異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第八話『全ては悪徳宰相が計略のままに』(脚本)

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〇戦地の陣営
ラクス王子「・・・・・・」
ラクス王子「ヤ・キュウだったか?」
ラクス王子「詳しい話を聞こうじゃないか」
マコ(あー、よかったぁ)
レヴィリック「ではご説明させていただきます」

〇戦地の陣営
レヴィリック「・・・・・・以上が、ヤ・キュウの説明になります」
ラクス王子「どんないかがわしい勝負かと思っていたが、蓋を開けてみれば精鋭同士が決められた規則に従い争う神聖なる戦いであったか」
レヴィリック「ヤ・キュウで使う道具も幾つか持ってまいりました」
ラクス王子「これが先ほどの説明にあったボールというモノか? 妙な手触りだ。柔軟だが不思議な硬さがあるな。これは何で出来ている?」
レヴィリック「オリハルコンでございます」
ラクス王子「神々の鉱石が使われているだと! 誰がこれを作ったというのだ!?」
レヴィリック「我が国に滞在している鍛冶職人の手によって」
ラクス王子「オリハルコンを錬成できるのは、ドワーフの神匠ビビゼルしかおらん。まさか、あの伝説の鍛冶師までもがユグド聖国にいるとは」
マコ「見た目はだたのおじいちゃんだけど、やっぱりビビゼルさんも凄い人だったんだ」
ドロシー「マコ、静かに」
レヴィリック「このボールは如何なる衝撃にも耐え、どんな魔法ですら吸収、決して壊れることはありません」
レヴィリック「よろしければ試してみられますかな?」
ラクス王子「面白い。やってみよう」
レヴィリック「では、外に。・・・・・ハンズ兵長、ピッチャーを務めろ」

〇荒野
ラクス王子「どれ我が聖剣で試してやろう」
ハンズ「それでは投げます」
  ぽいっ
ラクス王子「ふん、ヌルイわ!」
  カキーン
  どすっ
ハンズ「ぐはっ」
マコ「おお、見事なピッチャー返し」
ラクス王子「ふん、あの程度は造作もない。・・・だが驚いた。飛んできたボールを斬るつもりで剣を振ったが、見事に弾き飛んだな」
レヴィリック「ラクス王子、こちらが先ほど打たれたボールになります」
ラクス王子「我が聖剣を持ってしても切れるどころか傷一つ付かず、さりとて我が聖剣の刃が痛んだ様子もない」
ラクス王子「摩訶不思議。これが神聖なる勝負事ヤ・キュウで使われる道具か。悪くない」
ラクス王子「話は分かった。つまり此度のヤ・キュウ対決は、我がダルトンハイトとそこにいる神の御使いを筆頭としたユグド聖国の対決」
ラクス王子「そしてこれに勝てば、ユニファは私の嫁になり、ユグド聖国は我がダルトンハイト騎士国に降ると」
レヴィリック「その代わりと言ってはなんですが、もし我々が勝利した場合は、3年間の猶予をいただきたいのです」
ラクス王子「猶予とは?」
レヴィリック「もし我が国が勝利した場合、向こう3年間、ダルトンハイト騎士国はユグド聖国に侵略行為を一切行わない」
ラクス王子「3年か」
レヴィリック「今後一生とは申しません。 たった3年の話です」
レヴィリック「ああ、もう1つ。ヤ・キュウが終った後、宴会を開く習わしがありまして、負けた方がその代金を支払うことになっています」
ラクス王子「負けた時のことなどどうでもよい。どうせ勝つのは我々ダルトンハイト騎士国だ」
レヴィリック「では、盟約書の準備いたします。内容を確認の上で、お返事は・・・・・・そうですね、ひと月後にいただければと」
ラクス王子「そんなに待てるか! すぐに準備せよ! ダルトンハイト騎士国の第一王子である私が、今この場でサインしてやる!」
レヴィリック「かしこまりました。ではすぐに支度を」

〇戦地の陣営
ラクス王子「これでよかろう」
レヴィリック「ラクス王子の署名、確かにいただきました。それでは勝負の日取りですが・・・2ヶ月後でいかがでしょうか?」
ラクス王子「遅い! 3日後だ!」
レヴィリック「ですが、なにぶん準備もございますので、なんとかひと月後で・・・・・」
ラクス王子「5日だ!」
レヴィリック「・・・・・・では10日で。 これ以上は支度が間に合いませぬ」
ラクス王子「いいだろう」

〇黒
  こうしてレヴィリックの思惑通りに事は進み、ユグド聖国とダルトンハイト騎士国のヤ・キュウ対決が行われることになった。
  そして10日後、試合の日がやってきた。

〇空
  ユグド聖国首都郊外 ヤ・キュウスタジアム【ウィルピッチ球場】

〇中世の野球場
ラクス王子「・・・・・・なんだ、この騒ぎは?」
副官イート「お祭り、でしょうか?」
レヴィリック「ようこそおいでくださいました、ラクス王子」
ラクス王子「レヴィリック! ・・・・・・それに神の御使いか」
ラクス王子「この騒ぎは何事だ? この者たちはいったいなんなのだ?」
レヴィリック「もちろん、今回のヤ・キュウを見に来た観客たちです。ユニファ王女お声掛けで、世界各地からいらっしゃっています」
ラクス王子「我々は戦をしにきたのだぞ!」
レヴィリック「これは異なことを。我々がこれからするのは戦争ではありません。ヤ・キュウです」
レヴィリック「ここにいる皆さまには、先んじてラクス王子とユニファ王女が交わされた盟約の内容をお伝えしております」
レヴィリック「皆さま、このヤ・キュウの結果がどうなるのか楽しみにされております」
レヴィリック「ですから何卒、下手な癇癪を起こし、国境で待機されている軍勢を動かすことはおやめ下さい。国際的な問題になりますゆえ」
ラクス王子「全て貴様の目論見通りという訳か。 気に入らんな」
マコ「というか、王子。まさか、その鎧姿でヤ・キュウをするつもりなの?」
ラクス王子「戦で鎧を着ない者などおるか!」
マコ「・・・・・・」
ユニファ王女「ようこそ、おいでくださいました。ラクス王子」
ラクス王子「ゆ、ユニファ! その恰好は!」
ユニファ王女「マコ様がデザインし作ってくださったヤ・キュウを応援する【チア・ガール】の正装だそうです」
ラクス王子「なんと! 神の御使いがこれを!」
マコ「いいでしょ、私の自信作」
ラクス王子「くっ、敵ながら天晴なヤツめ」
ユニファ王女「私としては少々恥ずかしいのですが・・・・・・いかがでしょうか?」
ラクス王子「最高だ! とても似合っている! 似合い過ぎている! 他の男たちに見せるのはもったいないくらいだ!」
ユニファ王女「お褒めのお言葉嬉しく思います。私、頑張って皆さまを応援させていただきますね」
ラクス王子「なんと敵である私のことも応援してくれるというのか?」

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