なんてったってアイドル!

ゆきんこ

エピソード1(脚本)

なんてったってアイドル!

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〇ホールの舞台袖
陸(りく)「ハアっハアっ・・・」
スタッフ「陸、悪いけど次の曲のバック踊ったら、急いで紫苑にこれ届けて!」
陸(りく)「あ・・・ハイ!」

〇コンサートホールの全景
陸(りく)「紫苑! これ、次のステージの小物」
紫苑(しおん)「陸さん、それ裏方の仕事でしょ」
陸(りく)「しょうがないよ」
陸(りく)「今日、スタッフ足りないって言うからさ・・・」
紫苑(しおん)「チッ、プライドないのかよ」
陸(りく)「クソっ」

〇大会議室
海(かい)「おつかれっしたあ!」
海(かい)「毎日毎日、後輩のライヴのバックダンサーに裏方の仕事もこなして」
海(かい)「俺らってメチャクチャ燃費良いよね〜 SDGsじゃね?」
空(そら)「便利屋の間違いだろ」
空(そら)「てゆーか、いつになったらデビューできるのかね、俺たち」
空(そら)「バックダンサーやり続けて、気づけばもう25歳」
空(そら)「女のコのアイドルなら、卒業や引退してもおかしくないよ」
陸(りく)「昭和のアイドルは10代でデビューできたのにな」
海(かい)「昭和の看板スター、煌☆侍(キラリ☆サムライ)見習えって毎回言われるもんな!」
陸(りく)「あの眉毛ぶっとくて背が低いオジサンたちのことだろ?」
陸(りく)「昭和が何だよ!」
空(そら)「俺らだって、昭和なら絶対すぐにデビュー出来たし、むしろメチャクチャ売れるよ」
海(かい)「おっ、今日のケータリング、カツサンドじゃん! うまそ〜!」
海(かい)「虚しく仕事しても、腹は減るからな! 食べようぜ!」
空(そら)「チンしてくれないと食べられない」
海(かい)「わーったわーった」

〇黒

〇大会議室
陸(りく)「うう・・・レンジが爆発するなんて・・・」
陸(りく)「海、空、大丈夫か!」
空(そら)「だ、大丈夫だ」
空(そら)「え?オマエ、誰?」
陸(りく)「え?」
陸(りく)「俺、陸だけど・・・」
陸(りく)「オマエこそ、誰?」
空(そら)「空だよ!じゃあ、あいつはまさか・・・」
「海!?」
海(かい)「オマエら、陸と空だっていうのかよ? どう見たって・・・」
海(かい)「煌☆侍だぜ!?」
  レンジの爆発によって、俺たちはタイムリープした上に、昭和のスター煌☆侍に憑依してしまったらしい!

〇撮影スタジオのセット
監督「ハイ、カット!」
ももか「ありがとうございました♥」
海(かい)「昭和のアイドル、天使のももかちゃん! 清楚でカワイイな!!」
ももか「・・・ちょっと」
ももか「何メンチ切ってるのよ!」
海(かい)「ふぇ?」
ももか「元スケバン、般若のももかを、ナメんなよ!」
海(かい)(許してちょんまげ!)
陸(りく)(ドラマの撮影なんて、初めてだ! けど、うまくやってやるぜ!)
陸(りく)「うえ〜ん!」
陸(りく)「同情するなら、金をくれ!」
監督「ハイ、カット!」
監督「これだからアイドルは・・・ もうワンテイクね! 次ダメなら君の台詞無くすよ!?」
陸(りく)「キビシー!!」

〇ラジオの収録ブース
陸(りく)(冠のラジオ番組なんて夢みたいだ!)
陸(りく)(今度こそ、俺たちの真価見せてやる!)
陸(りく)「ペチャクチャペチャクチャ・・・」
空(そら)「ヤバイぞ陸! 雑談しすぎて、ハガキ読む時間なくなった!」
陸(りく)「すっ、スミマ千円!」

〇大会議室
陸(りく)「せっかく昭和のスターになったのに、」
陸(りく)「何もかも上手く行かない」
海(かい)「その上、メチャクチャ忙しくて、寝るヒマがないっ!」
空(そら)「うーわ! ファンレターにカミソリ入ってたぜ。 どうかしてるな、昭和!」
マネージャー「君たちィ、一体どうしちゃったのォ!?」
マネージャー「いつもなら事前に下準備したり、練習したり努力していたのに」
マネージャー「最近はそれがないから失敗ばかりじゃない!」
マネージャー「社長が1か月後にあなた達のダンススキルを、チェックしたいって言っているわ」
マネージャー「これ、表向きはチェックだけど、裏ではリストラ案件なのよ!」
陸(りく)「リ、リストラ!? 俺たちのせいで歴史が変わってしまうのかよ!?」

〇体育館の中
陸(りく)「ワン、エンスリー、エンフォー、エンファイブ、シックスセブンエイト・・・」
海(かい)「陸、練習してるな」
空(そら)「俺たち、ダンスだけは得意だから大丈夫だと思うけど・・・」
「やっぱり、練習しようか」
陸(りく)「おしっ、なんか10代のジュニアの頃に戻ったみたいだな!」
ももか「ふーん。 アイドルにしては、ガッツあるじゃない!」

〇撮影スタジオ
ジョニー社長「さあ、ユー たちの真価をボクに見せて」
ジョニー社長「それができないなら・・・」
ジョニー社長「キルユーだよ!」
陸(りく)「この1か月やるだけやったんだ」
陸(りく)「後は当たって砕けろだ!」
陸(りく)「行くぜっ!」

〇水中
ジョニー社長「ナウい!」
ジョニー社長「ナウいよ!! ユーたちのダンス! ホントに煌☆侍!?」
ジョニー社長「華麗なステップ、楽しそうな表情、 そしてキレッキレのアクロバット!」
マネージャー「おったまげ〜!」
マネージャー「信じられない! あの子たち、ダンスだけは練習しても上手くならなかったのに・・・」
マネージャー「死にものぐるいで努力したのね!」
ジョニー社長「ブラーッボー&ビューティフォー!」

〇撮影スタジオ
陸(りく)「ハアっハアっ、どうでしたか!?」
海(かい)「お願いします! 未来のジョニー事務所のために、リストラだけはしないでくださいッ!!」
ジョニー社長「リストラ?何いってんのよ! 今、ジョニー事務所の未来が視えたわ!!」
ジョニー社長「ユーたちは世界に通用するボーイズグループよ!」
ジョニー社長「今日から、本格的にバックアップしていくから、そのつもりでいてね!」
陸(りく)「や・・・」
陸(りく)「やったぜベイビー!!」
空(そら)「陸、ナニそれ」

〇ハチ公前
陸(りく)「ここは変わらないな」
陸(りく)「俺たち、いつか令和に帰れるのかなあ」
ももか「タケルくん♥」
海(かい)「ももか! さては俺たちが売れたから、惚れちまったな!?」
ももか「わけワカメ!意味フミコ!」
ももか「トシ、あんたはアウトオブ眼中だよ! 失せなッ!」
海(かい)「ガビーン」
陸(りく)「タケルって、俺?」
ももか「あ、あなた以外に誰が居るのよ その・・・あなたのダンス、すごく格好良かったわ」
ももか「良かったら、私とアベックにならない? なんちって〜!」
陸(りく)「アベック・・・付き合うってこと!?」
陸(りく)「うおお、昭和のトップアイドルと俺が付き合える世界!?」
陸(りく)「ヤバイ!俺、帰る必要無いじゃん♪」
陸(りく)「昭和、サイッコ〜!!!!」
  その時の爆発が、ハチ公前でテロリストが爆弾を仕掛けたからと知ったのは、俺たちが令和に戻ってからだった。

〇ホールの舞台袖
紫苑(しおん)「・・・」
紫苑(しおん)「あ、陸さん! お疲れ様です!お茶どうぞ!!」
陸(りく)「おっ、悪いな紫苑」
陸(りく)「最近どう?」
紫苑(しおん)「このギョーカイ、すぐにトップが入れ代わりますからね・・・」
紫苑(しおん)「今はなんて言ったって、ミリオンアイドル、新☆煌侍Men'sの陸さんたちには敵わないですよ〜」
陸(りく)「フッ、プライド・・・ないのかよ」
陸(りく)「努力すれば、報われるんだぜ」
陸(りく)「さあ、デビューを信じて待っていてくれたファンたちへの恩返し!」
陸(りく)「覚悟はできてるかぁ!?」
「オウッ!!レッツラGOだぜェェェ!!!!!!」
空(そら)「エモいわ!」
  Fin

コメント

  • アイドルって、ダンスも出来なくちゃいけなくて大変だなぁと思うんですよ。
    昭和の時代のアイドルと言えば、田原俊彦さんが未だに足を上げててすごい!と思いました。
    彼らも令和に戻ってきても人気アイドルになれてよかったです!

  • 懐かしいワードが多いですね笑
    にしても頑張って花開く姿は年代関係なくカッコいいものです。
    態度に出さず、堅実に頑張れると尚良いですね笑

  • 他作品でも感じますが、懐かしいワードのチョイスとそれを生かした物語の組み立てが絶妙ですね!それによって作中の空気も昭和感が漂ってますね!(懐かしいと言いたくても言ったら負けな気分になってますw)

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