Dancers in the Dark(脚本)
〇黒
車の走行音
鹿島潤「……」
源亜紀「……ねぇ?」
鹿島潤「うん?」
源亜紀「私たちどこに連れてかれるの?」
鹿島潤「俺が知るわけないだろ……」
源亜紀「もうヤダ…… どうしてこんな目にばっかり遭うの……」
鹿島潤「……」
源亜紀「……黙ってないで何か喋ってよ」
鹿島潤「……お互い、そんな気分じゃないだろ」
源亜紀「こんな状態で黙ってたら 気がおかしくなりそうなの……」
鹿島潤「……去年、北海道行ったろ? 覚えてるか?」
源亜紀「うん」
鹿島潤「あのテーマパーク このコロナの影響で潰れたらしい」
源亜紀「……」
鹿島潤「……喋れって言ったのはお前だろ?」
源亜紀「……なんでそんな寂しい話するの?」
鹿島潤「いや……」
源亜紀「楽しかった思い出とか もっと色々あるでしょ?」
鹿島潤「……ごめん」
源亜紀「……私は、去年の沖縄が一番楽しかった」
鹿島潤「……あぁ、確かに楽しかったな」
源亜紀「海に入って 夜はみんなでお酒も飲んでさ……」
鹿島潤「……あぁ」
源亜紀「あの頃に戻りたい……」
鹿島潤「……」
源亜紀「あの頃は全部が輝いて見えたなぁ……」
鹿島潤「……ごめん」
源亜紀「……え?」
鹿島潤「……俺が欲に目が眩んだばっかりに こんなことになっちゃって」
源亜紀「……そんなこと言ったら、私だって」
鹿島潤「亜紀……」
源亜紀「私たちもっと地道にやっていけばよかったのに…… どうかしてたね……」
鹿島潤「……俺ら、やり直せないかな?」
源亜紀「潤……」
鹿島潤「……まだ何とかなるんじゃないか?」
源亜紀「……もう、手遅れだよ」
鹿島潤「……」
源亜紀「ここまで来たら もう後戻りなんてできないんだよ……」
鹿島潤「……そうか そうだよな……」
源亜紀「……」
鹿島潤「……」
源亜紀「……止まった」
鹿島潤「……あぁ」
「……降りてください」
〇黒
複数人の足音
鹿島潤「俺たちをどこに連れて行くつもりですか?」
「……」
源亜紀「黙ってないで何とか言いなさいよ」
「……着けば分かりますよ」
鹿島潤「あんた達ははいつもそうだ 俺らの都合なんて何も考えない……」
源亜紀「少しは心が痛まないわけ?」
「……」
〇黒
扉が開く音
「ここに座ってください」
鹿島潤「……」
源亜紀「……怖い」
「では、目隠しを外します」
〇殺風景な部屋
「……ん?」
「……何だここは?」
藤井宣行「ダンサーズのお二人 土曜日のアップダウンです」
「……とっくにわかってますよ」
「……今回は何するの?」
藤井宣行「ドミノを並べて生活してもらいます」
「ドミノ?」
「並べて生活ってどういうこと?」
藤井宣行「ドミノを並べてもらって、 上手く倒れたドミノと同じ数のお米を支給します」
「はぁ?」
藤井宣行「そのお米を食べて生活してもらうってわけです。」
「頭おかしいよ……」
藤井宣行「もちろん、 おかずがもらえるチャンスもあります」
「狂ってるよ……」
「え? これ、どれぐらいの期間やるんですか?」
藤井宣行「1ヶ月です」
「う、嘘ですよね?」
藤井宣行「我々が、嘘言ったことあります?」
「……最悪」
藤井宣行「じゃあ早速スタートしましょう」
「ちょっと待ってください 何で毎回毎回俺らなんですか?」
藤井宣行「一発屋でそこそこの知名度があって、 長期間のスケジュールが確保できるのが お二人だけだからです」
「分かってはいたけど、 改めて人から言われるとキツい……」
「……もうヤダ、帰りたい」
部屋から出て行く藤井
天井から大量のドミノが降ってくる
独特なセンスのお話しでした。見えないということは本当に恐怖だと思います、見えないと空想の中ですよね。。。米粒、米粒でどのくらい生活ができるのでしょうか。
過去に話題になった、透明の部屋の中で生活する様子をオンラインで流すっていうのを思い出しました。過酷であれば過酷であるほど人々はおもしろがる。このドミノゲームで、はたして彼らは米粒どれくらい食べられるんだろうか、、気になります。
こんな生活、たしかに嫌だと思ってしまいました。でも、この様子がちゃんとどこかに放映されているのなら、このような生き方もありかもしれません。だって、知っている人とふたりで暮らせるんですもんね。世の中にはいろんな番組や企画があって、わたしたちはそれを楽しんでいますが、これもその一環なのでしょうか。当事者だったら嫌だなぁと思うかもしれませんが、視聴者なら何知らずに楽しめてしまう気がして、それも怖いです。