村娘「私、勇者様を幸せにします!」

ロボ猫

魔王討伐後の生活って?(脚本)

村娘「私、勇者様を幸せにします!」

ロボ猫

今すぐ読む

村娘「私、勇者様を幸せにします!」
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇集落の入口
村娘「ついに、勇者様が村にいらっしゃるのね!」
村娘「勇者様の仲間になって、私も旅に出たい!」
村娘「剣も魔法も小さいころから得意だったし、ちゃんと練習したから心配ないわ!」
村娘「切れ味抜群!」
村娘「魔法も絶好調!勇者様とご一緒でも恥ずかしくないハズ」
村娘「回復魔法だってお手の物!勇者様のパーティーで足りないところどこでも行けるの!勇者様にお見せするのが楽しみだわ」
  しばらくして勇者一行到着
魔法使い「魔法のにおいがしますね」
戦士「結構な魔力だ。こんな村で珍しいな」
勇者「そうだな。もう一人仲間が欲しいところだしな。探してみよう」

〇集落の入口
村娘「も、もしかして!!!!ゆ、勇者様!!!」
勇者「いかにも。村にお邪魔させてもらってるよ」
  この娘、とんでもない魔力だな
村娘「あ、あの、え、えっと・・・」
  どうしよう、緊張して何も言葉が出ない
勇者「腕に覚えがあるようだな。早速だが見せてくれないか?」
魔法使い「あ、あの、いきなりすぎではありませんか?」
戦士「さすがにお嬢ちゃんも引いてるぜ。お前はいつも単刀直入すぎる」
勇者「お前たちはそれで仲間になってくれただろ?」
戦士「それは確かにそうだけど、ビビったぜ!」
魔法使い「やはり、あの、女性をお誘いするには順番があると思います」
勇者「順番か?わかった。戦士、まずは剣の腕を見てやってくれ」
  全然話が通じてない!!
戦士「というわけだ。お嬢ちゃん。いきなりすまないね」
村娘「い、いえ!私、勇者様たちに憧れてました!み、見せます!」
戦士「剣、振れるかい?」
  こりゃダメだな・・・全く剣が動いてないぜ。
村娘「す、すみません!!!」
戦士「仕方ない。お嬢ちゃんは剣より魔法の方が向いてそうだ。魔法使い、あとは任せたぞ」
魔法使い「いきなりでごめんなさいね。まずは力を抜いてね」
村娘「は、はい!」
  手が震えちゃった。せめて魔法はちゃんと見せないと。
  魔法が何も出てこない・・・
魔法使い「焦らなくていいのですよ」
  完全に緊張しすぎてます。これはかわいそうです。
村娘「ご、ごめんなさい!何もできません!」
勇者「魔物はいつ襲ってくるかわからない。後ろからの不意打ちもある」
  鍛えればものになるかもしれないが、危険すぎる。向いていない者を危険に晒してはいけない。
勇者「目の前に魔王が現れたら、俺たちだって緊張で立ちすくむかもしれない」
村娘「う、う、すみません」
勇者「君に力があるのはわかってる。でも、一緒に行くにはとても危険だ」
勇者「手間を取らせて悪かった。すまないね。俺たちはこれで村を出るよ」
  そ、そんな!そのとおりだけど、これはあんまりすぎる!
村娘「あ、あの・・・」
  せめて何か言わないと・・・!
村娘「私、勇者様をお幸せにします!だ、だから・・・」
魔法使い「は、早すぎです。しかも女性から愛の告白なんて悪手です」
戦士「勇者がいくらモテるからってこりゃないぜ!」
魔法使い「せめてデートやお食事をなされてからでも遅くないでしょうに」
勇者「わかった。戦士と魔法使いは少し席を外してくれないか」
  も、もしかして?!
勇者「二人きりで話したいことがある」
戦士「すげーよ。あいつああいうのが好みだったんだな」
魔法使い「こんな早い恋があるのですね。。」

〇集落の入口
勇者「幸せにすると言ったな」
村娘「はい!私でよろしければ!!」
勇者「あの二人には聞かれたくない話なんだ。魔王討伐にも影響するからな」
  なんてロマンチックなの!!
勇者「俺には悩みがある」
村娘「は、はい!聞かせてください」
勇者「老後が不安なんだ。何ならそんな先じゃない。魔王を倒した後の生活ですら不安なんだ」
村娘「え?!あの、どういうこと?」
勇者「魔王を倒した後、俺たちに仕事がない。無職だ。食っていけなくなる」
村娘「あの、魔王を倒されたら英雄としてお金は何も心配なさらなくていいのでは?」
勇者「そんなわけない。この国は貧しい。働きもしない俺たちを養うなんて無理だ。魔王を倒して2年もすればただ飯食い扱いさ」
村娘「魔王を倒せばこの国は豊かになるのではないでしょうか?」
勇者「それも違うな。魔王がいてもいなくても貧しいまま。魔物を倒しても税金、剣を買っても税金、鎧を売っても税金。税金まみれだ」
  思ってたのと全然違う!
勇者「魔王を倒してもらえる恩賞金も、数年も経てば尽きる」
勇者「残るのは税金と借金だけだ」
村娘「目の前の魔王の方が大変だと思ったのですが・・・」
勇者「魔王は今年中に決着がつく。俺たちは勝つ。だが、その後の人生は何十年も続く」
  魔王の扱いが軽すぎる!
勇者「だから俺は今すぐ魔王を倒すのにためらいがある。その後の生活が見えないからな」
  こんな勇者様だったなんて・・・
勇者「だから君には、俺たちが魔王を倒した後、どうやって食っていけばいいか考えて準備して欲しい。君にしか頼めない」
  強引だし、全然ロマンのかけらもない!
村娘「え、えっと・・・」
勇者「魔物討伐後に村に戻ってくるから、それまでにできるところまで考えておいてくれ」
村娘「え、えっ?!」
勇者「それじゃ夜も暗いから気を付けて帰りたまえ。よろしくな」
  こうして村娘は、勇者から「魔王討伐後の生活を考える」という宿題を課せられるのであった。

コメント

  • 練習と本番は違いますよね。
    いくら準備しても本番にうまくいかないこともありますし、予想していたよりもできることもありますよね。
    しかし頭が混乱して愛の告白になってしまうところは可愛らしいなぁと感じました!

  • そうですよね。魔王を倒した後の事って考えてしまいますよね。
    貧乏な国だとそれほどの報奨金もだせないでしょうし。
    ファンタジーな内容にリアルを混ぜてるのおもしろかったです!

  • 王道的な冒険ファンタジーが何とも生々しいお話に。魔王を討伐しても必ずしもハッピーエンドにならないのがリアリティ満載ですねw

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ