JJJ(脚本)
〇警察署の資料室
陸本「・・・」
〇警察署の資料室
陸本「・・・」
姪原(あれから一か月)
姪原(何年前の資料まで遡ってやがんだか)
姪原(よくやるわ)
姪原(何がてめぇをそこまで駆り立てる?)
姪原(保田の敵討ちか?)
姪原「・・・」
陸本「ふう・・・」
陸本「もうこんな時間か・・・」
陸本「続きは、明日だな・・・」
カツン──。
カツン──。
姪原(帰ったか)
姪原「いい加減、うざってぇな」
姪原「毎日毎日資料室をうろちょろされんのも」
姪原「俺を見かけるたびにジェイのことを教えろって言ってくるのも」
姪原「うざってぇ」
姪原「ジェイに近づいたやつが、どうなるかもしらねえくせに・・・」
姪原「俺が、引導を渡してやるよ」
姪原(どうせ俺には、使いこなせなかったもんだしな)
姪原「勝手に死ね」
ジェイ「優しいな」
姪原「!?」
ジェイ「愛だな」
姪原「ち、違う・・・」
姪原「俺は・・・」
姪原「あの糞餓鬼の夢をぶっ壊してやろうと・・・」
ジェイ「時に人は悪態をつくことで」
ジェイ「愛を隠そうとするものだ」
ジェイ「今のお前の行動は」
ジェイ「部下の未来を想った、美しい愛だ」
姪原「・・・っ!!」
姪原「うう・・・」
姪原「だから・・・関わりたくなかったんだ・・・」
姪原「くそったれ・・・」
ジェイ「愛の後には」
姪原「・・・」
姪原「愛の後には」
姪原「ジェイが来る」
〇警察署の廊下
陸本「眠い・・・」
陸本「この一か月の無茶がたたってるな・・・」
陸本「いや、泣き言なんて言ってる暇はない」
陸本「こうしてる間にも、ジェイは被害者を増やしている」
陸本「早く、俺が解決しないと」
姪原「・・・」
陸本「なんですか?」
陸本「俺は急いでて」
陸本「!?」
姪原「若い芽は、摘まなきゃな」
姪原「あばよ」
陸本「うぐっ・・・!?」
姪原「掠っただけか」
陸本「な、何を・・・」
姪原「・・・」
陸本「お」
陸本「おおおおおおおおおお!!」
姪原「ぐふっ・・・!?」
ドサッ──。
陸本「はあ・・・はあ・・・」
〇テレビスタジオ
アナウンサー「こんにちは!」
アナウンサー「お昼のニュースをお伝えします」
アナウンサー(・・・最近、警察の不祥事多すぎない?)
アナウンサー「本日早朝、○○警察署にて刃物を振り回した男が現行犯逮捕されました」
アナウンサー「逮捕されたのは、同警察署に勤務の──」
〇警察署の資料室
陸本「なんだ・・・何が起きているんだ・・・」
陸本「俺の・・・せいなのか?」
陸本「俺が・・・ジェイのことを調べたりなんてしたから・・・」
陸本「・・・っ」
陸本「ん? なんだこれ?」
陸本「こんなもの、昨日はなかった・・・」
陸本「ジェイについて?」
――ジェイを追う者へ、私の知るすべてを伝える。
陸本「こ、これってまさか!?」
陸本「いったい誰が・・・」
陸本「いや、それは後だ」
陸本「まずは、読もう」
――ジェイとは、愛の反意語である
――iという文字からjが生まれたように
――虚数単位としてiとjが使われるように
――iとjは同じであるが異なるものとして生まれた。
――愛とジェイもまた、同じであるが異なるものとして生まれたのだ。
陸本「?」
陸本「ど、どういう意味だ?」
陸本「結局、ジェイってなんなんだ?」
──結局、私に分かったのはここまでだった。
ジェイが何かは、わからずじまいだった。
陸本「ええ・・・」
――もっとも、わからないのは当然だ。
――人類は、未だに愛の定義づけを成し得ていない。
――それゆえに、愛の反対の概念であるジェイも、定義できるはずがないのだ。
――もし、ジェイを無理やり説明するなら、『愛の後に来る、人類が未だ科学的に観測さえしていない感情』となる。
陸本「人類が・・・未だに観測していない・・・感情・・・?」
ジェイ「そうだ」
陸本「誰だ!?」
ジェイ「人間は、未だ知らぬ感情がある」
ジェイ「今なお、固有感覚や什痒感といった未知の感覚機能の存在が示唆されているように」
ジェイ「感情もまた同様」
ジェイ「ジェイは、未だ発見されていない感情の一つに過ぎない」
ジェイ「これで、悩みは解決したか?」
陸本「ジェイ」
陸本「手が・・・すり抜けた・・・!?」
ジェイ「ジェイは感情だと言っただろう」
ジェイ「実体なんてない」
陸本「・・・っ!!」
陸本「俺も・・・狂わせに来たのか・・・」
陸本「保田さんに・・・したみたいに・・・」
陸本「・・・」
ジェイ「何故そんなことをしなければならない?」
陸本「え?」
ジェイ「今まで何を聞いていた」
ジェイ「ジェイが来るのは」
ジェイ「愛の後だけだ」
ついに陸本とジェイの直接な接触が!読んでいてドキドキします!
それにしても、JJで雑誌は連想したのですが、JJJでじぇじぇじぇは思いつきませんでした……(笑)