不光な世界に希望あれ

水色人間。

第2話 エスケープ(脚本)

不光な世界に希望あれ

水色人間。

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〇寂れた一室
イーター(光の捕食獣)「グルルルゥ・・・」
  僕とルカはとっさにクローゼットの中に隠れた
  《イーター》はキョロキョロと周りを見渡している
ノア=スペンサー「・・・!!」
  クローゼットの隙間から覗いていたら、《イーター》と目が合ってしまった
イーター(光の捕食獣)「グルルルゥ・・・」
ノア=スペンサー「やばい、やばい・・・」
  現実から目を背けるために、僕は目をつぶった
ノア=スペンサー(夢だ、これは夢だ・・・)
  足音が近づいてくる気がする・・・
イーター(光の捕食獣)「グルルルゥ・・・」
ノア=スペンサー「食われる・・・!!」
ノア=スペンサー「死にたくない・・・!!」

〇寂れた一室
ルカ=マクスウェル「おい、出ていったみたいだ・・・」
ルカ=マクスウェル「まだ近くにいつかもしれない・・・ もう少し隠れていよう」
  それからややあってクローゼットから出た
ノア=スペンサー「死ぬかと思った・・・」
ルカ=マクスウェル「せっかくクローゼットに隠れるなら、美女と一緒がよかったな」
ノア=スペンサー「よく呑気でいられるな」
ルカ=マクスウェル「呑気なもんか」
ルカ=マクスウェル「心臓が口から出てきそうだよ」
ノア=スペンサー「さっき目が合ったと思ったんだけど・・・」
ルカ=マクスウェル「マジかよ・・・!?」
ルカ=マクスウェル「動物って目が悪いらしいからな・・・」
ルカ=マクスウェル「だから光に導かれるんだろうな・・・」
ノア=スペンサー「これからどうする?」
ルカ=マクスウェル「役所の方に行ってみよう」

〇入り組んだ路地裏
  《イーター》がいないことを確認して、外に出た
  老人がおどおどしている
ノア=スペンサー「あの、今どういう状況か、ご存じですか?」
老人「理由はわからないが、家の中にまで入ってくるんだ・・・」
老人「今さっき、役所に行ってきた」
老人「川を渡ってこの街を出ようという話になっているらしいんだ・・・」
ルカ=マクスウェル「じゃあ、俺たちもそこに行けば助かるんだよな!!」
老人「ただ・・・ひとつ、条件があるって・・・」
ノア=スペンサー「なんですか?」
老人「《光源病》じゃない人間だけ──」
老人「《光源病》は《イーター》を呼び寄せるから・・・」
  声を震わせて言う老人の足は微かに光っていた

〇中東の街
ノア=スペンサー「やっぱり、置いていかなくちゃいけないのかな・・・」
ルカ=マクスウェル「こうなったらある程度の犠牲は仕方ない」
ルカ=マクスウェル「生き延びるためだ!!」
ノア=スペンサー「・・・ああ、そうだな」
セレナ=モンタギュー「んぎゃ!!」
  曲がり角で人とぶつかってしまった
ノア=スペンサー「ごめん、大丈夫?」
セレナ=モンタギュー「わたしは大丈夫」
セレナ=モンタギュー「それよりも早く──」
セレナ=モンタギュー「逃げて!!」
セレナ=モンタギュー「川の方に《イーター》がいるの!!」
ノア=スペンサー「逃げるって言っても・・・どこに?」
ノア=スペンサー(そこに向かっていたのに・・・)
  《イーター》が街のどこにいるのかもわからない
  逃げた先で出くわす可能性の方が高い
ルカ=マクスウェル「ばあちゃんの家の近くに地下倉庫があるんだ」
ノア=スペンサー「じゃあ、そこに逃げよう!!」
ルカ=マクスウェル「でも、君はダメだ」
セレナ=モンタギュー「・・・・・・」
ノア=スペンサー「どうしてだよ!?」
ルカ=マクスウェル「見えないのか? うっすら光ってるだろう?」
ルカ=マクスウェル「胸元」
  彼女が厚着をしていた
  胸を凝視しなければ、わからないほどうっすらと光っている
  そう、彼女は《光源病》を患っていた
ノア=スペンサー(ん? こいつ胸を凝視していたのか・・・)
ノア=スペンサー(でも、厚着をしてもまだ光が残っているってことは、かなりの明るさなんだろう・・・)
ノア=スペンサー「・・・川を渡るわけじゃないんだ」
ノア=スペンサー「地下室なら光だってバレないだろう?」
ルカ=マクスウェル「向かうまでの間、見つかってしまう危険がある」
セレナ=モンタギュー「わかったわ」
セレナ=モンタギュー「《光源病》を持って生まれた」
セレナ=モンタギュー「《不光な病気》── そういう定めなのよね」
ルカ=マクスウェル「ああ、残念ながら・・・」
ルカ=マクスウェル「ノア、行くぞ!!」
ノア=スペンサー「・・・・・・」
ノア=スペンサー「わ、わかった・・・」

次のエピソード:第3話 死体

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