君に殺されるくらいなら死を選ぶ

junshin

1.『廻りだす運命』(脚本)

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〇黒
琴羽「──ごめんね」
  裂け目から、どくどくと血が流れ出す。
  ──熱い。熱い、熱い、熱い。
  滾るような俺の中身が、二人の手を朱に染めていく。
  足から力が抜け、ついにはその場に倒れ込んだ。
  あれほどまでに熱かった傷口がどこにあるのかさえ、もう俺にはわからない。
  寒い。力が入らない。視界が霞む。
  じわじわと零れていく命が、間違いなく俺の終焉を知らせていた。
琴羽「ごめんね、ごめんね・・・。 本当は、本当は私──」
琴羽「一緒に、生きたかった」
  最後の言葉が耳に入るよりも先に──
  俺の意識は、闇に堕ちていった。

〇教室
颯斗「──っ! はぁ、はぁ・・・」
  颯斗はまるで呼吸を忘れていたかのように、必死になって肺いっぱいに空気を送り込んだ。
颯斗(な、生き、てる──)
  動機が収まらないまま、自分の身体をペタペタと触る。
颯斗「──っ!? 血が、傷が、ない・・・?」
  間違いなく死ぬはずだった。
  ただでさえ意識を取り戻せるなんて、想像もしていなかった。
  だというのに、そればかりでなく──
颯斗「意味がわからない・・・ 俺は、刺されたはずだ」
颯斗「ついさっき、この教室で、琴羽に──」
琴羽「颯斗くん、どうかした?」
颯斗「うわぁっ!?」
颯斗「琴、羽・・・なのか?」
琴羽「──?」
琴羽「はい、そうですよ。 颯斗くんの好きな琴羽ちゃんです!」
  そのとぼけた冗談は、少なくとも颯斗の知る彼女そのものだった。
颯斗(どういうことだ──?)
颯斗(俺は死んだ──いや、殺されたはず・・・)
颯斗(他ならぬ、この琴羽の手によって──)
琴羽「ねぇ、颯斗くん。 せっかくだし、今日は一緒に帰らない?」
琴羽「私、部活ない日貴重だし。 これを逃したら、私と一緒に帰れるチャンスは二度とないかもよ〜?」
琴羽「なーんて──」
颯斗(”なんて──”)
「──私が颯斗くんと一緒に帰りたいだけなんだけどね」
琴羽「──? あれ、バレてた?」
琴羽「いやぁ、はずかしいなぁ・・・」
琴羽「でも、私が考えてたことを一字一句そのまま予想しちゃうなんて、颯斗くんも相当私のこと好きだね!」

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コメント

  • 突然始まるストーリーでしたがすぐに状況を理解することができました!
    そして違和感を感じさせるのもお上手で…、この後の展開も色々と予想させて頂きました笑

  • 冒頭の殺害シーンを見てからだと、普段の日常会話もなんだか怖ろしく感じますね。
    この後どうやって殺されるのか気になります。

  • 二人の仲睦まじい様子が見られるからこそ、冒頭の殺害シーンが恐ろしく感じますね。タイムリープの謎を含めて、その真相と真意についてこの先が読みたくなります。

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