エピソード1~彼曰く2~(脚本)
〇川沿いの原っぱ
遥「それで?」
謎の男「え?」
遥「だって、飛び降りたんでしょ? なんで今目の前にいるのよ?」
謎の男「その・・・飛び降りたつもりだったんですけど、俺、飛び降りたはずのビルの屋上で倒れていて・・・」
遥「え?飛び降りたんですよね?柵を越えて」
謎の男「はい、確かに飛び降りたんです・・・ 柵を超えて」
謎の男「柵のすぐそばに靴を揃えて、それから柵を越えてから地上に向けてダイブしたんですけど、でも、」
謎の男「気付いたときには俺の体は屋上の中央付近にあって・・・」
謎の男「・・・それこそ、真横というよりかは若干下方向横あたりから何かの衝撃で吹っ飛ばされたような感じで・・・」
謎の男「角度的にはですね・・・」
遥「角度はいいですから、その先を!!」
謎の男「あ、はい・・・」
謎の男「で、目覚めたんですけど・・・違和感があってですね」
遥「まぁ、まず、死んでないってところが違和感ありますもんね」
謎の男「そうなんですけど・・・自分の中に自分じゃない『考え』があるというか・・・」
謎の男「『意思』があるというか、」
謎の男「『頭の中にもう一人別のやつがいる』というか・・・」
遥「マンガでよく見る、自分の中の天使と悪魔みたいな?」
謎の男「うーん・・・似てるんですけど、それって結局は両方とも自分の意思じゃないですか」
謎の男「俺の違和感はもっと・・・本当に別の何かが自分とこの体をシェアしてるような感じというか・・・」
遥「・・・で?」
謎の男「ん?」
遥「結論は?」
謎の男「あ、急ぎます?」
遥「あなたの話は寄り道が多すぎて長いので。先に結論をお願いできたらありがたいなって思って」
謎の男「あー・・・じゃあ、ですね。結論から申しますと」
遥「はい」
謎の男「ここまでの内容で薄々お気づきかとは思うのですが」
遥「はい」
謎の男「俺の中に、遥さんちのみゆがいます!!」
遥「・・・でしょうね」
遥はまっすぐに変態を見据えて答えた。
謎の男「・・・え・・・?」
遥「・・・?」
謎の男「・・・え・・・?」
会話の流れで動揺しているのは、変態の方だった。
遥「さっきから何よ、”えっ”て」
謎の男「いや、だって、驚かないのかなって」
遥「いやいや、驚いてますよ、これでも」
謎の男「驚いてるように見えないので」
遥「驚いてますけどね・・・何が目的なんですか?」
変態は、遥の言葉を受けて少しビクッとしたように見えた。
謎の男「あ、あの・・・」
遥「よく調べて作られたお話だな~って思って」
遥「・・・どこでわたしの個人情報を手に入れたんですか?」
遥「おまけに・・・」
遥「人んちの猫が死んだことまで話に盛り込んでくるなんて・・・」
一度は引っ込んでいた涙が、再び目に盛り上がってくるのを感じた。
・・・が、ここで泣いては負けのような気がして、遥は奥歯にぐっと力を入れた。
謎の男「目的って・・・」
謎の男「そう・・・強いて言うなら・・・」
謎の男「みゆの復活・・・?」
その言葉を聞いて、遥は怒りに震えながら拳を振り上げ、目の前の変態に殴りかかった。
遥「バカにしてんの・・・っ!?」
ブンブンと腕を振り回して殴りかかってくる遥を変態はヒョイヒョイと軽いフットワークでよけてかわしながら言葉を続けた。
謎の男「バカになんかしてません、信じてください、みゆは復活するんです、あなたが俺の話を信じてくれれば・・・!!」
謎の男「・・・そして、」
謎の男「勇者として旅立ってくれさえすれば!」
遥「(・・・ナンダッテ?)」
変態くんの必死の説明も信じてもらえない様子ですが、当然といえば当然ですかね、変態くんですしw そんな彼の最後のセリフ、物凄く気になりますね!