我にはそなたが白檀だとわかるぞ!」
九魔羅「容姿は変わってしまったようだが・・・相も変わらず・・・美味そうな魂だ!」
白栴に向ける視線から白栴を守るように空聖は一歩前へ踏み出す。
空聖「九魔羅(くまら)!! 相変わらずだな!」
九魔羅「空聖・・・!!」
空聖「おっと!! 危ねぇなぁ!!!!」
有無を言わさず、空聖と九魔羅は互いに攻撃を仕掛ける!
蓬戒「──功徳・・・って言うか・・・白栴ちゃんは── 危ないからコッチね?」
蓬戒は白栴の手を引き、天玉と簾浄の後ろに隠れるように身を置く。
そして天玉と簾浄は、空聖に加勢する。
天玉「空聖!! 俺と簾浄で隙を作る!」
空聖「おうよっ!!」
九魔羅めがけ、天玉が水で簾浄が落雷で攻撃を仕掛ける!
九魔羅「フッ・・・久々に・・・面白い」
空聖「そうはさせねー!」
天玉、簾浄、空聖の連携攻撃に九魔羅は少しよろめく。
九魔羅「チッ!!」
九魔羅は空聖の攻撃を避けたかと思うと・・・
徐に腕をかざし振り下ろす!!
すると、全てを溶かす衝撃波が空聖達めがけ繰り出される!
蓬戒「危ないっ!!!!」
それに後方で白栴と一緒に控えていた蓬戒が、樹の盾で防ぐ!
その状況を固唾を飲んで見守る白栴。
白栴「何か! 私にも何か出来ないかな?」
白栴が目を瞑り、痣のある方の腕を無意識に九魔羅に降りかざすと──
包帯が解け、その包帯が光の鎖となり九魔羅に向かう!
白栴「ひょえっ!! な、何か出た!!」
九魔羅「な、何!?」
空聖「白栴!! やるじゃねーか!!」
白栴「ぇ・・・え──と・・・ とりあえず・・・この光の鎖であの妖魔を捕まえればいいの・・・かな?」
白栴「えいっ!!」
九魔羅「わっ!?」
九魔羅「ちょっ!?」
白栴が放つ光の鎖の猛攻から、九魔羅は逃げ惑う。
それに追い討ちをかけるように、空聖が炎と風の衝撃波を浴びせる!!
九魔羅「なめるな!!」
激昂した九魔羅の一撃が白栴を襲う!!
空聖「白栴っっ!!!!!!」
白栴が咄嗟に腕で頭を覆うと──
痣から光が放たれ、白栴を包み込んで攻撃を相殺した。
九魔羅「チッ! その痣・・・厄介だな! だが・・・」
九魔羅「・・・その力! 欲しい!! 白檀!」
九魔羅「・・・前々から思っていたが── 我の妻となれっ!!」
九魔羅「こうして・・・我が再びこの世に蘇ったのは・・・ そなたの気配を感じたからに他ならないっ!」
九魔羅「そなたの聖の力と我の邪の力があれば無敵だ! さぁ! 我の手を取り、我と共に世界に君臨しようぞ!!」