【パインアップル】の定義

CotchTheScotch

第2話『五頭身の花女家(かにょや)君』 (脚本)

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〇月夜
タケシ「俺さ──」
タケシ「味噌派のナツミが好きなんだ!」

〇荒地
滝澤海斗(たきざわ かいと)(ここは、タケシが胸の内を明かす荒野か)
タケシ「なぁ、頼むよ!味噌派のナツミと付き合えるようにしてくれないか!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「それは出来ないんだ・・・ 知ってると思うけど──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「味噌派のナツミが、カニョヤ君といい感じにならないと話が進まないからさ」
タケシ「くっ・・・ よりによって何でカニョヤなんだ・・・」
タケシ「あいつ五頭身なんだぜ?!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「味噌派のナツミのタイプが五頭身っていう設定だから・・・ごめんね」
タケシ「なんだよそれ!」
タケシ「じゃあ俺も五頭身にしてくれよ!!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「仮にタケシを五頭身にしても、好きになるのはカニョヤ君だし──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「それだと無駄に五頭身になるだけだから、やめた方がいいと思うけど・・・」
タケシ「・・・」
タケシ「何か俺には冷たくない?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ?そんな事ないと思うけど・・・」
タケシ「絶対サクラの時より塩対応じゃん」

〇殺風景な部屋
サクラ「まずは可愛い服にして欲しいなぁ~ それからねぇ~」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うんうん、何でも言って♪ サクラちゅわぁ~~ん♥️」

〇荒地
タケシ「ほらね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ほらねって何!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「回想ってさ、お互いの信頼関係で成り立ってるんだから、偽装は禁止だよ」
タケシ「・・・何言ってるんだ?」
タケシ「っていうか、この世界にアイドルという概念を持ち込むよりさ」
タケシ「俺と味噌派のナツミを付き合わせる方が簡単だと思うけどな?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・た、確かに」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(それを言われると何も言い返せない・・・)

〇大きな木のある校舎

〇教室の教壇
富永 薫(とみなが かおる)「ねぇ、滝澤くん」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「富永君、どうしたの?」
富永 薫(とみなが かおる)「滝澤くんって漫画の大賞取ったんだよね?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うん!高校2年の時だけど、どうして?」
富永 薫(とみなが かおる)「へぇ~、2年の時なんだ。ボクが転校してくる前の事だったんだね──」
富永 薫(とみなが かおる)「あのさ、それってどこかで 読めたりするのかな?」
富永 薫(とみなが かおる)「その話を聞いてから、ずーっと気になってたんだけど、見つけられなくて・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あ~・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(週刊中年シャンプーの読み切りだからなぁ)
神道七海(しんどう ななみ)「富永君、読みたいの?」
富永 薫(とみなが かおる)「し・・・神道さん・・・」
富永 薫(とみなが かおる)「読みたいっス!」
神道七海(しんどう ななみ)「じゃあ明日持ってきてあげる」
富永 薫(とみなが かおる)「えっ?いいんすか!? あざっす!!」
神道七海(しんどう ななみ)「これでまたファンが増えたね♪」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ななちゃん、気が早いって(笑)」
神道七海(しんどう ななみ)「海斗ぉ~、今日の放課後遊びに行かない?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あっ、ごめん! 今日も編集部行く事になってるんだ──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そろそろ大詰めなんだけど、問題がけっこうあって・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「そっか・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「頑張ってね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うん、ありがと! 明日なら大丈夫だから」
神道七海(しんどう ななみ)「イエッサー!(笑)」

〇空

〇空

〇オフィスビル
  打ち合わせが終わり・・・
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「タケシの事も考えてあげてくださいね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「はい、頑張ってみます」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「では、お気をつけて」

〇車内
神道七海(しんどう ななみ)「──あれっ? あの子は・・・」

〇オフィスビル

〇車内
神道七海(しんどう ななみ)「シゲちゃん停めて!」
運転手のシゲちゃん「へいっ!」
運転手のシゲちゃん「お嬢様、殴り込みですかい?」
神道七海(しんどう ななみ)「違うわよ~ シゲちゃんは先帰ってて」
運転手のシゲちゃん「へいっ!」
運転手のシゲちゃん「お嬢様・・・」

〇古いアパートの一室
  滝澤、帰宅する
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん~っ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「タケシが味噌派のナツミの事をあんなに好きだったなんて──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「自分でつくったキャラなのに分からないものだなぁ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「みんなの要望を叶える・・・か・・・」

〇雑誌編集部
滝澤海斗(たきざわ かいと)「思ったんですけど──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「キャラの意見を尊重する必要ってあるんでしょうか?」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「滝澤先生・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「サクラの意見を聞き、つくり直してきたのは滝澤先生では・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そ、そうなんですけどね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あの時は、篠崎さんが笑ってなかったから面白くないんだって勘違いして、つくり直しちゃったんですけど・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「でも、篠崎さんは顔に出ないだけっていうのが分かったので──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そもそもつくり直す必要あったのかな?って思い始めて・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「そうですね・・・ あのままでも面白いと思いますが・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「滝澤先生の【夢の中でキャラと会話ができる能力】というのは──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「他の方には無い、滝澤先生の武器なのではないかと、私は思います」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「武器を持っているのならば、それを使わない手はないのでは──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「──というのは口実で、私はやはり『アイ食べ』の衝撃をもう一度味わいたい・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「欲を言えば、それ以上の作品を読んでみたい──」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「そして『アイ食べ』を超えるには、キャラ達の話を聞き、うまくまとめていく事が」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「最善の道なのではないかと、 私は考えています」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「なるほど・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(篠崎さんにとって、アイ食べの存在って相当デカイんだな・・・)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「わかりました!みんなの意見を取り込んで『アイ食べ』を超える作品をつくります!」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「よろしくお願いします」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「アイ食べを超える為にも・・・ まずはタケシの要望に応えなきゃな」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「タケシは味噌派のナツミと付き合いたい」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「でも、味噌派のナツミはカニョヤ君といい感じになる設定──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「何故なら、味噌派のナツミは五頭身がタイプだから──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・カニョヤ君は味噌派のナツミの事を好きなんだっけ・・・?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(なんでそんな設定にしたんだっけ?)
滝澤海斗(たきざわ かいと)(そもそも五頭身がタイプってなんだ?)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(タケシ・・・)

〇月夜
「──・・・ょうの大賞を発表します」
編集長「大賞は・・・」

〇古いアパートの一室
滝澤海斗(たきざわ かいと)「編集長は・・・もういいんです・・・ ムニャムニャ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「言わなくても知ってますよ・・・ ムニャムニャ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「何ですか、それ・・・ ムニャムニャ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(このBGMが流れ始めたらもう編集長でしょ・・・ムニャムニャ・・・)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・誰? ムニャムニャ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「もう編集長はいいってー!」

〇雑誌編集部
編集長「ハーッ」
編集長「ハーックション!!」
編集長「し、失礼・・・」
篠崎 夏蓮(しのざき かれん)「・・・」

〇古いアパートの一室
  しばらくして・・・
滝澤海斗(たきざわ かいと)「むにゃむにゃ・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「・・・」

〇月夜
「・・・また編集長のBGMだ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「編集長、そろそろ夢から出ていってくれませんか?」
「やぁ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「カニョヤ君!!!」
カニョヤ君「先生、みんなに色々言われて大変ですな 心中お察しします」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ?・・・知ってるの?」
カニョヤ君「・・・先生、知らないんですかぃ?」
カニョヤ君「先生が描いたキャラには、 先生の心情が投影されとるんですよ」
カニョヤ君「さらに言うと、全キャラクターが先生の意識を共有しとるようなもんですからね」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「そうだったんだ・・・」
カニョヤ君「だから1人の意見を聞いちまうとね、 他の意見も聞かなきゃならん・・・」
カニョヤ君「大変ですな・・・ 心中お察しします」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「はい・・・」
カニョヤ君「まぁ、何か飲みながら話しましょうか 一杯おごりますよ」

〇シックなバー
滝澤海斗(たきざわ かいと)「僕、まだ未成年ですよ」
カニョヤ君「知ってますって(笑)これ、 こどもびぃ~るっていうやつですから」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あっ、そうでしたか」
カニョヤ君「安心して飲んでくだせぇ・・・」
カニョヤ君「で、先生──」
カニョヤ君「ちょっと前に五頭身キャラブーム っていうもんがあったでしょ」
カニョヤ君「そのブームにあやかろうとして、つくられたのがワシっていう事は知っとるんですよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(ほんとに僕の心を共有してるんだ・・・)
カニョヤ君「重要な役割を与えてくれたのは、不自然な五頭身キャラの登場をごまかす為──」
カニョヤ君「だとしても嬉しかったなぁ~、ワシがストーリーの要(かなめ)になってる時は──」
カニョヤ君「毎日が充実してましたから」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「それは良かった」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(・・・って、僕がつくったんだけどね)
カニョヤ君「それでね、」
カニョヤ君「タケシ君が味噌派のナツミさんと付き合うにはどうしたらいいか考えたんですよ」
カニョヤ君「──・・・ワシが邪魔だったんですわ」
カニョヤ君「ワシさえいなくなれば、全てがうまくいくって事に気付いたんですよ」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えっ!?」
カニョヤ君「ワシの役割をタケシ君に 与えてやってください──」
カニョヤ君「そしてワシを消してください──」
カニョヤ君「それだけで、問題は解決するんです・・・」
カニョヤ君「素晴らしき人生をありがとう。先生・・・」
カニョヤ君「タケシ君の願いを叶えてあげてください」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「か・・・」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「カニョヤ君・・・うぅ」

〇古いアパートの一室
神道七海(しんどう ななみ)「かいとー」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「うぅ──」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「カニョヤ君・・・」
神道七海(しんどう ななみ)「ん?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「ん?」
神道七海(しんどう ななみ)「大丈夫・・・?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「あれ!?ななちゃん!どうしたの?」
神道七海(しんどう ななみ)「急にごめんね!」
神道七海(しんどう ななみ)「今日、海斗の担当してる篠崎さんと話してきたんだけど──」
神道七海(しんどう ななみ)「彼女・・・『第60回週刊中年シャンプー超新人漫画賞』の準大賞を受賞した──」
神道七海(しんどう ななみ)「”崎篠・カレー”だったの!!」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「えぇ!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「篠崎さんが崎篠さん!?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)(確か・・・記憶にある── 作者のコメント・・・)
滝澤海斗(たきざわ かいと)「夢・・・戦闘服・・・復讐・・・?」
滝澤海斗(たきざわ かいと)「まさか・・・」

次のエピソード:第3話『ソースアンド・オンライス』

コメント

  • 真剣に読んでたんですけど、途中からずっと笑ってました…カニョア君のイケメンなシーンも笑い堪えていたので、もっかい読み返してきます!

  • 途中のスチルが…ヤバイ…面白い(笑)
    カニョヤくん、ホントに消えちゃう?中身とのギャップ萌えです。
    今回も展開が盛々でしたね。

  • 編集長のスチルがずるい🤣
    カニョヤくん、どんなカワイイ系イケメンかと思いきや、まさかのビジュアル🤣
    でも中身はイケメン🥲
    ツボりました(笑)

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