第ニ話 ゾンの悩み(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
ゾン「オレがイケメンじゃないからなぁ」
ビー「そうじゃなくて・・・」
ゾン「え?じゃあなんでだよ?」
ビー「人とゾンビが付き合えるわけないだろ!」
ゾン「・・・・・・」
ゾン「え・・・」
ゾン「なんでそんなこと言うんだよぉー!」
ゾン「ゾンビだって元は人だよ」
ゾン「つまり人と人じゃんー」
ビー「違うよ!それは違うでしょ!」
ゾン「なぁ、どうしたらいいかな?」
ビー「知らないよ」
ゾン「頼むよー」
ビー「え?頼まれても困るよ・・・」
ゾン「そこをなんとかさぁー!」
ビー「えー?じゃあ例えば」
ビー「オシャレになるとか?」
ゾン「あ!なるほど!」
ビー「いや、わかんないけどね」
ゾン「よし!俺、オシャレになる!」
ビー「いや、わかんないけどね」
ゾン「そっか、俺に足りないのはオシャレか!」
ビー「だから、わからんないけどね!」
ゾン「オシャレさえあれば、あの子と〜♪」
ビー「わかんないけどねー!」
ゾン「よし、そうと決まればオシャレの勉強しないとな!」
ビー「わかんないけどね!!!」
ゾン「たしかに、ゾンビになる前からオシャレに 関してはうとかったもんなぁ〜」
ビー「わかんないけどね!ね!」
ゾン「ありがとう!これでわかったよ!」
ビー「ま、いいけど・・・」
ビー「お!」
ゾン「ん?どうしたの?」
ビー「待ち合わせ〜」
「あ!ビー君!」
女ゾンビ子「お待たせ!」
ビー「いや、俺も今来たとこ〜」
ゾン「なんだよ、自分だけさー」
ビー「ま、頑張れやー」
女ゾンビ子「どーしたの?」
ビー「なんでもないよー」
ビー「行こう〜」
女ゾンビ子「うん!」
ゾン「うーん」
ゾン「オシャレねぇ〜」
〇コンビニの雑誌コーナー
ゾン「えっと〜」
ゾン「あった!」
オシャレ入門
「オシャレがわからない君!」
「まずはワンポイントアイテムをつけてみよう!」
ゾン「ワンポイントアイテム?」
「今、流行っているのはこれ!」
「オシャレブレスレット!」
ゾン「オシャレブレスレットかぁ〜」
「これで今日から君もモテモテだ!」
ゾン「うん!ファッションはぜんぜんわからないし」
ゾン「まずはこういうのからやってみてもいいかも」
ゴーンゴーン
ゾン「夜の23時かぁ」
ゾン「あ!やべ!」
ゾン「そろそろ行かなきゃ!」
〇古い倉庫の中
午前0時
警備ゾンビ「お疲れさまです〜」
警備ゾンビ「皆さま、今日もよろしくお願いします〜」
ゾンビ「きたきた」
ゾンビ「今日も働くかー!」
ゾンビ「あ、そういや」
ゾンビ「昨日5人も襲えたよ!」
ゾンビ「マジで!結構稼いだじゃん〜」
ゾンビ「まぁな!今月の目標は100人だからなぁ」
ゾンビ「お前、すげえな!」
ゾンビ「オレ昨日1人だったし」
ゾンビ「まだまだだなぁ」
ゾン「今日もこの地域かー」
警備ゾンビ「はい、では深夜の4時までお願いします」
警備ゾンビ「あなたは北地区から人間を追い出してください」
ゾン「はい!」
警備ゾンビ「人がいたら襲っちゃってもいいんで」
警備ゾンビ「くれぐれも怪我には気をつけてください」
ゾン「わかりました」
警備ゾンビ「あ、深夜4時には戻ってきてくださいね」
警備ゾンビ「最近日光が上がる時間も早くなってきているので」
ゾン「そうでしたね」
警備ゾンビ「はい!では本日もよろしくお願いします〜」
〇商店街
ゾン「さて、来たのはいいけど」
ゾン「もう人なんていないと思うけどなぁ〜」
「きゃー!助けてー!」
ゾン「ん?」
ゾン「まだいたんだ」
〇古いアパートの部屋
高橋佳子「はぁはぁはぁ」
高橋美奈「お母さん、大丈夫?」
高橋美奈「これ、お薬だよ。飲んで」
高橋佳子「いつもすまないね・・・」
高橋美奈「明日になったら西地区へ移動出来るから」
高橋美奈「明日まで頑張ろう」
高橋佳子「美奈」
高橋佳子「もう母さんを置いて逃げてもいいのよ」
高橋美奈「何言ってるの。 病気のお母さんを置いていけるわけないでしょ!」
〇ボロい家の玄関
ゾン「この家はー?」
ゾン「ここの人は追っ払ったかなぁ〜?」
ドンドン!
ゾン「誰かいますかー?」
〇古いアパートの部屋
ドンドン!
うががががー
「!?」
高橋佳子「美奈!逃げて!」
高橋美奈「何言ってるの! お母さんを置いて逃げれないよ!」
高橋佳子「私は大丈夫だから! あなたを巻き添えにしたくないの!」
高橋美奈「お母さんは押入れに隠れて!」
高橋佳子「美奈、あなたはどうするの?」
高橋美奈「私もどこかに隠れるから!」
「!?」
高橋美奈「グズグズしてる時間はないわ!」
〇実家の居間
ゾン「失礼します〜」
ゾン「やっぱ誰もいないか・・・」
ゾン「ん?隣の家?」
ゾン「なんかあったのかな?」
ゾン「ちょっと行ってみるか」
〇古いアパートの部屋
高橋美奈「お母さん、無事でいてね・・・」
ペタペタペタ
「うううがががー」
高橋美奈「来た!?」
高橋美奈「神様!」
〇古いアパートの部屋
ゾン「ん?」
ゾン「ここは来たことなかったなぁー」
ゾン「ん?なんだこれ?」
ゾン「あ、この写真の子」
「美奈、美奈。どこ?」
ゾン「ん?押し入れの中?」
高橋佳子「・・・・・・」
ゾン「あ!」
高橋佳子「は!・・・美奈」
高橋佳子「美奈、美奈・・・」
ゾン「この人、さっきの写真の・・・」
ゾン「もしかして、あの子の・・・」
高橋佳子「た、たすけて・・・」
「いたぞー!!」
「人間だー!」
ゾン「ん?なんだ?」
高橋佳子「・・・」
〇古いアパート
高橋美奈「はぁはぁ」
ゾンビ「人間だー!」
ゾンビ「なにくそ!俺様のもんだー!」
高橋美奈「はぁはぁ」
ゾンビ「まてまてー」
ゾンビ「久々の獲物だー!」
ゾンビ「逃げんじゃねぇー!」
高橋美奈「誰かー!誰かー!」
〇古いアパートの部屋
ゾン「は!あの子が危ない!」
えっ!えっ!あの子が危ない⁉︎ どうなっちゃうのー!
と、ドキドキしました。ゾンが可愛すぎる。ゾンビにしておくのがもったいない!